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魔法使いの家

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魔法のタルト

魔法のタルト

板の上に置いた黄色い生地を、スティックで転がすと、卵が牛乳や砂糖で絡まった匂いが辺りに広がる。

ギザギザの型の上に流し込んで朝の冷たい空気で冷やす。
四つ葉町のあるこの島国の朝はとても寒い。
例えば玄関の前にコップを置くとそのなかの水が氷るほどだ。

急いで、瓶の中に入った”夢の欠片”を取り出して”乙女の涙”で濡らす。
夢の欠片はこの雫で、うまくいけば逃げないでいてくれる。

この一連から、「魔

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やさしい子のおまじない

おばあちゃんを思い出すと、いつでも涙が出てくる。おばあちゃんが寝るときに、私をあやしながら、お前はやさしい子だよ撫でてくれる、あの少しの時間が好きだった。

おばあちゃんが亡くなったと聞いて、私は胸が痛くなった。このおばあちゃんの亡骸である家に、帰りたくなった。

だから、このページを読みたくないのに魔術書はそのページを見せた。

ルーン文字でこう書いてあった。

ᚣᛟᚢ ᚨᚱᛖ ᚲᛁᚾᛞ

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魔法のケトル

魔法のケトル

 アカツキは、象嵌細工が嵌め込まれた食器たちの中にケトルを発見した。夕闇が迫る空を映したような、そんなケトルはよく見ると星が泳いでいた。

「このケトルは空を映す鏡でもあるのね。そして災いや幸福を映す……」

 煌めく睫毛で瞬きをするアカツキ。アカツキは、胸からこみ上げてくるものを必死に抑え込んだ。見ると、ケトルの蓋に白い月が浮かんでいる。

「いけない、白夜が近付いているわ」

 

古びた家 

古びた家 

「大きな土鍋、薬品棚。これだけでも魔法の研究ができる。それにしてもかび臭い」

 土鍋は底が見えないほど埃がたまり、薬品棚にはカビの生えた液体がこべりついていた。アカツキは唇を親指でさすり、考える仕草をした。

「アブラカダブラ、この家をきれいにしておくんなさい」

 癖のある唱え方で呪文を口にすれば、古代から伝わるアブラカダブラが功をなす。

アブラカダブラは便利な魔法の呪文で有名なのである。

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魔法の書

魔法の書

分厚い表紙には、長いこと埃がかぶっていた。いま彼女の手で払われたことにより、その表紙に刻まれた文字がすすけた明かりを灯す。誰も入らなかった閉架に彼女が来たことにより、魔術書と人間の歴史は再び幕を開けたのだ。

「こんなところに独りでずっといたのね」

 赤い小さな唇が動く。魔術書にまるで自分の仲間のように声をかけた彼女。名前は、柘榴ざくろと言う。

 柘榴の手の中におさめられた魔術書は、ひとりでに

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