日建グループ

日建グループは、建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサル…

日建グループ

日建グループは、建築の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を行うプロフェッショナル・サービス・ファームです。 https://www.nikken.jp/ja/

マガジン

  • 障がい児のための「日々の生活」の場を考える

    日建設計は、1999年から2023年の25年に渡り、障がい児のための生活のあり方を10のプロジェクトにおいて思索、実践してきました。 今回、このnoteという媒体を用いて、これまでの私たちのとりくみの軌跡を全8回で振り返るとともに、将来へ向けて、障がい児に寄り添い、私たちができることを考える機会としたいと思います。

  • イラスト名建築ぶらり旅

  • PYNT

    PYNT

  • イノベ研

    イノベーションとともにある都市研究会

  • インクルーシブデザイン

    すべての人とともに実現する社会環境デザイン

最近の記事

障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第4回 スタッフとの空間認識共有の様々な取り組み

中島 究(きわむ) 日建設計 設計監理部門 設計グループ ダイレクター 建築の教育を受けていないスタッフの方々に、いかにして建築空間を共有するか?私たち設計者は建築のプロですから、日常的に図面を描き、そこから建築空間をイメージすることができます。一方でクライアントのスタッフの皆さんは建築の教育を受けていないため、ほとんどの場合、図面を読み取って3次元の空間をイメージすることが難しく、ワークショップで思考した障がい児のための空間の方向性やコンセプトが、設計者が描いた図面にきち

    • カーボンニュートラル社会における都市型戸建住宅の提案

      近藤 武士 日建設計総合研究所 環境部門 主任研究員 これからの都市部における戸建住宅のあり方を提案カーボンニュートラル、ウエルネス、ワークライフバランスへの配慮が求められる今、どのような住宅が必要とされているのか、課題解決を目指す戸建住宅を提案します。都市部の戸建住宅は、敷地が狭いため隣地の建物までの距離がなく、通風換気が十分に活用できない。北側斜線などの関係で南向きの屋根面積が十分に確保できず太陽光発電パネルが多く設置できないなどの課題があります。そこで、これからの都市

      • 建築ライフサイクルとXRのつながりをめざして|XR STUDIOの挑戦

        佐々木 大輔 日建設計 設計監理部門 テックデザイングループ DDL 1. はじめに建築は完成するまでに多くの時間がかかります。特に大規模なプロジェクトでは、計画から設計、施工、完成までに十年以上かかることも珍しくありません。その間は図面やCG、模型などを通じて、まだ見ぬ建物の将来の姿を想像しながらプロジェクトが進行します。 また、建築設計プロセスでは社会情勢や関連法規、環境条件などの複雑な要件を把握する必要があります。これらの要件は年々複雑化しており、私たちに求められる

        • イラスト名建築ぶらり旅 season2① とこなめ陶の森陶芸研究所(常滑市立陶芸研究所)

          妖艶な紫は画家・クリムトへのオマージュ?今回の行き先 とこなめ陶の森陶芸研究所(常滑市立陶芸研究所)/愛知県常滑市/1961年完成 2021年から2023年にかけて、21回にわたってお届けした「イラスト名建築ぶらり旅」。復活を望む声がちらほらあるとかで、「season2」として再開することになった。season1は「ぶらり」と言いながらもほぼ月1のハイペースで巡っていた。season2は本当の意味で「ぶらり」と、かつ、これまで取り上げてこなかったタイプのヘリテージ建築にも対

        障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第4回 スタッフとの空間認識共有の様々な取り組み

        マガジン

        • 障がい児のための「日々の生活」の場を考える
          4本
        • イラスト名建築ぶらり旅
          22本
        • PYNT
          7本
        • イノベ研
          7本
        • インクルーシブデザイン
          1本
        • スマートビル関連
          7本

        記事

          サービスロボットと未来の街

          ロボットフレンドリーな環境づくりに向けてイベントの冒頭、日建設計 常務執行役員 エンジニアリング部門統括 水出喜太郎はロボットフレンドリー(ロボフレ)な環境づくりがなぜ今必要なのかを解説しました。まずひとつは労働人口の減少です。2030年には約650万人の人手不足が予測され、中でも建設業や運輸業でその傾向が顕著であることを調査データ等を基に示しました(資料1)。また2027年にはサービスロボットの市場が900億円にまで拡大し(資料2)、ロボフレな環境づくりが喫緊の課題であると

          サービスロボットと未来の街

          障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第3回 スタッフとの信頼関係を築く上で欠かせない“泊まり込み体験”

          中島 究(きわむ) 日建設計 設計監理部門 設計グループ ダイレクター 「視察」ではなく「体感」する第1回で私たちは障がい児が暮らす環境についての知識が非常に乏しい状態であったことをお話ししました。ですから、まずは障がい児とスタッフの日々の生活の状況をつぶさに知るために、「24時間の泊まり込み体験」を行うことにしました。この「泊まり込み体験」は、その後のプロジェクトでも行ってきました。利用者が眠っている真夜中もスタッフは働いています。一般的な設計プロセスでは、ある時間だけ既

          障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第3回 スタッフとの信頼関係を築く上で欠かせない“泊まり込み体験”

          「イノベーションとともにある都市」 研究会|vol.07 Marineterrein(アムステルダム)

          諸隈 紅花  日建設計総合研究所 都市部門 主任研究員 イノベーション空間のレシピを用いたケース分析第5号日建グループの「イノベーションとともにある都市研究会」(略してイノベ研)では、建築や都市開発の専門家の立場から、イノベーションが起こる(または起きやすい)空間のレシピ(要素)やその関係性を明らかにしようとしています。今回は「イノベーション空間のレシピ」を用いたケース分析の第5弾となります。レシピ自体の解説は下記noteをご覧ください。 Marineterrein(マリ

          「イノベーションとともにある都市」 研究会|vol.07 Marineterrein(アムステルダム)

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.04|インダストリアル建築のポテンシャル Industry4.0から次の未来へ

          五十君 興 日建設計 設計監理部門 設計グループ デザインフェロー Industry4.0がもたらした進化の方向これらの事例から分かるようにインダストリアル建築は複合化、多様化してきています。その背景にはIoTでモノやコトがつながっていくIndustry4.0があり、製造業や物流業の立地稼働の自由度が増して都市内立地の可能性が高まっていることが考えられます。ヤマト港南ビルのように物流とオフィスと展示施設の合体や、香港AMCのようなフレキシブルな製造を受け入れ物流と製造が一体

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.04|インダストリアル建築のポテンシャル Industry4.0から次の未来へ

          障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第2回 スタッフと共に空間のあり方を思考する参加型設計

          中島 究(きわむ) 日建設計 設計監理部門 設計グループ ダイレクター スタッフ自らが空間を創り出す試み前回、びわこ学園における障がい児のための空間づくりを手掛けることになった経緯についてご紹介しました。今回はその空間づくりの手法である「参加型設計」について書きたいと思います。 昨今、庁舎や文化ホールや学校など、市民参加による「ワークショップ」を行うケースが増えています。「ワークショップ」を行うことによって、市民の意見や考えをプロジェクトに盛り込み、そのプロジェクトへの市民

          障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第2回 スタッフと共に空間のあり方を思考する参加型設計

          「2050年の社会とビジネス」を考える –「NIKKEN NEXT MISSION」1st SEMINAR

          石川 貴之 株式会社日建設計総合研究所 代表取締役所長 「NIKKEN NEXT MISSION SEMINAR」と名付けたこのイベント。第1回目のテーマは「2050年の社会とビジネス」です。ゲストには、アントレプレナー・フューチャリストの小川和也さん、エデルマン・グローバル・アドバイザリー マネージングディレクター兼日本代表の郡裕一さんをお招きし、日建設計から都市計画部長の西館沙織、設計グループ部長の羽鳥達也の2名をパネリストに加え、取締役常務執行役員の奥森清喜をファシリ

          「2050年の社会とビジネス」を考える –「NIKKEN NEXT MISSION」1st SEMINAR

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.03

          五十君 興 日建設計 設計監理部門 設計グループ デザインフェロー 都市型物流施設の新しいかたち「ヤマト港南ビル」宅急便営業所と社員寮であったビルを取り壊し、ヤマトグループ100周年を機に、未来の「運ぶ」を創るというこれからのヤマトグループを語れる建築にしたいという依頼から計画がスタートしました。最終的には宅急便営業所と100年の歴史をたどる「クロネコヤマトミュージアム」、研修施設やカフェが共存する建築となりました。高浜運河沿いの比較的狭い敷地に物流機能と美術館・研修所が合

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.03

          インクルーシブデザイン:すべての人とともに実現する社会環境デザイン

          多様性を包括的にとらえる私たちが日々利用している建築や都市空間は、私だけでなく、もちろん、あなただけでもなく、私たちが想像する以上に、多様な人種、年齢、身体や心の状態、ジェンダーアイデンティティなど、あらゆる側面をもつ方々に使われています。そして、その中には未来の自分や家族、友人も含まれます。 このような多様性を建築や都市空間の中で尊重するために重要になるのが、包摂性を重視したデザインプロセスであるインクルーシブデザインです。自身が知っていることや想像できることの範囲を広げ、

          インクルーシブデザイン:すべての人とともに実現する社会環境デザイン

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.02

          五十君 興 日建設計 設計監理部門 設計グループ デザインフェロー 今までにない物流施設をつくる「羽田クロノゲート」2009年、ヤマトホールディングスから与えられた課題は今までにない物流施設を造ること、そして物流業界そのものの社会的立場をもっと高いものに引き上げたいということでした。そのために提案したのが物流施設だけでなく市民に開かれた地域貢献施設を造り物流をもっと身近なものにすること、そして徹底的に環境にやさしい建築にすることでした。最寄り駅の京急穴守稲荷駅に近く、昔から

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.02

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.01

          五十君 興 日建設計 設計監理部門 設計グループ デザインフェロー インダストリアル建築とはインダストリアル建築という単語は聞きなれない言葉かもしれません。あえて狭義に定義すると製造業に関わる建築ということになりますが、一般的には「流通施設」と「工場・倉庫」を示すビルディングタイプと理解していいでしょう。公共建築協会の新施設分類表では以下と2項がインダストリアル建築といえます。 ①流通施設  中央卸売市場(青果・水産・食肉・花き)/卸売市場/流通センター/トラックターミナ

          インダストリアル建築の進化と未来|vol.01

          "Climate Migrants"気候難民とわたしたち ―2050年までに全世界で2億人―

          藤村 美華 日建設計 海外事業部門 海外拠点グループ 石橋 七都希 日建設計 コーポレート部門 コーポレートグループ 今回のイベントは、日本が2023年末より第2回グローバル難民フォーラムの共同議長国を務めることを受け、国連UNHCR協会との「ONE MORE STEP INITIATIVE JAPAN」プロジェクトとコラボし、日建設計の有志のグループ「難民を考える会」が内容を検討、日建設計の気候変動への取り組みと難民問題を重ね、「気候難民」をテーマとして企画しました。

          "Climate Migrants"気候難民とわたしたち ―2050年までに全世界で2億人―

          障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第1回 障がい児のための空間づくりを手掛けることになったきっかけ

          中島 究(きわむ) 日建設計 設計監理部門 設計グループ ダイレクター 重症心身障害児の女の子との出会い今から25年前の1999年11月、私は滋賀県野洲市(当時野洲町)の旧第2びわこ学園(現:びわこ学園医療福祉センター野洲)を上司と2人で訪問していました。当時、私たちは第2びわこ学園の移転新築プロポーザルに応募しており、現状の建物や使用状況をプロポーザルに応募した他の設計事務所と一緒に視察させていただくことが目的でした。 視察の途中、廊下でストレッチャーに乗せられ、人工呼吸

          障がい児のための「日々の生活」の場を考える|第1回 障がい児のための空間づくりを手掛けることになったきっかけ