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(ミステリーホラー)混沌の化神 -14

今朝車で通った道を今度は青山家へ向かって歩く二人。
「あのさ、一昨日の例の須藤さんが倒れたっていう場所ってさ、たしかこれから向かう家の右にある森の道の途中だったよね?」
「うん、そうだよ。どうしたの?」
「それで、それってそのすぐ先に獣道があったりする?」
「そうそう!獣道ね、たしかに。昔よく森で遊ぶときに通った、あれはほぼ獣道だね。あーひょっとして今まで探索してたの??」
「うん…」
歩みを進めながらも、馬場はしばし考え込んだ。

やはり先ほど自分が見た現象が、一昨日の亜矢子が倒れたことと何か関係があるのではないか。
亜矢子が倒れた場所、倒れている間に彼女が見た夢、そして先ほど自分が見た羽の渦。
普通に考えればそんな突拍子もないことを関連付けるのは無理があるし、やはりただの偶然や、亜矢子の潜在意識にあるサブリミナルのようなもので、昔の記憶からそれらしい夢を見ただけなのかもしれない。しかしここで、自分の通常の思考からかなりオカルトな方向へと意識をずらしてみると、これはただの偶然ではなく、何か人間の力の外にある出来事が起こっているのではないかと思えて仕方がなくなってきた。
こうなってくると、最初は野次馬気分と、亜矢子とより親しくなる為に付いてきただけの青山家訪問が、今の自分にとってはかなり興味深い、意味のあるものになってきた。
もし何かが起きているのであれば、先ほどの現象を見てしまった以上、もはや自分は当初の完全に無関係だった自分ではなく、ある程度は当事者の一人となってしまっているからだ。

「何?何かあるの?」
自分から聞いておいて、沈黙して考え込んでいるだけの馬場を不審に思い亜矢子が問いかける。
「ん?…んーいや、ううん。ただ情報を整理しておこうと思ってさ。」
馬場は亜矢子に先ほどの現象について話そうかと迷ったが、ここはとりあえず自分の中に留めておくことにした。

亜矢子は、明らかに何かありげな様子の馬場を不審に思いながらも、母から託された手土産を持った手を軽く挙げ、前方を指さした。
「あちらのお宅だね。着いた。あくまでお礼と、ついでに軽くお話を伺うだけのつもりだから。余計なこと言わないで私の後ろに付いているだけにしてよ。」
そう馬場に釘を刺すと、亜矢子は一人歩を早め青山家のチャイムを鳴らした。


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