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恐竜絶滅の原因は"酸性雨"にあり?! 新有力説の全貌に迫る (#24)


いつからか、人類は我が物顔で地球を闊歩するようになった。しかし、それはごく最近の話。かつては異なる王者がこの惑星を統べていた。


恐竜である。

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彼らはそのファンタジー世界のような造形を以ってして、2億3000万年前から6600万年前のおよそ1億6000万年という長期間に渡り、栄華を極めた。

しかし、その王国は突然に歴史から姿を消した。ご存知の通り、最も有力とされる原因は「隕石」である。6600万年前のとある日、東京都ほどの面積を持つ巨大隕石が、現在のメキシコ・ユカタン半島沿岸に落下した。衝撃の凄まじさは、そのグラウンド・ゼロである「チチュルブ・クレーター」が約200kmの大きさであることからも明白であろう。

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1000km以内のあらゆるものは燃え尽き、それを免れたとしても300m級の巨大津波とマグニチュード10にも及ぶ未曾有の大地震が続けざまに襲ってくる。しかし、これはあくまで短期的な災害に過ぎない。

衝突によって巻き上げられた砂塵等が地球の空を覆った。これによる気候変動が最も厄介なのだ。太陽光が遮られることで、草木は息絶え、それを主食とする草食動物も連鎖的に生存が不可能となった。一説によると、数年近くこの状態が続いたという。

「地獄」以外の言葉では形容できないような凄惨な状況下で、およそ80%の生物が絶滅に追い込まれたという。

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しかしながら

その80%という数字には、多くの疑問符が投げつけられてきた。確かに隕石が及ぼした影響は計り知れないほどに凄まじいものの、そもそも短期的な災害(津波・地震等)により完全に死滅した生物はそこまで多くなかったし、決定打と言われる気候変動も生物の8割を消し去るほどのパワーは待ち得ないのだ。

それに何よりも我々は生命の力強さを知っている。かつてダーウィンが述べたように、生き物には環境に適応するための変異が起きる。これは誰もが知っていることだ。あなたがアメリカ人でなければ、だが。

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より短期的かつ集中的に生物を絶滅させた原因があるはずだ。多くの学者はそう信じ、これまでに多くの仮説を立ててきた。そして最近になって、非常に有力な新説が囁かれるようになった。

その説は生物の8割を絶滅に追いやったのは酸性雨である、としているのだ。

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酸性雨はpH5.6以下の雨のことを指す。ただし、広義にはその性質を持つあらゆる降下現象(ガス・霧等)がその定義に含まれる。

隕石の落下によって硫黄などの酸性雨の原因になりうる物質が空気中に大量放出された。その影響もあって、衝突から一週間は硫酸ほどの酸性度を持つ強烈な雨が降り続いたという。

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(写真: 硫酸をかけたトイレットペーパーが一瞬にして溶ける様子)

その地獄の一週間が終わったとしても、かなり酸性度の強い雨が降りしきったことに変わりはない。これによって地球の海は酸性化し、その状態は約3年間に渡って不変であった。

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我々も恐竜の絶滅に学ぶことは多い。なぜなら、今日の地球もまた、酸性雨をはじめとした数々の異常気象に犯されているからだ。酸性雨は硫酸ほど強くはないにしろ、継続的な環境へのダメージは計り知れない。

隕石によって滅びるならまだしも、我々人類という下等生物が自業自得の環境変化によってその他の生物を巻き込んで絶滅する、なんてことになれば私たちを愛すると言ってくださった神様に顔向けができない。

種としての幕引きを滑稽な形にすることだけは避けたいものだ。


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参考文献

- 草塩拓郎: 『恐竜絶滅 酸性雨も原因?寒冷化に加え有力な説に』, 日本経済新聞, 2019年12月1日, https://www.nikkei.com/article/DGKKZO52769240Z21C19A1MY1000/

- JIJI.COM: 『衝突角度、60度程度か 6600万年前の巨大隕石 英など国際チーム』, 2020年5月29日, https://www.jiji.com/jc/article?k=2020052800719&g=int

- Roff Smith: 『小惑星衝突「恐竜絶滅の日」に何が起きたのか』, NATIONAL GEOGRAPHIC, 2016年6月15日, https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/061400214/









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