75歳のトライアスロン~記録に残らない僕の8時間40分32秒
台湾最南端の墾丁で行われたアイアンマン70.3台湾トライアスロンに参加した。スイム1.9km バイク90kmン21kmという距離を制限時間8時間30分内で完走するレースだ。
スイムは、M字型で沖に向かってビーチ方向に折り返し、また沖に向かいフィニッシュというコース。
風が強かった。波がきつい。沖に向かうのは、比較的波がないけど一周してビーチに向かうと、波がある。
息継ぎが僕にとって、大事なのに顔をあげて口を開けると波で水が口に入ってきてしまう。器官に入り苦しくなる。何度もリタイヤを考えた。
どこでやめようか。どこかな。どこかな。
何度もブイや救助のサーフボードにつかまって休む。
やっと1周してまた、ブイにつかまる。ブイには何人も休んでいる人がいて僕のつかまるところがなく、つめてもらった。ここでやめようか。時間ももうない。だけどあきらめずいってみよう、と泳ぎはじめる。同じブイにつかまっていた人に一緒に行こう、Go!と声をかけたけどその人は首を横にふった。
やっとスイムアップ。タイムオーバーかもしれないけど、バイクに行かせてもらったということは大丈夫だ。
(スイムの制限時間は1時間10分で、僕は1時間8分2秒だった)
バイクコースは、約45kmの折り返し。アップダウンが激しいタフなコースで風が強い。コナウィンドウのように横風でバイクが横にもっていかれ倒れそうになる。
折り返してきたかなこに会った。あとでかなこに聞いたけど僕は、バイクのケツ2だったようだ。だけど僕も折り返してから2,3人抜いた。彼らはもう弱っていて、上りでバイクを下りている人もいた。
上りと風で僕も、彼らもみんなきつい。
あきらめずに頑張ろう。
バイクの関門もあったようだけどクリアしていた。
レースの1週間前に足首を痛め、そこからずっと走っていなかった。台湾にきてもジョグすらしていなかった。
僕の前に走っている人がいなく、コースがわからず不安だった。迷子になりそうだった。上りでやっと人がいた。
ランもアップダウンが激しくタフなコースだったけど、もともと走れないので上りは全部歩いた。走れるところは走ったけど足首の痛みに加えて、何度も脚が攣り、エイドの度にサプリメントを摂った。
15kmぐらいのところで僕と同じエイジグループ(75歳~79歳)の人を抜かした。彼はすでに弱っていた(ランでリタイヤだった)
よし、時間内にゴールできれば1位だ。僕の年代はふたりしかいなかった。完走したら勝者だ。
ランの関門は2分前に通過した。
そこからキロ7分で走れればなんとかなる。
だけどもう走れない。
全部使いきってしまった。
フィニッシュゲートをくぐりメダル、完走Tシャツ、タオルをもらうことができたけどタイムオーバーだ。記録に残らない。
75歳の今の僕の結果だ。
悔しい想いはあるけど、水泳も自転車も走ることも全部できた。途中で投げ出すことはせずあきらめなかった。自分の力全部使うことができた。
スイムで何度もどこでやめようか、考えていた。
バイクは上りと風に苦しみ、ランは脚の攣りに苦しんだ。
制限時間の8時間30分には届かなかったけど僕の8時間40分32秒は今の僕だ。愛しくせつなく、満足だ。
身体と心と頭を使うことが難しくなってきた。
年齢を重ねるということはそういうことだ。
終わってみれば全部楽しい。
ありがとうございました。
Finish Time 8:40:32
Swim 1:08:02
Transition 13:09
Bike 4:10:52
Transition 4:51
Run 3:03:40