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新人賞のゲスい選び方

崖っぷち作家のニジマルカです。

「今年は新人賞に出そう!」と決めている人もいますよね。

ごく普通にどこに出すかを決めてもいいのですが、少し立ち止まって、新人賞選びから考えてみるのもいいと思います。

そういうわけで今回は「新人賞のゲスい選び方」です。


ごく普通の選び方

どこの新人賞に出すかを決めるとき、一番オーソドックスなのは、

  • 自分が好きな作品を出している出版社の新人賞を選ぶ

ことでしょう。

これは理屈にも合っています。

あなたが好きな作品を出しているということは、出版社の好みとあなたの好みが合っているわけですから、作品の齟齬が起こりにくいと考えられるからです。


もう1つの方法は、

  • 作品を書いてから、作品に合う新人賞を選ぶ

ことです。

これもごく自然な流れでしょう。

作品を書くときは、ぼんやりとでもジャンルを絞っているものです。

作品を完成させてから、そのジャンルの新人賞を調べ、規定や締切がクリアできそうなところに送るのもよくあることでしょう。


もちろん、これらの方法で上手くいくならそれでもいいですし、否定するわけではありません。

ですが、私はまったく違う考え方で新人賞を選びました。

おそらく、小説が本当に好きな人にはできない方法なのですが、参考までにご紹介します。


そもそもどうなりたいか

少し遠回りして考えていきましょう。

小説を書いている人には、大きくわけて2通りの人がいます。

それは、

  1. 小説が書きたい人

  2. 作家になりたい人

です。


1の「小説が書きたい人」というのは、簡単にいうと、小説が好きな人です。

たくさんの小説を読んできて、自分も書いてみたいなと思って自然に書き始めた人が多いと思います。


一方、2の「作家になりたい人」というのは、作家という職業につきたい人です。

作家業で生きていくと決めただけですから、実は小説が大好きというわけでもなかったりします。


また、世間にはこの2つを両立できるすごい人もいます。

小説が好きで書いていたら、いつの間にか作家になってしまった人ですね。

こういう人は、とても幸運で才能のある人です。

多くの人にとって、こうなるのが理想でしょう。


ところで、私自身はどうかというと、完全に2の「作家になりたい人」です。

作家という職につくことだけを目指していました。

私は、自分には才能がないとわかっていましたので、1と2を両立できるなどと考えたことはありません。


さて、みなさんはどっちの人でしょうか?

小説を書きたいのか、作家になりたいのか、またはその両方なのか。

小説を書ければ満足なのか、作家という職業で生きていきたいのか、どちらでしょう。


「そもそも自分はどうなりたいのか」

新年にあたってちょっと考えてみるのもいいと思います。

もし両方というなら、さらに自分に問うてみるといいですね。

「自分には、それほどの才能があるだろうか?」


想像できないものになるのは難しい

私は「作家になりたい」のであって、それ以外のことは眼中にありませんでした。

ですから、極端なことを言えば、どんな小説を書いても構わなかったのです。


私はミステリが好きですが、ミステリ作家になれるとは思えませんでした。

悔しいですが、ミステリを書き続けられるほどの能力は私にはありません。


目指しているジャンルや新人賞があるなら、ちょっと想像してみるといいですね。

そのジャンルのヒット作に囲まれて、あなたの作品が平台に置いてあるのを想像してみましょう。

たとえば東野圭吾さんと宮部みゆきさんの作品の間に、あなたの新作があるのです。

果たして、読者はあなたの作品を選ぶでしょうか?

読者があなたの作品に手を伸ばすのを、確信を持ってイメージできますか?


ちょっと残酷なことを言えば、どうやら想像できないものにはなれないようです。

恐れ多くて想像できないなら、なるのは相当難しいと覚悟しましょう。

想像できないものになるのはかなり難しいのです。


作家になりたい人の戦い方

「作家になりたい人」の戦い方はシンプルです。

作家になれるなら、方法は一切問いません。

方法にこだわりはなく、結果だけを求める戦い方です。


ですから、新人賞の選び方もこうなるわけですね。

  • 受賞できそうなジャンルの新人賞を選ぶ


とても失礼な考え方ですが、私は「ここならなんとか受賞できそう」というジャンルを選びました。

上で書いた表現を使えば、受賞して作品が台に並ぶのを想像できたところを選んだのです。


ですから「大好きなジャンルか?」と問われると、正直なところ、ちょっと言いよどんでしまいます。

ですが、そういった割り切りができなければ、私が作家になるのは難しかっただろうとも思いますね。


なぜ新人賞に出しているのか

さて、上で書いたとおり、小説を書いている人は、

  1. 小説を書きたい人

  2. 作家になりたい人

の2つにわけられます。

この2つは、こう表現することもできるでしょう。

  1. 過程を楽しむ人

  2. 結果を求める人


過程か結果かというのは、いろいろなところで見聞きする問題です。

どちらが良いのかはよくわかりません。

いろいろな本を読むと、1の過程を楽しめる人の方が幸せ度が高いと言われているようです。


それもよくわかるのですが、私はどうしても2の結果を捨てられません。

結果を求めるのが楽しいからです。

私にとって小説を書くというのは、本が市場に出て上手くいくかどうかまでを含んだものです。

言ってみれば、そこまでが1つのゲームなのですね。

私はそういうゲームが好きなのです。


どちらを選ぶか、別に決めなくてもいいと思います。

ですが、すでに新人賞に出しているなら、多少は態度をはっきりさせた方がいいのではないかと思ったりもします。

是が非でも作家になりたいのか、作家になれたらラッキーくらいに思っているのか。

その方向性によって、自分の時間やエネルギーの使い方が変わってくるでしょう。

新年ですから、一度立ち止まって考えてみるのも悪くないと思います。


今回のまとめ

「新人賞のゲスい選び方」でした。

  1. 普通の選び方は「好きな出版社を選ぶ」「書いた作品に合わせる」

  2. 小説書きは「小説が書きたい人」と「作家になりたい人」にわかれる

  3. ジャンルを選ぶときは、作品が台に並ぶのを想像できるかどうか

  4. 想像できないものにはなりにくい

  5. 作家になりたいなら、なれそうなジャンルを選ぶやり方もある

  6. 過程を楽しみたいのか、結果を求めるのか

かなり偏った考え方なので参考になったかわかりませんが、たまには、自分がそもそもどうなりたいか考えるのもいいですね。

それではまたくまー。

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