見出し画像

小説のアイデアや題材の良し悪しをチェックする方法 【中級者レベル】

崖っぷち作家のニジマルカです。

「アイデアや題材の良し悪しをチェックする方法」、今回は中級者レベルです。

前回の記事はこちら。↓


前回のおさらい

前回は「初心者レベル」のチェック方法をご紹介しました。

「普通と違うかどうか」を確認するのでしたね。

普通のことは普通の生活で起こるので、小説にする必要がありません。


小説は「文章」「ストーリー」「登場人物」「設定・アイデア」「テーマ」くらいに分けられますが、このうちのどれかに普通とはちょっと違うものを混ぜるのが簡単です。

普通とは違うものを混ぜることで、初めて普通の小説になります。


レベル別に以下のようにチェックしていきますが、

  1. 初心者レベル:普通と違うか?

  2. 中級者レベル:驚きがあるか?

  3. 上級者レベル:勝負できるか?

中級者レベルは、初心者レベルの「普通と違うか?」のチェックもクリアしていると考えてください。

上のレベルは、それより下のレベルも満たしているということです。


それでは今回は「中級者レベル」です。


中級者レベル:驚きがあるか?

中級者は、短編なら5〜10作、長編なら3〜5作を書いた辺りの人です。

中級者の方の指針は

その題材やアイデアに「驚きがあるかどうか」

です。


驚きといっても、ただ驚かせばいいわけではありません。

たとえば、日常的な話なのに、最後に登場人物が全員死ねば、読者は驚くでしょう。

一度くらいはアリかもしれませんが、そういったものは、たとえれば、大きな音で驚かせるホラー映画みたいなものです。

ただ反射的に驚くだけで、二度引っかかるものではありません。


中級者の方が目指すのは、そういうただの驚きではなく、納得性のある驚きです。


納得性のある驚き

驚きとは意外性のことですから、納得性とは相反する性質です。

ですから、ある意味、納得性のある驚きというのは矛盾しているのですね。


ちょっと難しいことを言うと、こういった矛盾するところにこそエネルギーが生まれます。

「矛盾」というのはある種の過剰さであり、何かと何かがせめぎあっているような状態です。

ですので、その境界にエネルギーが生まれ、そのエネルギーが人の心を動かすのです。


さて、話を元に戻しましょう。

納得性のある驚きというのは、簡単にセリフで言うと、こうです。↓

「なるほど、そういうことか!」

セリフに補足すると、

「なるほど、(驚いたけど)そういうことか(納得した)!」

です。


図にするとわかりやすいでしょう。↓

予想どおりのことが起こると、読者は「そうだよね」「そうなるよね」と安心します。

この方向は秩序であり、論理です。


一方、まったく予想もしなかったことが起こると、読者は「なにそれ!?」「なんでそうなるの!?」と驚きます。

こちらの方向は混沌であり、不合理です。


この2つの境界にあるのが、予想を少しだけ越えた驚きです。

予想どおりではないので驚きはある。

でもただの驚きではなく納得性がある。

ですので読者は「なるほど、そうなるのか!」「あ、そういうことね!」と驚きつつ、納得するわけです。


中級者が目指すのは、読者のこの反応です。

ちょっと極端にいえば、読者は「なるほど、そうなるのか!」と言いたくて小説を読んでいると言ってもいいでしょう。


伏線を回収する

納得性のある驚きとはどういうものか、だいたいわかったと思います。

では、「なるほど、そうなるのか!」という反応を引き出すにはどうすればいいでしょうか?

ごく簡単にいうと、伏線を回収すればいいです。


伏線とは、事前に出しておく展開の手かがりのことです。

最初の方にヒントを出しておいて、最後にそのヒントによって物語が解決すると、「あれはこういうことだったのか!」と納得性のある驚きが起こります。

たとえば最初の方で「siriに時間を聞いている主人公」を描写し、普通の生活をしていると思わせておいて、最後に「実は主人公は目が見えなかった」とわかれば、「ああ、そういうことか!」となりますよね。

こういったものが伏線の回収です。


上の例はあからさまですが、もっとぼんやりした伏線回収もあるでしょう。

たとえば、物語全体がなにか別の物語のメタファーになっていて、劇中で主人公がその物語について言及しているとか、そういったものでもぼんやりと何かを感じさせることはできると思います。

そういう場合は「ああ、そういうことか!」という劇的な反応ではなく、読んでちょっと経ったあとで「もしかしてあれって……」とじわーっ驚きが来る感じでしょうね。


どのようなテイストにするかは好き好きでしょうが、「何か不思議なことが起こりました。終わり」ではなく、読後にわずかでも驚きの余韻を残すことを意識してみてください。

驚きについては以下の記事も参考になるかもしれません。↓


今回のまとめ

「アイデアや題材の良し悪しをチェックする方法 【中級者レベル】」でした。

  1. 中級者は「驚きがあるかどうか」を確認する

  2. 目指すのは納得性のある驚き

  3. 納得性のある驚き=「なるほど、そういうことか!」

  4. 伏線を回収すればいい

  5. 伏線回収の仕方はさまざまある

小説を読むのは、ある意味、驚くためだと言えるでしょうね。

次回は上級者レベルです。↓

それではまたくまー。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?