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【読書】耳を貸して。子供の頃デパートで 有吉佐和子著閉店時間

有吉佐和子著 閉店時間を読んでいる。
お話の舞台はデパート
デパートにお勤めする仲良し三人組が、
配属先の違いや仕事観の違いなどで、それぞれ違った悩みを抱えるお話。

最近は、オンラインでほしい物がなんでも手に入るようになり、老舗デパートも閉店に追い込まれている。
私の住む街も、デパートとか百貨店が姿を消した。

私が子供の頃は、いつもよりいい服を着せられてデパートに行き、買い物をしたり、屋上で食事をするのが家族で過ごす休日のひとつだった。
デパートの中で、おもちゃ売り場と同じくらい楽しみだったのが、遊び場だった。
靴を脱いで、絨毯が敷いてあるスペースにすべり台とか家にはないような大きなブロックが置いてある。
きっと、親の買い物に疲れた子供を遊ばせたり、近くを見てくるから少し遊んでいなさいというゆったり買い物をしたい親も子供も、息抜きできる場所だ。
私が4歳くらいの頃、母と母方の祖母と2歳年下の妹の4人でデパートに行った。
子供服売り場の横に設置された遊び場で、妹と遊んでいた。
仲良く遊んでいたはずだったが、機嫌が悪くなったのか、母親がいないことが寂しくなったのか、はたまた私が何か意地悪でもしたのか、妹は泣き出した。
(あっどうしよう)と、思っていたら、係のお姉さんが近づいてきた。
「お名前は?」と妹に聞いている。お姉さんと妹のそばで、「とも(妹の名前)だよ」と、私。
でも、お姉さんは私の声には耳を貸さず、続けて「何歳?」と。
私は「2歳だよ」って答えてみたけど、お姉さんは聞いていない。
妹は答えずに、泣き続けている。
お姉さんも、少しは私に話を振ってくれたらいいのに。
お姉さんはさらに「だれと来たの?お母さんは?」と質問を続けている。
今だったらわかる。泣いてばかりいる妹を相手にきっと困っていたのだろう。
4歳の私は、「お母さんだったら、そこだよー」と、へらへらしながら答えていた。
やっぱり、お姉さんは私の話を聞いていない。
私としては、すぐそばで買い物をしているお母さんもいるし、泣いているけど妹には私もいるんだからと思っていた。
このゆるんだ気持ちがお姉さんには、届かなかったのか。(そうは言っても私は4歳だ)

お姉さんは、私がふざけていると思ったのか、4歳の子供は信用できなかったのか、全然聞こえていなかったのか、そのまま私の発言には耳をかさずに、その場で大きなマイクを持ち、迷子のお知らせの館内放送をかけた。
「ピンクのワンピースをきた2歳くらいのお嬢様が迷子になっていらっしゃいます。」(もう少し詳しかったかも)
なんだか、自分の子供と同じ服装だと思い、母親と祖母が飛んできた。
泣いている妹とその横で、笑っている私を見て「どうして、一緒に遊んでいるって教えなかったの!」って、私はいきなり母に怒られた。
「名前も言ったし、2歳だって言ったもん」と4歳の私も反撃にでた。
マイクのお姉さんはいつのまにかいなくなっていた。
怒られたせいなのか、記憶にあるのはここまで。
デパートって、家族で行った思い出もあるし、親ではなくて友達と行くのがうれしかったり成長とともに変化していく場所だった。
おもちゃ売り場からファンシーコーナーに行くようになって、洋服コーナー、お化粧品って、買い物をする場所も変わって、自分の子供服を買うようになって。
老舗デパートのいいところだったな。







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