日本橋中央法律事務所

金融法務及び不動産法務を得意分野としつつ、信託法務、債権回収などの幅広い業務を行っている事務所です。 契約書、約款等の作成等の予防法務はもちろんのこと、訴訟・紛争業務についても特に力を入れて取り組んでいます。http://nihonbashi-chuo.com/

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    相続税対策のため銀行借入れで不動産を取得した場合の評価方法(最高裁令和4年4月19日判決)

    1 相続人らが、相続財産である不動産の一部について、財産評価基本通達に定める方法により価額を評価して相続税の申告をしたところ、税務署長から、当該不動産の価額を鑑定評価額をもって評価すべきとして行われた更正処分の適法性が裁判で争われた。   結論として、最高裁令和4年4月19日判決は、当該更正処分を「適法」と判断した。上記判例を法的に分析した場合にポイントとなる点を、以下に述べる。 2 最高裁で口頭弁論が開かれたこと  (1) 本件は、一審判決(東京地裁令和元年8月27日判決

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      • 宅建業免許なき者が名義を借りてその利益を分配する合意の効力(最高裁令和3年6月29日判決)

        1 宅建業免許を有しない者が同免許を有する者の名義を借りて不動産取引を行い、当該不動産取引に係る利益を、両者で内部的に分配する旨の合意をした場合に、当該分配合意の効力が私法上有効であるかについて、最高裁判所で判断が下された。 2 最高裁令和3年6月29日判決(民集75巻7号3340頁)は、「無免許業者が宅地建物取引業を営むために宅建業者からその名義を借り、当該名義を借りてされた取引による利益を両者で分配する旨の合意は、同法12条1項及び13条1項の趣旨に反するものとして、公

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        • 譲渡担保の被担保債権の範囲

          1 動産譲渡担保及び債権譲渡担保を設定する場合、その譲渡担保契約において、「被担保債権」が必ず設定される。実務上、被担保債権を抽象的な文言のみで記載する事例もあるが、その場合に、被担保債権の範囲、すなわち、どの債権まで被担保債権としての対象に含まれるのかが争いになることがある。 2 この点については、明確に法律に定めがあるわけではなく、また、議論としても十分に尽くされていない状況である。ただ、「債権譲渡担保権設定契約書(参考例)解説書」の2頁によれば、「『担保権者(乙)が設

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          • 不法行為における金銭賠償の原則

            1 加害者から不法行為(民法709条)を受けことによって、被害者が大切にしていた財物が毀損した場合に、金銭的な賠償を受けることは意味がないと主張して、当該財物を原状に回復するように求めることができるかが問題となる。 2 不法行為を受けた場合の損害賠償の方法としては、金銭賠償の方法と原状回復の方法が考えられるところ、民法722条1項は、不法行為による損害賠償については、原則として金銭賠償の方法によることとしている。   金銭賠償の方法を採用した点について、「本来、損害賠償は、

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            • 不法行為時における被害者の損害軽減義務の程度

              1 加害者から不法行為(民法709条)を受けた場合、被害者においても、社会通念上、損害回避又は損害減少措置を執るべきことが合理的な行為として期待されると一般的に解されている(損害回避義務又は損害軽減義務)とされ、判例においてもこれを認めたものがいくつか存在するところ、当該義務は、どのような場面で、どのように課されるのかが問題となる。 2(1) そもそも、交通事故によって車両が損傷し、車両を買い替えた事案において、修理不能な状態であったか否かを確定せずに、買い替えに係る費用(

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              • 仮想通貨の不正アクセスにおける免責特約の効力(東京高裁令和2年12月10日判決)

                1 東京高裁令和2年12月10日判決(金融・商事判例1615号40頁)は、仮想通貨交換業者が提供する仮想通貨の取引等に関するサービスにおいて、その利用者のアカウントが不正に利用され、第三者によって行われた仮想通貨の送付に係る取引について、当該サービスに係る利用契約中の免責条項が適用されることによって、当該取引の効力は当該利用者に及ぶ旨判示した。 2 本判決において、「本件規約5条2項(免責条項をいう。筆者註。)は、民法478条の適用により登録ユーザーに損害が生ずることになっ

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                • 相続財産等における使途不明金の立証責任

                  1 老親が高齢のために預貯金等の管理を同居の親族が行っていたところ、当該親が亡くなった後、引き出された預貯金等の資金使途が明らかでない場合(使途不明金)には、その資金使途をめぐって、相続人間で紛争になることがある。この紛争は、不当利得に基づく利得返還請求(又は不法行為に基づく損害賠償請求)として地方裁判所等(家庭裁判所ではなく)で民事事件として取り扱われることが多いところ、その立証責任がどちらにあると考えるのかが訴訟の帰趨に大きな影響を与えることになる。 2 まず、不当利得

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                  • 借地権を設定している土地の有効利用と立退料

                    1 所有する土地に、現在、借地人が建物を建設して事業を行っている事案において、借地料だけでは利回りが不十分であると考え、いずれ退去してもらい、更地にした上で、自分でアパートを建てて家賃収入を得ることを計画した場合、どのようにして、借地人に土地の明渡しを求めることができるのかが問題となる。 2  まず、建物所有を目的とする借地契約において、存続期間の途中に解約できる条項を設けても無効であると解されている(借地借家法9条)。したがって、土地の明渡しを求めたい場合には、借地期間の

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                    • 監査役の職務と責任

                      1 株式会社の監査役は、会社に対して、委任の本旨に従って善良なる管理者の注意をもってその職務を行う義務を負う(会社法330条、民法644条)。そして、監査役は、取締役の職務の執行を監査する(会社法381条1項)と規定されており、かつ、当該監査を行うために、監査役には、事業の報告を求め、又は業務及び財産の状況を調査することができるとされている(同条2項)。そのことから、監査役は、どのような場合に調査権限を行使して調査を行う義務があると解されるのかが問題となる。 2 この点、①

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                      • 従業員等の引抜行為と損害発生期間

                        1 ある会社が競争会社の従業員に対して、自社に転職するよう勧誘などを行って引き抜いた場合、当該引抜行為によって競争会社が被った損害を賠償する責任があるかどうかが問題となる。 2 まず、最高裁平成22年3月25日判決では、競業避止義務の特約等がなく退職した社員が、退職した会社と同種の事業を営み、その取引先から継続的に仕事を受注した事案において、「社会通念上自由競争の範囲を逸脱するかどうか」を基準に不法行為に当たるかどうかを判断している。なお、この判例においては、①退職した会社

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                        • 特殊事情の解消による賃料増減額の可能性

                          1 賃貸借契約を締結した当時の当事者間の特殊な事情があったために、賃料が相場よりも著しく低額又は高額であった場合に、その後、この特殊な事情の変更が生じたときに、借地借家法32条1項に基づく、賃料増減額請求が認められるかどうかが問題となる。 2 そもそも、借地借家法32条1項は、「建物の借賃が・・・不相当となったときは・・・将来に向かって建物の借賃を増減を請求することができる」と規定しており、①「不相当性」とは、「当事者が賃料額決定の要素とした事情を含め、当事者間の具体的な事

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                          • 「債権保全を必要とする相当の事由」(銀取約定5条2項5号など)の解釈

                            1 金融機関からの融資は、「債権保全を必要とする相当の事由」が生じたとき、金融機関からの請求によって、その期限の利益を失う旨の条項がある(いわゆる「バスケット条項」と呼ばれる。なお、金融機関ごとに内容は若干異なる。)。この債権保全を必要とする相当の事由とは、具体的にどのような事象が該当するのかが問題となる。 2(1) この点が正面から争われた東京地裁平成19年3月29日(金融法務事情1819号40頁)は、①常時10億円前後は担保のない信用貸越であり、債務者が将来的に建設工事

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                            • サブリース契約締結時に注意すべき事項

                              1 投資用ワンルームマンションなどはサブリース契約を締結している事例が多く存在するが、サブリース契約は、「家賃保証等の契約条件の誤認を原因とするトラブルが多発し、社会問題化」(国土交通省の「賃貸住宅管理業務等の適正化に関する法律(概要版)」より)したことから、賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下「サブリース新法」という。)が成立し、施行されることになった。そこで、サブリース契約における契約条件のトラブルをできる限り避けるため、契約を締結する際に注意すべき事項を、サブ

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                              • サブリース契約の解約に関する最近の裁判例 (東京地裁令和1年11月26日判決の解説)

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                                • サブリースにおける賃料減額又は増額の要件

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                                  • 預貯金債権への情報取得手続(改正民事執行法)

                                    1 改正民事執行法(令和2年施行)により、金融機関等に対する預貯金債権への情報取得手続が可能となった。この預貯金債権への情報取得手続は、全国の本支店の全部の預金口座の残高情報を照会する方式(以下「全店照会方式」という。)による情報取得ができるため、債務者の財産を発見する手続として極めて実効的である。 2 そもそも、従来の実務では、債権者は、勝訴判決などの債務名義を得た後、金融機関等の各支店を特定して預貯金債権への差押えをしなければならなかった。そのため、債務者の自宅近くの金

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