五十音レビュー｜東大新月お茶の会

2021年1月1日 18:00

テッド・チャン著『あなたの人生の物語』　五十音レビュー「あ」

「五十音レビュー」
　東大新月お茶の会のメンバーが、あいうえお五十音になぞらえて、ミステリー、SF小説を中心におすすめの作品を紹介します。毎週金曜更新予定。

「あ」あなたの人生の物語「あなたの人生の物語」は米国のSF作家テッド・チャンが1998年に発表した短編小説、及び2002年に発表した同短編集のタイトルである。表題作がネビュラ賞をはじめ非常に高い評価を受け、『メッセージ』という邦題で映画化

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東大新月お茶の会

2021年1月8日 12:55

ほととぎす著『異説妖々夢』　五十音レビュー「い」

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　５０音レビュー2回目の今日は、ゲームシリーズ「東方Project」の二次創作SSからの紹介。
『異説妖々夢』はファンタジー色のある“泣ける話”であり、西行寺家に永らく仕える半人半妖の魂魄妖忌を中心に「西行寺」と「魂魄」の二編から成ります。

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東大新月お茶の会

2021年1月15日 15:52

入間人間著『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』　五十音レビュー「う」

「五十音レビュー」
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　今回扱うのは『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』です。なんとなく、このnoteを読む人は一度は読んでいるんじゃないかと思わないでもないのですが、自分の中学生時代を彩る作品で思い入れが強いので取り扱わせていただきます。

　まずはあらすじか

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東大新月お茶の会

2021年1月22日 16:17

オースン・スコット・カード著『エンダーのゲーム』　五十音レビュー「え」

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　個々の人間はみんな道具さ。
　人類全体が生き残るために、他の人間がそれを使うんだ。

　意思疎通不能な昆虫型の異星生命体、バガー。その二度に渡る太陽系侵攻を辛うじて退けた人類は、東西対立を表面上克服して覇権政府と国際艦隊を築き、強大な全体

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東大新月お茶の会

2021年1月29日 12:04

ケン・リュウ編『折りたたみ北京』　五十音レビュー「お」

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　2019年に出版された『三体』のブームで、中国SFという名前はずいぶんと浸透したことだと思います。しかし、SFには手を出しにくいと思っている人は一定数いるのではないでしょうか。SFといえば、サイエンス感ばりばりの小難しい小説だというある種

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東大新月お茶の会

2021年2月6日 21:57

阿部智里著『烏に単は似合わない』　五十音レビュー「か」

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　今回紹介するのは、昨年第二部の始まった八咫烏シリーズの第一部一巻目『烏に単は似合わない』である。
　「八咫烏」という人の体に転身できる烏が支配する世界「山内」が舞台の和風ファンタジーである本シリーズの魅力は、全体を通しての成長物語や絆の見

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東大新月お茶の会

2021年2月12日 10:33

綾辻行人著『霧越邸殺人事件』　五十音レビュー「き」

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『霧越邸殺人事件』は日本に新本格ムーブメントを巻き起こした作家、綾辻行人が1990年に発表した氏の代表作である。

　晩秋。風雪吹きすさぶ信州の山の中で遭難してしまった劇団「暗色天幕」の一行は、目の前に現れた巨大な洋館「霧越邸」を訪れる。邸

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東大新月お茶の会

2021年2月19日 13:59

東浩紀著『クォンタム・ファミリーズ』　五十音レビュー「く」

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　人生の折り返し、三十五歳を迎えた“ぼく”。倦怠した夫婦生活の中で、不倫を重ねて、今の現実がバラバラに崩壊して、独身小説家として再起することを夢想している。そこに、いるはずのない未来の娘からメールが届く。
27年半未来にずれた、並行世界に暮

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東大新月お茶の会

2021年2月26日 10:31

ロブ=グリエ著『消しゴム』　五十音レビュー「け」

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　どこかわからないカフェの無機質な描写とともにこの小説は始まる。読み進めると次第に、ある殺人事件の様子が説明される。この時点でほとんどの真相は明かされるため、読者は一種の肩透かしを食らうだろう。そして探偵役と思わしき刑事が登場し、事件の証言

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東大新月お茶の会

2021年3月5日 09:39

大阪圭吉著「坑鬼」　五十音レビュー「こ」

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「坑鬼」青空文庫

　本格ミステリというのは難しい。無論、本格に限ったことではないが、ある程度読み馴れてくると作り手の意図が分かってきてしまい、だんだんと初心の新鮮さが失われてきてしまう。トリックが見えやすくなったり伏線に気付きやすくなった

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東大新月お茶の会

2021年3月14日 17:55

『サクラノ詩』　五十音レビュー「さ」

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　これは幸福のその先への物語──

　『サクラノ詩』は2015年に枕というアダルトゲームメーカーから発表されたド級のボリュームを誇るシナリオゲームである。また本作はシナリオライターであるSCA自氏の前作、『素晴らしき日々』からの流れを汲んだ

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東大新月お茶の会

2021年3月19日 15:13

バリントン・J・ベイリー著『時間衝突』　五十音レビュー「し」

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　異星人との戦争により過去の遺産がことごとく失われた地球。異星人が遺した遺跡を調べていた考古学者たちのもとに、驚くべき資料が届けられた。300年前に撮られた一枚の写真に、現在よりはるかに古びた遺跡の姿が写っていたのだ。遺跡は年とともに新しく

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東大新月お茶の会

2021年3月27日 11:20

シャーリィ・ジャクスン著『ずっとお城で暮らしてる』　五十音レビュー「す」

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　殺人が絡む物語は大抵の場合、その真相をもったいぶって劇的な効果を期待して描写する。けれど、この物語はそうではない。何故かというと、主人公のメアリ・キャサリン・ブラックウッドは幸せに生きているからである。

　メアリと姉のコンスタンスは、由

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東大新月お茶の会

2021年4月1日 11:49

藤沢周平著『蝉しぐれ』　五十音レビュー「せ」

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『蟬しぐれ』は、ある程度エンタメ小説を読み慣れて、どれもこれも読んだことのある面白さに思えてしまう……そんな倦怠期の本読みにおすすめの一冊だ。

　作品の凄みを説明するなら、作品の奥底に何か巨大な“流れ”を感じ取る、これが第一だろう。しかも

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