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アイデアメモの取り方〜小説のちょっとしたコツ

崖っぷち作家のニジマルカです。

小説のちょっとしたコツや小技をご紹介するシリーズ。

今回は「アイデアメモの取り方」です。


メモはほとんど役に立たない

アイデア出しの本を読むと、よく「日頃から気になったことをメモしておきましょう」と書いてありますよね。

私も「なるほど」と思って、ずいぶんたくさんのメモを取ってきましたが、漠然としたメモが役に立ったことはほぼありません。

「この本の著者は本当にこんなやり方でアイデアを出しているのか?」といぶかしく思ったほどです。


ですが、いろいろなやり方を試してみて、「創作には創作のメモの取り方があるな」とだんだんわかってきました。

そういうわけで今回は、創作のためのメモの取り方をご紹介します。


アイデア出しの基本

メモの前に、まずアイデア出しの基本的な考え方を押さえておきましょう。

「アイデアとは既存の要素の組み合わせだ」と聞いたことがあると思います。

その考え方に則れば、創作においてアイデアを出すというのはこういうことです。↓

アイデア = 刺激語 × ジャンル(または書こうとしている話)


刺激語というのは、連想や発想を促すための刺激となるワードのことです。

ジャンルは、これから書こうと思っている話のジャンルのことですね。

たとえば「日常的な話」とか「現代もの」とか「ファンタジー」などになります。
(「書こうとしている話」そのものでもいいです)


つまり、創作のアイデアを出すときは、ある程度ジャンル(話)を決め、そこに刺激となるワードからの連想を組み合わせればいいわけです。


ではこの場合の「メモを取る」とは、正確にはどういう意味でしょうか?

それは、「刺激語のリストを作っておく」ということです。


メモを取る=刺激語のリストを作る

創作において「メモを取る」というのは、漠然と気になったものをメモすることではありません。

ここを間違えると、使えないメモを大量に作ることになります。


上で書いたとおり、「メモを取る」というのは「刺激語のリストを作ること」だとはっきりわかっておきましょう。

それ以外のメモはほとんど役に立ちません。

一般的なアイデアメモはおおざっぱなものでも大丈夫なのですが、創作の場合はもっと絞る必要があるのです。


刺激語リストのつくり方

では、日頃から何に気をつけて刺激語リストを作ればいいか考えてみましょう。

「ファンタジー」などはちょっと違うのですが、おおざっぱに「現代もの」を書きたい場合は、以下の2つをメモに残すといいです。

  1. 世間で起こった問題

  2. 何かを解決した方法


物語は「問題」と「解決」で成り立っています。

ですから、新しい物語を作るには「新しい問題」か「新しい解決方法」を考えるのが手っ取り早いです。


世間で起こった問題をメモしておくと、そこから連想して新しい問題を考え出すことができます。

メモを取る際は、自分が気になった問題だけを残しておくといいでしょう。

アイデアを出すときに「自分は何に引っかかったんだろう?」と考えることができるからです。


また何らかの問題の解決方法を見かけたら、それもメモしておくといいですね。

技術的な解決方法が多いと思いますが、なにか上手い方法があれば、物語に活かすことができるかもしれません。


問題の実例

問題といってもわかりにくいかもしれませんので、例を出しておきましょう。

こんな感じです。↓

  • twitterでのバイトテロ

  • 予約を直前でキャンセルする

  • フェミニストが激怒するポスター

  • キャンプ場がゴミだらけ

  • M-1点数付け問題

  • あおり運転

  • 倍速で映画を見る

  • スポーツ盗撮

  • 実は企業案件だった

  • 「漫画村で読みました」と作者に感想を送る

  • 猫動画で家が建つ

  • PCR検査を受けるとお金がもらえる

  • 置き配の荷物を盗む

ときどきニュースサイトやSNSを回って、世間の問題や炎上案件をメモしておくといいでしょう。


ですが、上でも書いたように、「自分が気になった」「引っかかった」問題だけをメモするのがコツです。

具体的には「問題」を見かけたとき、「見てみよう」とか「詳しく知りたい」とアクションを起こしたものだけを残しておくといいですね。

そういった問題は自分自身と関係しており、考える価値のある問題だからです。


世間で騒ぎになったり、炎上した案件には、多くの人の心に引っかかるポイントがあります。

そのポイントを「新しい問題」として抽出できれば、新しい物語を作り出すことができるでしょう。


実際のアイデア出し作業

刺激語リストがあるとして、実際にアイデアを出すとき、どういう作業になるか具体的に見ておきましょう。

書こうとする話やジャンルがだいたい決まったら、刺激語リストから適当に抜き出し、掛け合わせて最初のアイデアを出していきます。

刺激語リストは単なるワードリストと考えてもいいです。


たとえば「学園ミステリ」を書くとします。

刺激語からの連想と「学園ミステリ」を組み合わせてアイデアを出します。

表にするとわかりやすいでしょう。↓

刺激語と「学園ミステリ」を組み合わせる


出たアイデアが使えるかどうかはさておき、刺激語と書こうとする話(ジャンル)を組み合わせると、いくつもアイデアが出せることがわかると思います。

この中から良いアイデアがあれば、さらに練っていけばいいですし、良いアイデアがなければ別の刺激語を使ってやり直せばいいだけです。


このように日頃から刺激語リストを作っておけば、最初のアイデアを出すのに苦労しなくなるのです。


今回のまとめ

小説のちょっとしたコツ「アイデアメモの取り方」でした。

  1. 漠然と気になったことをメモしても、ほとんど役に立たない

  2. 創作のアイデアを出すためのメモは、もっと絞る必要がある。

  3. アイデア = 刺激語 × ジャンル

  4. メモを取る = 刺激語のリストをつくる

  5. 現代ものでは「世間で起こった問題」「見かけた解決法」をメモしておく

  6. 自分がアクションを起こそうと思ったものだけを残すのがコツ

  7. 刺激語からの連想と書こうとしている話を組み合わせてアイデアを出す

「問題」と「解決」の刺激語リストで上手くいかないときは、自分なりに工夫してみるといいでしょう。

いずれにせよ、漠然としたメモはほとんど役に立ちません。

創作に使う場合は、ある程度、具体的なメモでないと活用できない、というのが今のところの結論です。

それではまたくまー。

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