書き始める前に最低限決めておくこと
小説を書くにはいろいろなことを考える必要があるのですが、初心者のころは決めることが多すぎて混乱してしまうものです。
考えすぎて書き始められない人もいるでしょう。
今回は小説初心者さん向けに「とにかくこれだけ決めればいい」という項目を見ていきます。
1行にできればいい
「物語とは何か?」と問われて、すぐに答えることができますか?
いろいろ複雑に考えてしまうかもしれませんが、答えはシンプルです。
物語 = 問題を解決する過程
何かの問題が起こり、それを解決する——その過程を描くのが物語です。
ですから、物語というのは以下のような1行にまとめることができます。
○○という主人公が、□□という問題を解決し、△△する話
この1行を作ることができれば、面白いかどうかはさておき、とりあえず話にはなっています。
ですので、この1行を分解した以下の3つさえ決めれば、書き始めることができるわけです。
主人公 : 〜という主人公が
問題と解決 : 〜という問題を解決し
結末 : 〜する話
それぞれ簡単に見ていきましょう。
1.主人公
1つ目は主人公です。
主人公で最低限決めるのは以下です。
名前
動機
1.名前
とりあえず主人公の名前は必要です。
名前がない場合もありますが、その場合でも主語は必要なので、彼、私、その女、など、なんでもいいので決めましょう。
2.動機
動機とは「〜したい」という欲望のことです。
主人公が「何をしたい人なのか」を決めると考えればいいです。
おおざっぱなところでは、
何かになりたい
何かをしたい
何かが欲しい
何かを知りたい
何かを感じたい
などを具体的にすればいいでしょう。
たとえばで言うと、
漫画家になりたい
自転車で世界一周したい
彼氏が欲しい
出生の秘密を知りたい
罪悪感を感じたい
などですね。
最初は「〜したい」と思っておらず、事件に巻き込まれた後で、動機が発生する場合もあります。
たとえば、ヤクザに追われている女の子と偶然出会ったことで、「この子を助けたい」という動機が生まれる場合などですね。
このように、物語が進むうちに動機が決まってもいいです。
とにかく「〜したい」という動機がなければ主人公が動かず、主人公が動かなければ問題も起きません。
問題が起きなければ解決することもできないので、そもそも動機がなければ話にならないのです。
2.問題と解決
2つ目は問題と解決です。
主人公に動機が芽生えると、それに対抗する形で問題が生じます。
たとえば、
動機: 漫画家になりたい
問題: 絵は描けるけど話が作れない
などですね。
「漫画家になりたい」という主人公の動機を邪魔するのが問題です。
作者の仕事は、主人公がゴールするのを邪魔することです。
簡単にゴールさせないために、いくつも問題を出して主人公を困らせるわけです。
典型的な長編では4回問題が起こります。
小さな問題が3回起こり、最後に物語全体に関係する大きな問題が起こるのが普通です。
たとえば上の例で言えば、
1つ目の問題: 絵は描けるが話が作れない
2つ目の問題: 漫画研究会を作るため文化祭で即興漫画を披露する
3つ目の問題: 卑怯なライバルが自分の作品を盗作する
最後の問題 : 新人賞で勝ち抜く
などがあり得るかもしれません。
問題と解決はセットですが、解決は後で考えてもいいです。
とにかく最初は、4つの問題だけ決めれば書き始められます。
「問題を4つなんて考えつかない!」ということであれば、1つだけ決めてみましょう。
最後の問題が一番簡単です。
「漫画家になりたい」という動機なら、「漫画家になれるかなれないかの結果が出る問題」を起こせばいいだけですから、「新人賞」などになるのが分かると思います。
(他にも何か適当に「マンガ甲子園」みたいなイベントを考えてもいいです)
「彼氏が欲しい」なら最後は「二人きりのデート」かもしれませんし、「告白」かもしれません。
その彼氏に彼女がいるなら、その彼女との修羅場が最後の問題になるのもいいですね。
最後の問題はわりと簡単に決められるので、そこまで進む間に何が起きそうか考えれば、そのほかの問題も考えつくでしょう。
この辺りは別の記事で詳しく考えてみてもいいかもしれません。
短編の場合、問題は1つだけで良さそうです。
たくさん考えても、短い枚数に収めることができません。
ですから、1つ決めればすぐに書き始めてもいいでしょう。
3.結末
3つ目は結末です。
基本的に結末はこれで充分です。
動機が満たされて終わる
いわゆるハッピーエンドですね。
たとえば、
動機: 漫画家になりたい
結末: 漫画家になった
で問題ありません。
結末で捻りたいこともあるでしょうが、最初はごく普通にハッピーエンドにしておけばいいと思います。
あるいは、もし結末で動機が満たされなくても、何か別のものが手に入るようにしてあげるといいです。
たとえば、「イケメンの彼氏はできなかったけど、ずっと側にいてくれた幼なじみの大切さに気づき、恋が始まる予感がする」といった感じです。
ジャンルにも寄りますが、主人公が良い結末にたどり着かないと、読者も辛くなります。
あまり読者をいじめないように調整するといいでしょう。
さて、ここまで考えれば、物語を端的に表す1行を作ることができます。
〜という主人公が、〜という問題を解決し、〜する話
この1行ができれば、書き始めても大きく迷うことはないでしょう。
今回のまとめ
「書き始める前に最低限決めておくこと」でした。
1行にできればいい
〜という主人公が
〜という問題を解決し
〜する話
主人公で決めること
名前
動機
問題と解決
動機を邪魔するのが問題
長編は問題が4回出る
解決策は後でもいい
短編は問題が1つでもいい
結末
動機が満たされれば充分
最初はハッピーエンドを考える
動機が満たされなくても、何か別なものが手に入るようにする
あまり読者を辛くさせない
最低限といっても、長編は考えることがそれなりにあります。
短編なら問題が1つでいいので、書き始めるハードルは低いです。
それではまたべあー。
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