見出し画像

『音大卒の演奏家が仕事を得る方法』 Vol.2 あなたがやるべき事を知るには

前回のブログ(『音大卒の演奏家が仕事を得る方法』 Vol.1 音楽業界の現状)はいかがでしたか?

「そんなに厳しい世界ならやめておこう」と考えた人もいらっしゃるかもしれません。

それはそれで賢明な判断と言えるでしょう。
前回も書きましたが、強い信念や覚悟がない人がこの業界で生き残っていける可能性はきわめて低いです。

【目次】音大卒の演奏家が仕事を得る方法
1. 音楽業界の現状:今回の記事
2. あなたがやるべき事を知るには
3. デジタル技術で受注を増やす(前編)
4. デジタル技術で受注を増やす(中編)
5. デジタル技術で受注を増やす(後編)
6. ジャズやポップスまで学びを広げる
7. レッスンの仕事に誇りをもとう!

それでは、ここまで読んでもまだあきらめていない人のために(笑)、生き残るためのノウハウを書いていきましょう。

前回の記事は、見方によっては「音楽業界の将来はきわめて暗い」という、絶望的な内容ですが、見方を変えれば、「十分生き残りが可能な余地が残されている状況」だと思います。

そのために大切になるのが、一見ネガティブに感じる状況を受け入れつつ、チャンスを見付ける発想力、行動力です。

どうしたら良いのか、具体的に解説しますね。

|ネガテイブとポジティブを両立させる

僕が思う一番大切なポイントは、ネガテイブとポジティブの両立、バランスを取る事です。

そう、“一見ネガティブに感じる状況を受け入れつつ、チャンスを見付ける発想力、行動力”とは「ネガティブとポジティブのバランスを取る事」なのです。

たとえばの話ですが
ネガティブすぎる人は

「音楽業界はそんなに厳しいのか、自分には無理だ。さっさとあきらめて安定した会社に就職しよう」

となります。

逆にポジティブすぎる人は

「音楽業界は厳しいけど、オレには才能があるから大丈夫。絶対大金持ちになれる!」

と考えているかもしれません。

どちらが正しいという話ではないのですが、前者は人生を悲観しすぎだとも考えられます。

このタイプの人は、何でもすぐにあきらめるし、自己責任で人生を切り開いていないので、結果、普通に就職出来たとしても、あまり有意義な人生にならないかもわかりません。

逆に後者は、自信過剰で、危機管理が足りないと言えるかもわかりませんね。

自信をもつ事はとても重要ですが、過剰すぎると「謙虚さ」がなくなり、どんどん周りから人が離れていく可能性もあります。

また、常にどうにかなると思っているので、コツコツ練習するといった努力を怠っている人も多いです。

人が性格を180度変えるのは難しいし、もし本気で変えようとすると、もの凄い労力、ストレスになりますよね。

大切なのは、自分がどのタイプなのかを知る事ではないでしょうか?

ネガティブすぎると思う人は、ある意味「危機管理が出来る人」でもあります。

「石橋を叩いて渡る」慎重な性格を生かしつつ、少し「自分に自信をもつ」要素が入れば、十分に成功する可能性はあります!

ポジティブすぎると思う人は、「失敗を恐れずに突き進める力をもった人」です。

「明日は明日の風が吹く」というような大らかな性格を生かしつつ、少しだけ「危機管理意識をもって人と接したり、コツコツ練習を積み重ねていけば」、やはり十分に成功する可能性があるのではないでしょうか?

メロディーと伴奏もそうですし、ハーモニーの構成音もそうですが、何事も「バランス」は大切ですよね!

|「演奏のみ」で生活出来るという考えを捨てる

先日、「のだめカンタービレ」の吹き替え演奏で有名になったピアニストの清塚信也さんがテレビでおっしゃっていたのですが、音大を出て、ピアノの演奏のみで生活出来ている人は全体の1%らしいです。

これは僕自身も実感があり、周りを見渡してもピアノだけの話ではなく、どの楽器や声楽にも当てはまる「事実」だと感じます。

つまり、

多くの人は「レッスン」など、演奏以外の仕事もやっている

という事ですよね。

「演奏のみ」にこだわって頑張るのを否定するつもりはありませんが、その方は「1%のトップクラスにならなければいけない」という現実を肝に銘じておいてください。

自分にそれだけの実力や運があるか、自分自身の評価を正確に出来る能力はとても大切です。

ちなみにですが、ショパンでさえ、収入源はエチュードを作って貴族を相手にレッスンする事だったらしいですよ!

ピアニストや作曲家として評価されたのは、もっと後世になってからなのかもしれません。

|自分を知ればこそ、やるべき事が見えてくる

今回書かせていただいたノウハウは、
「ネガティブとポジティブのバランスを取る」事と、
「演奏のみで生活出来るという考えを捨てる」の2点です。

共通するポイントは、

自分自身をもっとよく知る

という事です。

誰しも経験があると思いますが、他人の事はいろいろ気付くのに、意外と自分の事はよくわからないものです。

「自分はどんな性格なのか」、「自分は何が苦手で、何が得意なのか」など、もっと自己分析が出来ていれば、それを踏まえて戦略を立てる事が出来ます。

自分でよくわからないという人は、両親や友人に聞いてみると良いかもしれません。

たとえば、自分ではピアノを演奏するしか特技がないと思っていても、子どもが好きで、あやしたりするのがうまいと周りの人が教えてくれるかもしれませんよね。

こういう人は、子どものためのピアノ教室の先生に向いているかもわかりません。

まずは自分自身をもっとよく知るところから始めてみてください。

次回は「デジタル時代にどう対応していくか」を書いてみたいと思います。

著者 藤井裕樹(ふじいひろき)プロフィール

画像1

NPO法人ネクストステージ・プランニング音楽ディレクター
株式会社マウントフジミュージック代表取締役
Trombonist, Composer, Arranger, Teacher, Writer, Producer, Consultant

LIFE WITH MUSIC「音楽と共にある生活を」

1979年大阪府生まれ。都立小平南高等学校在学中、第4回日本トロンボーンコンペティションにおいて第3位入賞。アメリカネバダ州立大学ラスベガス校特待生(2005年在籍)。 19歳でプロとしてのキャリアをスタート。国内外の多くのジャズアーティストとの共演の他、東京ディズニーリゾートでのパフォーマンスや、大塚愛、関ジャニ∞、矢沢永吉などのJポップ、ロックアーティストのツアー・ライブサポートや、CDレコーディング、CM音楽のレコーディングなどに参加。作編曲家としては、東京ディズニーリゾートや東京スカイツリーのイベントなどを手がけ、講師としては、2008年から2015年まで(財)ヤマハ音楽振興会認定講師を務める。2016年3月11日、自身では初のリーダーアルバム「Lullaby of Angels」をリリース(東日本大震災チャリティーCDとして)。 2017年1月、NPO法人ネクストステージ・プランニングの音楽ディレクター(プロデューサー)に就任。若い音楽家が自立するためのノウハウを書いたブログ「音楽家のサバイバル術」の執筆も行うほか、これまでの経験を生かし、楽器可物件の不動産会社や音楽事務所、ライブハウス、個人の音楽家などのコンサルティングも行っている。

https://mtfujimusic.com
『音大生のための"働き方"のエチュード』の本が新発売されました!!☆

A4配布用チラシ_働き方のエチュード_トンボ無し

【内容紹介】 多面的な働き方が音楽家の人生を変える!

『日本ではまだまだ「一つのことを突き詰める」スタイルが理想的な働き方とされているかもしれません』。でも、実はその分野で突き抜けることができるのはほんのひと握り。それは音楽業界も同じです。著者・藤井裕樹は、トロンボーン奏者以外に、作編曲家、音楽教室講師、音楽ライター、プロデューサー、コンサルタントなど、さまざまな肩書を持つことで、「普通の音楽家にはできないレアな存在になれた」と言います。そんな競争相手が少ない世界に行くために何をすればいいか。現役音大生、若い音楽家に向けて、今の時代にふさわしい“多面的な働き方"を5つの具体的なステップで解き明かします!

☆こちらのリンクから購入出来ます→Amazon
Amazonのほか、楽天ブックス、Yahoo!ショッピングなどで購入出来ます。
*Googleまたは上記サイトにて「音大生のための"働き方"のエチュード」を検索してください。
次回記事:『音大卒の演奏家が仕事を得る方法』 Vol.3 デジタル技術で受注を増やす(前編)
前回記事:『音大卒の演奏家が仕事を得る方法』 Vol.1 音楽業界の現状

ネクストステージ・プランニングのHPはこちら!: NPO法人ネクストステージ・プランニング

よろしければサポートをお願いします!いただいたサポートは今後の活動費に使わせていただきますm(_ _)m