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「獏」連載中

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黒いアスファルトにこびりつく、汚いガムさえ流し落とすような大雨の降るある夜に、俺にこんな言葉をくれた奴がいる。 「悪夢を食べると言われる獏って生物を知ってるだろ。俺たちの仕事は、…
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#小説

「獏」第一話

「獏」第一話

第一章駁論(1)

 黒いアスファルトにこびりつく、汚いガムさえ流し落とすような大雨の降るある夜に、俺にこんな言葉をくれた奴がいる。
「悪夢を食べると言われる獏って生物を知ってるだろ。俺たちの仕事は、獏みたいなもんだ」
 毎日、毎日人間どもの欲望の抜け殻を拾っては集め、そして金を貰い、俺たちは生きている。
「キツイ」「キタナイ」「クサイ」
 昔、3Kなんて言葉があったが、考えてみれば、地球上で幸せ

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「獏」第四話

「獏」第四話

駁論
(4)

 イヤホンからコンビニの入店音が聴こえる。薄切りのロールケーキをミルフィーユ状にした「ミルフィーユ苺ロール」が今大ブレイク中の〝ファミラ〟だ。
『おはよう! 久しぶりじゃないか? また夜勤のバイトに戻ったのかい?』
 この声はハンサム。また店員の女を口説くつもりだろう。
『なぁ? 今度飲みに行かない? 夜勤のバイトに復活したお祝いに俺に奢らせてよ!』
 入りたくもないトイレを借りた

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「獏」第五話

「獏」第五話

駁論
(5)

 パッカー車を車庫へと戻し、報告書を提出するために事務所へ向かって歩いていると、事務所の前で、二人の男がタバコを咥えながら話しているのが見えた。一人がこれ見よがしにキンッと盛大に音を立ててライターの火を灯そうとする。
 大して恰好良くもないのに、アンティークなのかただの中古なのかわからない、ミリタリーブランドのトンボ――ドラゴンフライのマークが付いた、古いオイルライターを大切そうに

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「獏」第八話

「獏」第八話

莫迦
(3)

 アトラスのナビに従って、俺はすぐに問題の店までたどり着いたが、その頃にはすでに事態は収束しそうな状況だった。
「ジャスティス! 平気か?」
 俺がパッカーを停めて駆け寄ると、ジャスティスは驚いた顔をした。
「D.J.? 一体どうしたんだよ。ここはお前の担当じゃないだろ?」
「あぁ、イケモトから話を聞いて心配になって様子を見に来た」
 イヤホンからはしばらく黙っていたイケモトとアト

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