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執筆するときの調べ物のコツ

先日、フォロワーの方から「調べ物のやり方を教えて欲しい」とお問い合わせいただきました。

メールありがとうございます!

……とは言え、正直なところ、私が書いているのはなんちゃってファンタジーなので、それほど調べることはありません。

ですが、せっかくなので、ちょっと考えてみることにしました。

役に立つかどうかわからないのですが、今回は私なりの調べ物のコツです。


調べる手順

さっそく調べる手順ですが、常識的な進め方はこんな感じでしょう。↓

  1. 何を調べるのか明確にする

  2. ネットでざっくり調べる(予備調査)

  3. 本でじっくり調べる(本調査)


これからそれぞれ見ていきますが、例があるとわかりやすいと思います。

そこで、以前書こうと思ってちょっと調べていたホラーを題材にして説明していきます。


0.題材となる作品

書こうと思っていたのは、リングのパクリみたいな話です。

だいたいの流れはこんな感じです。↓

1.親友が何かの儀式をしてしまった。
2.おびえる親友を元気づけるため、主人公も儀式をしてしまう。
3.親友が死亡。儀式が本物だとわかる。
4.呪いを解くため、呪いの源を探ることに。
5.いろいろあって、ある梓巫女が呪いの源だとわかった。
6.洞窟に巫女の遺骸を探しに行く。
7.なんやかんやあって呪いは解けた。

もろパクリですね。

これを例に、どう調べていくか具体的に見ていきましょう。


1.何を調べるのか明確にする

前提として、おおまかなプロットくらいは出来ているとします。

ある程度プロットが出来ていないと、何を調べればいいかもわからないはずです。


では、上のざっくりプロットを見て、何を調べるべきか考えていきましょう。

この話は「梓巫女の呪い」がそもそもの発端です。

ですから、調べるのは主に、「梓巫女にどういったいきさつがあり得たか」ということになるでしょう。


それを踏まえると、このくらいは調べる必要がありそうです。↓

5W1Hで整理すると抜けなく考えられると思います。

  • who:梓巫女とは何か

    • 来歴や特徴など

  • when:時代

    • どのくらい前までいたか

    • その時代の風俗、習俗など

  • where:場所

    • どの辺りにいたか

    • 舞台になる村などの立地、村の様子

    • クライマックスの洞窟はどこにするか

    • 主人公の所在地、物語の舞台はどの辺り?

  • why:理由

    • 呪う理由に時代的な背景が必要か?

  • what:何が起こったか

    • 呪いのきっかけとなる事件にも時代的な背景が必要か?

  • how:どのように呪うか

    • これは時代的なものは必要ない?


これらをおおまかにまとめると、調べるのは、

  • 梓巫女のこと

  • その時代の雰囲気

  • 場所の候補

あたりかなと目星をつけられると思います。


2.ネットでざっくり調べる

何を調べるかはっきりしたら、ネットでざっくり調べてみましょう。

「梓巫女」で調べると、wikiを筆頭にいろいろ引っかかります。


関連キーワードとして、「巫女」「歩き巫女」「市子」「梓弓」「神がかり」「口寄せ」「霊媒師」などがあるので、それらも調べて、なんとなくのイメージを掴んでいきます。


場所のキーワードにも注目しましょう。

「関東地方から東北地方にかけて分布する巫女」「津軽地方」「三陸地方」

場所がその辺りだとすれば、その呪いがどうやって主人公のところまで伝わってきたのか考える必要がありますし、あるいは、主人公はその辺りに住んでいると設定してもいいですね。

ほかにも、手近にクライマックス用の洞窟があるかどうか調べて、良い場所が見つかれば、主人公の所在地をだいたい決められます。


また、「藩のスパイみたいな役割を果たす」「売春婦も兼ねていた」などの記述は、呪いの理由などにも使えそうですね。


参考文献などもわかってくるので、それもメモしておくといいでしょう。


3.本でじっくり調べる

ある程度、ネットで調べてイメージが掴めたら、次は本を調べましょう。

アマゾンなどで検索すれば、いくらでも見つかると思います。


昔の本は高かったりするので、図書館を利用するといいです。

アマゾンで調べた本が、近くの図書館にあるかどうか調べられるブラウザ拡張なども便利です。↓


資料の選び方・読み方

さて、アマゾンや図書館で調べて、資料の候補が出せたとします。

次に、資料の選び方、読み方を見ていきましょう。


集めた資料を片っ端から読めばいいかというと、そういうわけでもありません。

この場合なら、資料を全部読めば「梓巫女」についてものすごく詳しくなりますが、そんなに詳しくなっても仕方がないです。

やりたいことは小説を書くことであって、梓巫女博士になることではないからですね。


ですから、まずはこう考えるといいでしょう。

詳しさのレベルをだいたい合わせる


この場合、「梓巫女」ばかりに詳しくなるより、その周辺情報である「その時代の雰囲気」「習俗、慣習」「その時代の村々(場所)」などを、まんべんなく、薄く知った方がいいです。

図にすると、こんな感じです。↓

まずは広く浅く調べる


梓巫女に詳しくなれば、梓巫女関連のことは詳しく書けます。

ですが、時代の雰囲気や村々の様子は詳しく書けません。

調べていないからですね。

すると、作品内での詳しさのレベルに違いが出てきます。


読者はその作品を読んで、こう思うでしょう。

「梓巫女の描写は詳細なのに、村の様子はふわっとしてるなあ」

「これはどうやら調べてないな」


描写や説明の量、精度に大きな差があると、読者は違和感を覚えます。

基本的に、物語以外のことに、読者の意識を向かわせてはいけません。

ですから、作品内での詳しさのレベルは、ある程度合わせた方がいいのです。


甘めの調査でも、全体的な詳しさのレベルが揃っていれば、読者は「そんなものか」と思って読み進めてくれます。

ですので、ぜんぶ詳しく調べなくても大丈夫です。

具体的には、梓巫女について、その時代の風俗について、村々についての本を1冊ずつ読んでいけばいいでしょう。


もちろん、全体的に詳しく書けるなら、それに越したことはありません。

ですが、そこまでするのは大変ですし、ジャンルによってはやりすぎになります。

読者は、詳しく知りたいのではなく、物語を楽しみたいだけです。

そのことを忘れないようにするといいですね。


調査に使うエネルギーも時間も限られています。

まずは、そのエネルギーを詳しく調べるのに費やすのではなく、広く浅く調べることに使ってみてください。

その方が、作品の全体的なクオリティアップに繋がります。


今回のまとめ

「執筆するときの調べ物のコツ」でした。

  1. 何を調べるのか明確にする
    5W1Hで考えると抜けなく整理できる

  2. ネットでざっくり調べる
    関連キーワードを数珠つなぎに調べていく

  3. 本でじっくり調べる
    アマゾンや図書館で候補を出す

  4. 作品内の詳しさのレベルは合わせた方がいい

  5. まずは広く浅く周辺情報を含めて調べる

  6. 読者は知りたいのではなく楽しみたいだけ

  7. 作者の仕事は、情報を伝えることではなく、読者を楽しませること

さて、こんな感じですが、答えになっていましたでしょうか?

ちょっと書ききれなかった点もありますが、それはまた別の機会に。

お問い合わせありがとうございました!

それではまたくまー。

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