苦草堅一

ニガクサケンイチまたはニガクサ製麺所。小説を書いていますが他のことも書きますし今のとこ…

苦草堅一

ニガクサケンイチまたはニガクサ製麺所。小説を書いていますが他のことも書きますし今のところ何が何だか。

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ニガクサ製麺所 製品一覧(もとい書いた小説の一覧)

社員紹介 社員1名。苦草堅一(ニガクサケンイチ)。書き分けの理由は特にないですし名前をコロコロ変えたい癖もあります。 趣味は地方競馬。 Twitter:@nigakusakennthi 業務内容 小説の執筆。何でも書くつもりでいるが、ストレートなギャグか謎の実験小説が多い。「二八蕎麦怒鳴る」の製造元なので製麺所を名乗ってみた。 社史・製品情報(個人的に気に入ってるのは★) 1991‐2019 ・一貫してウダウダと燻る。公募に出したり出さなかったりの後、色々あって落ち込んで

    • 県北戦士アガキタイオン番外編『村上茶買います』

      ※「阿賀北ノベルジャム」参加作品の『有限会社新潟防衛軍』『県北戦士アガキタイオン』の二次創作を募集するグランプリ「いぬねこグランプリ」の参加作品の「村上茶売ります」です。つまりこれがどういうことなのか知りたい方は『県北戦士アガキタイオン』と、残念ながら織り込めなかった『有限会社新潟防衛軍』の二作を今すぐチェックだ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「本当に作ったの!」  出張から戻ったマキナは、驚きの声を上げた。事務所は衣装素材の段ボールで足の踏み場も

      • 第49話 衝撃の大団円! さらば超煙合体(ちょうえんがったい)エンガオン!

        枯木枕さん「となりあう呼吸」シェアードワールド企画の応募・落選作です。ご笑覧ください。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『第49話 衝撃の大団円! さらば超煙合体エンガオン!』 ●セブンスタータウン・工場跡(夜)   倒れ伏す「エンガオン」メンバー五人。   十全なるピアニコ、資材の上に立っている。   ピアニコ、両腕を広げ、 ピアニコ「話にならないわね、エンガオン! 不完全な「崩れやすい子供たち」では、この十全なるピアニコには傷一つ

        • 飯塚の朗読

          吉田棒一さんのイグBFC2優勝作品「飯塚」(https://note.com/ycdb1/n/n9241254b0c35)を勝手ながら朗読いたしました。

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          新しい私なのぞよ(BFC3幻の2回戦作)

          (noteテキスト版は下部)  一倉さんは魔法使いで、もう要らない魔法があるそうで。だったらあたしにちょうだい! 構わないわよ。それが事の顛末。カーテンを閉め切った放課後の視聴覚室は異世界みたいで、明りは僅かな夕陽だけ。一倉さんの瞳は濡れた光を蓄えていた。誰もが見惚れる一倉さん。モデルめいた長身、なめらかな黒い髪。壊れ物めいた白い肌、凛と引締まった美貌。かたやあたしは色黒のチンチクリンで、一倉さんと並ぶのも惨めたらしい。 彼女のものが、あたしは欲しかった。 「いいのぉ? そ

          新しい私なのぞよ(BFC3幻の2回戦作)

          ブンゲイファイトクラブ3感想(随時更新)

          グループA ・竹田信弥「幸せな郵便局」は出色。登場人物のバックボーンをじんわりと描きだす手つき。軸となる人物のスイッチもこれ以上ないタイミング。「山田の涙の理由が自分なんじゃないかと考えていた」を挿入するタイミングもまた、これ以上ない。これは理屈ではない部分かなと思う。そういう理屈ではない不思議な「良さ」が、いちばん多かった、不思議な作品。かなりセンスで押して来ている気がする。 ・鞍馬アリス「成長する起案」は堂々としたもの。「伝承の域」「起案を使って消息を伝える」といった言い

          ブンゲイファイトクラブ3感想(随時更新)

          でかい鳥(BFC3落選作)

           (以下、横書きテキスト)  町内放送が流れた。近所の動物園からエミューが逃げ出したらしい。エミューといえば身の丈2メートル近い巨鳥で、飛行能力がない代わりに発達した脚部でもって猛然と駆ける。遭遇した日にはそれなりの危険もあるはずだが町内放送はべらぼうに呑気だった。上り調子にピンポンパンポン、『エミューが逃げましたので、よろしくお願いします』下り調子のピンポンパンポン。終わってしまった。吉村は直ちに役場の防災課に電話した。 「はい防災課の矢部でございます」 「丁度よかっ

          でかい鳥(BFC3落選作)

          オペレッタ寂寥軒

          オペレッタ寂寥軒 元来が人の忠告を全く聞かない性質の吉村君は、ついに行ってしまった。会社近くのラーメン屋『寂寥軒』で昼食をとることにしたのだ。みんな止めた。泣く奴すらいた。だが吉村君の決意は固かった。妙に固かった何故か固かった。上司は仕事をすべて片付けてからにしろと諦めた調子で吉村君に言い渡した。満を持して引継ぎを完了した数日後の正午、吉村君は財布とスマホだけ持って『寂寥軒』へ向かった。実は吉村君は寂寥軒を見たことが無かった。ここ中央区日本橋というビジネス街にあって、ランチタ

          オペレッタ寂寥軒

          【日記】アイカツを見たら書く日記

          【2021.9.17】 #1・「私がアイドルになっても?」  弁当屋の娘の星宮いちごは、友達の霧矢あおいに誘われてアイドル養成学校スターライト学園の編入試験を受ける。天賦の才を発揮して狭き門を潜り抜けるいちご&あおい。いったい何が待ち受けているというのか。  「芸能人はカードが命」とのこと。「芸能人は歯が命」という元々のキャッチコピーを考えた人は天才だが「おしゃもじをマイクに持ち替えて」を生み出したあおい姐さんもプロデュース能力に長けていると思った。試験対策にまず石段を走りこ

          【日記】アイカツを見たら書く日記

          決戦の証明

          (下の方にテキスト版があります。画像重たい方はそちらを)  (横書き版)  決戦の証明     苦草堅一  赤眼島ただ一つの集落である赤眼村、その村長である石添正太郎は驚いていた。それはもう驚いていた。日課の散歩で海岸まで来たところ、浜べりに見慣れぬものが建っている。  祠である。  黒ずんだ木造の祠で、両サイドに取っ手のような一握りサイズの輪がついている。硬く閉ざされた扉は石添の来たほうを、つまりは村のほうを向いている。こんなもん昨日まで確かになくて、と断言できるのも

          決戦の証明

          第2回かぐやSFコンテストを振り返って(および「二八蕎麦怒鳴る」ができるまで)

          苦草堅一です。 というものがあり、 というのを書いて最終選考に残していただきました。 またとない経験でしたので備忘録を書こうと思います。 『二八蕎麦怒鳴る』が出来るまで 大賞受賞者の吉美駿一郎さんが公開されている「アザラシ(略)ができる まで」と経緯が似ており、私も今回のコンテストではパートナーに意見を求めました。日頃は妻に自作を読んで貰ったり、内容を相談することは滅多にありません。趣味が合わないからです。私は日頃からトンチキな作風ですが、妻は私にきちんとしたものを書け

          第2回かぐやSFコンテストを振り返って(および「二八蕎麦怒鳴る」ができるまで)

          第2回かぐやSFコンテスト最終候補作感想など

          ランダム順です。 アザラシの子どもは生まれてから三日間へその緒をつけたまま泳ぐ カッコいいとはこういうことだ(なんかこんなコピーありましたね)。  まず梗概が図抜けていました。意外性と、程よい諦観のある語り口の格好良さです。内容に進んでみても、ジャンル分け不能な無二の読み心地がありました。手触りの新しさにかけては、この作品が一番であったように思います。登場人物たちのビジュアルも、想定の埒外にあるような不思議な感がありました。背景を説明しすぎないことで、会話や文章表現を粋にす

          第2回かぐやSFコンテスト最終候補作感想など

          【小説】遠のき(たぶん3000字)

            遠のき(横書きテキスト)  渡された海図には蜃気楼ばかりが書き込んであり、矯めつ眇めつしても行くべき場所が分からない。とんだデタラメを掴まされたものだと吐き捨てるものの、どうしてか表情は浮かれている。行きたい場所があるのではなく、辿りついた場所に居つくだけのこと。 ※  見世物の前説として不踏島(ふとうとう)のことをすこし。どうしてか距離と時の法則を軽んじがちな貝楼諸島において、不踏島の偏屈ぶりは群を抜く。島は貝楼諸島じゅうのあらゆる位置から視認できるという矛盾

          【小説】遠のき(たぶん3000字)

          ありとあらゆるもの(第4回阿波しらさぎ文学賞・投稿作)

           地球、四十六億年。  その歴史は、あまたの生と死の積重ねで出来ている。いま生きているものより、これまでに死んでいったものたちのほうが、圧倒的に数が多い。理屈のうえでは自明だけれど、ことこれを実感するとなると現世から離れなくちゃいけなくて大変だ。ちっちゃな頃から精霊で、何十年と幽明のあわいをプラプラしていたおれにとっては、この地上はあらゆる幽霊でいつも賑やかなように思うんだけど、ちゃんと命ある人々にとっては山とか川とかしかないがらんどうに見えるらしい。損なことだよ。かたちなき

          ありとあらゆるもの(第4回阿波しらさぎ文学賞・投稿作)

          ハミーについての疑問を検討してみる

           「バゴプラ」掲載小説「かわいいハミー」は、私がこういう最後にダババーっと畳みかける構成を好き好き大好き超愛してることもあってお気に入りの一作なのだが、一般公開後に為された一つの問題提起をきっかけに、界隈が紛糾した。  そのへんを考えないで読んだので、言われてみればそうだなと思い、正当性について考えた。考えれば考えるほどに、正当性はない。  ところが、作品の出発点に倫理的な疑問が生じることと「かわいいハミー」が感動作であることとは、不思議と両立している。なんでなのか考えて

          ハミーについての疑問を検討してみる

          読みかけのディケンズ(第12回六枚道場)+自作解説

          以上、六枚道場・第12回「読みかけのディケンズ」です。 「読みかけのディケンズ」というタイトルでみんなで書いて提出しようというイベントで、むっちゃ新参者なのにノリノリで手を上げて参加させて頂きました。お調子者なので。 以下、言い訳したいことがあるので、解題です。 【文芸サークル『毒猿』】 ・ネーミングに困ると「毒猿」と名付けます。  むかしサークルを立ち上げたことがあったのですが、「本当はサークル名を『ゴリラギャング団』にするつもりだった」と打ち明けたら、後輩から「絶対

          読みかけのディケンズ(第12回六枚道場)+自作解説