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魔法のケトル

 アカツキは、象嵌細工が嵌め込まれた食器たちの中にケトルを発見した。夕闇が迫る空を映したような、そんなケトルはよく見ると星が泳いでいた。

「このケトルは空を映す鏡でもあるのね。そして災いや幸福を映す……」

 煌めく睫毛で瞬きをするアカツキ。アカツキは、胸からこみ上げてくるものを必死に抑え込んだ。見ると、ケトルの蓋に白い月が浮かんでいる。

「いけない、白夜が近付いているわ」


 

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