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第4回「アフターコロナに忘れたくないこと」 by 虹の朝子

 コロナ禍の中で迷走する首相にはいささか呆れた。起きている事態に対して熟慮することができず、取り巻きの言うことに振り回されている様は見るに耐えなかったし、2020年7月、遂には全てを下々に丸投げしてしまった。事ある毎に、「緊張感を持って注視していく」と言うが、注視してどうするのでしょうか?だた放っておくだけなのですか?一体こんな人がどうして一億の民の頂点に立っているのだろう。いろいろ思い巡らすけど、結局のところ、私たちが選挙を通して彼を選んだのです。その彼の得意の文句は「(私は)国民の総意に基づいて選ばれた者として云々カンヌン」です。が、待ってほしい。私たちが選んだとはいえ「総意だ」なんて言って欲しくない。2017年の総選挙を振り返れば、投票した有権者のうち48%しか第一党に投票していないし、そもそも投票率は54%しかなかったのだ。彼を支持しているのは全有権者の高々25%だけである。それを「総意」と言ってしまうところに彼の不遜さが表れている。現実にこの人の目に入っているのは25%の権益だけであるようにみえます。日本の政治はカードゲームのようなものです。手の中に札を何枚か持っていて、何か起これば、その中の一枚を切る。しかも、その手札の数は意外に少ないことが、今回わかった。手札を選ぶだけでさほど難しいことはないから、その分、力は政局に注ぐ。そんな感じでしょうか。しかし、コロナ禍がきて、この状況を乗り切るための手札はないという事態に直面し、日本の政治家はあたふたしている。

 他国のリーダーに目をやると、違う光景が見えてきます。特に、優れたリーダーシップを発揮してこの困難な状況を乗り切る女性の姿は輝いていました。アンゲラ・メルケル(ドイツ)の理知的な演説
https://www.youtube.com/watch?v=J4YWiPk8tHc
や、公式の記者会見場ばかりではなく、可愛いオフィスや子供を寝かしつけた後の台所から発信しているニュージーランドのジャシンダ・アーダーンの数々のメーセージは、今見ても心に響きます。

https://www.youtube.com/watch?v=BRwMjjB8ASc

https://www.facebook.com/brutjapan/videos/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%B3nz%E9%A6%96%E7%9B%B8%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E6%99%AE%E6%AE%B5%E7%9D%80%E3%83%A1%E3%83%83%E3%82%BB%E3%83%BC%E3%82%B8/234263877773304/

スタイルこそ違え、二人は自分自身の言葉で状況の認識と見通しを語り、その上でどういう風に行動してほしいかを真摯に語っている。そして何よりも、国民一人ひとりの幸福を第一に願っているという政治心情がひしひしと伝わってくる。票稼ぎともカードゲームとも無縁です。これは、我国の首相が瀟洒なソファーに座り、いかにも高価と思われるティーカップを口にしている様子を映してステイホームを促した(?)動画からは全く感じられないことです。もう一人印象的だった女性をあげれば、台湾のオードリー・タン(唐鳳)(https://forbesjapan.com/articles/detail/35975)でしょう。彼女がコロナ禍における困難な状況を乗り切る上で果たした役割は大きかった。そして、その台湾のリーダー、ツァイ・インウェン(蔡 英文)も女性です。 

 しかし誤解して欲しくはありません。私は決して女性が男性より優れているというような短絡的な考えを持っているわけではないのです。実際、記者の前に座りこみ、あらゆる質問に真摯に答えるクオモ知事(ニューヨーク)のような優れた男性リーダーもいれば、その一方で、スタンドプレーだけが信条の小池百合子(東京都)もいる。そうではなくて、「多様性(ダイバーシティー)の重要性」こそがアフターコロナで忘れたくないメッセージだと言いたい。もし、ドイツやニュージーランド、あるいは台湾で、女性政治家を排除する空気感があったとすれば、これらの優れた指導者は現れず、状況は全く違ったものになったでしょう。日本の政治は、今だに、ほぼ男性のものです。日本のジェンダーギャップ指数は152カ国中121位、特に、女性の政治参加度の低さは際立っています(https://www.joicfp.or.jp/jpn/2019/12/19/44893/)。

 世界は、様々な人種、宗教、言語、性自認、性的指向を持った人々で成り立っています。多様な人々が集まれば当然のことながら、意見の相違もあるだろうし、議論になることも多いかもしれないが、お互いを尊重すれば新しい考えが生み出される。一方、対立の少ない均質な集団の中では固定概念(思い込み)に陥りやすい。そして一度出来上がった固定概念を自らの力で壊すことはとても難しいのです。この固定概念こそが困難な状況のもとでの臨機応変な対応を難しくします。私たちは意見の相違や議論を恐れてはいけない。それによって、初めて曇りない目で状況を眺めることができるようになり、解決のためのアイディアも生まれてくる。地球温暖化によって、私たちの周りの状況は日々加速的に変化しています。おそらくコロナ禍に匹敵するような困難な局面はこれからもやってくるに違いありません。その中で、解決策を見出していく鍵はダイバーシティーにあるのではないかと思うのです。


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 ここまで辛抱強く読んでくださってありがとうございます。読みづらい文章でごめんなさい(苦笑)。まだまだ書かなければいけないこともあるのにできなかった。例えば、現在の日本の政治体制を変えるために地味だけど選挙に行ってほしいこと、完全な情報の透明性が必要であること(オードリー・タンはラディカルトランスペレンシー-過激な透明性と言っている)、自身の信念を持つことの重要性(それがなければ他の人々の信念を尊重することもできない)、政治が国民の同調圧力に頼ることの危険性(「コロナ自警団」は行き過ぎですよね。それが第2次世界大戦における日本の世論の雰囲気を彷彿とさせることに恐ろしさを感じる)、日本の民主主義の未熟さがもたらしている影響、など大事なことがいろいろあります。が、一つの文章にまとめることはできなかった(いろいろ盛り込もうとして途中で投げ出したくなった)。「コロナウイルスのメッセージを読む」という4回の講座の記事で、今回がまとめに当たるからということもありますが、正直、内容も重たく、伝えづらいのです。しかも、職業柄、文章が難しくなりがちで...
しかも、みんなコロナ禍のこと、少し飽き飽きしていますよね?私もです。
せっかくここまで読んでくださったのですから、少し違った視点からの動画でこの4回の記事の締めたいと思います。ニュージーランドの議会でモーリス・ウィリアムソンが同性婚の法制化について行った演説です。コロナ禍とは関連ありません。が、固定概念(思い込み)がどういう風に判断を鈍らせるかがよくわかります。
https://www.youtube.com/watch?v=S1gca7hAwIM

2020年8月21日の今日、私たちはコロナ禍の第2波の真っ只中にいます。頼りない首相のもと、一人ひとり自分の力で生き抜いていくしかありません。頑張りましょう。

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