【01】明るい夜に出かけて/佐藤多佳子
きっと、夜が好きになる。
『明るい夜に出かけて』佐藤多佳子さん作(新潮文庫、2019年)
先日、とある駅直結の書店さんに行ったときに見つけたこの本。
その書店が超絶推している1冊らしく、レジの近くに山のよう積まれてありました。
タイトルを見た時に、「明るい夜」って何だろう、と不思議に思い、購入。
読み終わった後、「夜」そして「深夜」という空間が愛おしくなりました。
生まれも育ちも、何もかもが違う登場人物たちが、深夜のラジオを通して繋がっていく物語。
芸人であるアルコ&ピースさんのオールナイトニッポンがこれでもか!というぐらい、登場します。
自分は一回も聞いたことがありませんが、毎週リアルタイムで聞いているような、
そんな臨場感がありました。
自分も、最近は星野源さんのオールナイトニッポンにドはまりしていて、過去のモノから貪るように聞いています。今作の中には、いわゆる「職人」と呼ばれる方たちも随所で登場するんですが、そこも詳しく描かれているので、ついつい源さんのANNと重ね合わせて読んでしまいました(笑)自分もいつか、メールやTwitterでコメントを飛ばしたいな、なんて思ったり。そんな深夜ラジオについて、分かり合い、熱く語り合える人たちと出会えた主人公は本当に幸せ者だと思います。
好きなことが同じ。
ただそれだけなのに、そこには何とも言えない不思議な力が宿っている気がしてなりません。
それまでの悩み、葛藤、不安など過去のすべてを吹き飛ばしてくれる、そんなパワーが。
人の数だけ趣味があるこの時代ですし、あえて口に出していない人が多いからかもしれません。
共通の趣味を持った人と出会うことは思っているよりもずっと少ない気がします。
だからこそ、そんな人と巡り合えたら、お互いの「熱」を惜しみなく感じ合いたいですね。
秋も近づいてきたせいか、夜もエアコンいらずになりました。
これから、ますます夜が好きになりそうです。
ではまた。