見出し画像

小説を書く人のためのChatGPT〜アイデアのたたき台を出す方法

小説を書くためにAI技術をどう使うか模索するシリーズ。

今回は「アイデアのたたき台を出す方法」です。

前回はこちら。↓


アイデア出しにAIを使えるか

アイデア出しにChatGPTを使えるか試していますが、いまのところ、なかなか上手くいきません。

良いアイデアのイメージは、図にするとこんな感じだと思います。

狙うべきアイデア


内側から、

  • 完全に既知 = アイデアではない

  • ほぼ既知  = 陳腐なアイデア

  • やや未知  = 狙うべきアイデア

  • 完全に未知 = 狙ってもほぼ無理

となっていますが、狙うべきなのは「やや未知」の領域です。


このnoteでは毎回言っていますが、誰もものすごく新しい作品を求めていません。

多くの人に消費される(売れる・読まれる)には、新しすぎず、かつ古すぎない、絶妙なバランスのアイデアが必要です。


ChatGPTは、簡単に言うと、学習した言葉を可能性の高い順で並べているだけです。

ですから、普通に聞いて出力されるのは「ほぼ既知」のアイデアになります。

誰でも思いつくようなアイデアなので、使っても仕方がない印象ですね。


いまのところ、ChatGPTを普通に使って出せるのは、

  • 完全に既知

  • ほぼ既知

  • 完全に未知(ランダム)

の3つの領域だと思います。

ですから、使えるアイデアを出すには、「ほぼ既知」と「完全に未知」の間を探る方法を見つける必要があります。

ただ、それは「アイデアを出すにはどうすればいいか?」という難問を手順化することと同じかもしれませんね。
(それができれば苦労しない)


さて、今回は、そういった難しい方法ではなく、そこそこのアイデア(の取っ掛かり)を手軽に出す方法をご紹介します。

最初のたたき台としては、少しは使える方法かなと思います。


タイトルファーストの考え方

方法は簡単です。

  1. 目指すジャンルで売れたタイトルのデータを整理しておく

  2. タイトルデータをChatGPTに与え、売れるタイトルの特徴を分析させる

  3. 分析結果に基づき、売れそうなタイトル案をいくつか出力させる


「アイデアを出す」と考えるのではなく、「売れそうなタイトル」を出し、そこから話を考えたり、アイデアのたたき台にする、という手法です。

言わば、トップダウン型のアプローチですね。


タイトルには、アイデアが含まれています。

ですので、強引にタイトルから出力し、アイデアのたたき台にするわけです。

タイトルファーストの考え方だと言えます。

ではさっそく実例を上げて説明していきましょう。


実例で説明

1.データ収集

仮に、ライト文芸の新人賞を狙うとしましょう。

まずはライト文芸ジャンルの売上データを集めなければなりません。

ライト文芸はレーベルで言うと、

  • メディアワークス文庫

  • 富士見L文庫

  • 集英社オレンジ文庫

  • 講談社タイガ

  • 新潮文庫nex

  • スターツ出版文庫

  • マイナビ出版ファン文庫

などが該当すると思います。

私が多少集めているのは、上の3つ目くらいまでです。

2022年のデータを使ってやってみましょう。


データ収集は各自でやってみてください。

調べ方は、以前記事にしました。↓

売上まで調べなくても、タイトルのデータだけでもいいと思います。


2.データを与え、分析させる

データが集まったら、ChatGPTに分析させます。

データはプロンプト(命令文)と一緒に入れればいいです。

注意点としては、入力文字数に制限があります。

日本語では2000文字程度のようです。
(この制限を突破する方法もあるのですが、なぜか成功しません)


プロンプトは適当でいいと思います。
タイトル,売上のあとに、タイトルデータをずらずら入れればいいです。

あなたはプロの編集者です
以下のライト文芸作品のタイトルを分析し、売れるために重要なタイトルの条件を出してください
ステップバイステップで考えてください
タイトル,売上
……


分析結果はこうなりました。
(メディアワークス文庫の分析です。レーベルを混ぜると特徴が出にくかったので)

文芸作品のタイトルは、作品の内容やテーマを反映し、読者に引き付ける役割を果たす非常に重要な要素です。以下に、売れるライト文芸作品のタイトルに必要な条件をステップバイステップで解説します。

タイトルは簡潔であることが重要です。長すぎるタイトルは、読者が覚えづらくなる可能性があります。しかし、簡潔すぎるタイトルも問題があります。読者に十分な情報を提供できず、作品内容を反映できない可能性があるためです。

タイトルは興味を引くことが必要です。読者が作品のタイトルを読んで、その本を手に取りたいと思わせることが大切です。タイトルは、読者が作品にどのような要素が含まれているかを想像させ、興味を引くようなものである必要があります。

タイトルは、作品のテーマやジャンルを反映することが望ましいです。作品のタイトルは、読者に作品の内容やテーマを暗示するものであるため、その作品のジャンルを正確に反映することが重要です。例えば、ミステリー小説の場合は、読者が犯人を探求する要素を反映するようなタイトルが望ましいです。

タイトルは、作品のキャラクターや設定を反映することがあります。作品の中で重要な役割を果たすキャラクターや舞台設定を含むタイトルは、読者に覚えてもらいやすくなるため、人気を集める可能性があります。

タイトルには、文芸作品の美的要素を反映することも重要です。美しいタイトルは、読者の注意を引き、その本を手に取りたいと思わせる可能性があります。

以上の条件を満たすタイトルは、読者の興味を引き、売上につながる可能性があります。ただし、どの条件が最も重要であるかは、作品のジャンルや読者層によって異なります。

ChatGPTの分析


うーん……あまり特有の条件という感じではないですね。
(データが少なかったかもしれません)


3.タイトル案を出力させる

では、上で出した条件を踏まえ、タイトル案を出力させてみましょう。

以下は、売れる条件を踏まえた売れそうなライト文芸作品のタイトル案です。

「夜明け前の狼」
ジャンル:ファンタジー
簡潔であり、興味を引くタイトル。人気のある動物を含むタイトルは覚えやすく、ファンタジー要素を表現している。

「タイムスリップした私は、あなたの恋人になる」
ジャンル:ロマンス
タイトルが物語の設定やテーマを反映し、読者に興味を引く。時間旅行要素とロマンス要素を組み合わせたタイトルで、想像力をかき立てる。

「月夜に翔ける黒猫」
ジャンル:ミステリー
簡潔であり、読者にミステリー要素を暗示する。動物を含むタイトルは覚えやすく、物語の舞台設定を表現している。

「雨の日のカフェで君と」
ジャンル:恋愛
舞台設定を表現し、読者に恋愛要素を暗示するタイトル。雨の日やカフェなどのロマンチックな要素を含むタイトルは人気がある。

「街角の魔法使い」
ジャンル:ファンタジー
読者に興味を引くファンタジー要素を反映したタイトル。街角と魔法使いの組み合わせは、不思議な雰囲気を表現し、ファンタジー要素を表現している。

ライト文芸作品のタイトル案


まあ、そこそこですかね。

アイデアのたたき台くらいにはなりそうです。


ライト文芸作品はかなりバラエティに富んでいるので、特徴を掴みにくいのだと思います。

たとえば男子向けライトノベルを分析すると、もっと特徴が出ます。↓

まず、データからライトノベル特有のタイトルを分析するために、以下のような共通点が見られます。

1.主人公が特別な存在である。
2.異世界やゲームのような架空の場所が舞台となっている。
3.主人公が強い力を持っていることが多い。
4.キャッチーなタイトルである。


これらの共通点から、ライトノベル特有のタイトルを作成するためには、以下のステップを踏んで考えることができます。

1.主人公が特別な存在であることを示す言葉をタイトルに含める。
2.舞台となる異世界やゲームの名前をタイトルに含める。
3.主人公が持っている力やスキルをタイトルに含める。
4.キャッチーで印象的なタイトルを作る。

また、データから、タイトルの長さや内容よりもキャッチーで印象的なタイトルの方が売上が高いことがわかりました。そのため、ライトノベル特有のタイトルを作成する際には、読者を引き込むキャッチーなタイトルを意識することが重要です。

ライトノベルの分析


ほどほどに説得力はありますね。
実際の出力には作品例も示されています。

売れそうなタイトル案はこちらです。↓

売れそうなタイトル案


わりとありそうなタイトルですね。

やはり、偏ったジャンルの方が特徴を掴みやすいようです。

それぞれの条件を点数化して、総合スコアがある点数以上になるまでタイトル案を修正させていくのも良い方法かもしれません。
(ChatGPTに繰り返させる)



……というわけで今回はここまでです。

タイトルデータさえあれば手軽にできるので、試してみてください。

取っ掛かりくらいは出せると思います。

特に、新しいジャンルに挑戦するときは重宝しそうです。


今回のまとめ

小説を書く人のためのChatGPT「アイデアのたたき台を出す方法」でした。

  1. AIに良いアイデアを出させるのは難しい印象

  2. タイトル案を出させ、たたき台にする方法が手軽

    1. タイトルデータを集める

    2. 特徴を分析させる

    3. タイトル案を出力させる

  3. 偏りのあるジャンルの方が特徴を掴みやすい
    レーベルやジャンル(ファンタジー、ラブコメなど)を限定した方が良い結果が得られそう

  4. スコア化して繰り返させる手もあり

何かもっと上手い方法がある気はしますね。

参考になれば。

それではまたくまー。


(おまけ)

さきほど記事を読んでくださっている方から、嬉しいご報告をいただきました!

記事にもされていないようなので明言は控えますが、素晴らしい結果が出たそうです!

おめでとうございます!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?