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【note連載版】ライトノベル回顧2023|レビュー:『血の繋がらない私たちが家族になるたった一つの方法』 雲雀湯 著(角川スニーカー文庫)
『転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子だと思って一緒に遊んだ幼馴染だった件』で有名な雲雀湯先生の新作は、最近増えてる気がする幼馴染と義妹のダブルヒロイン。特徴として、どちらのヒロインも昔馴染み(幼馴染に対してうるさい私が勝手に使ってる「昔仲良かったが途中で引っ越して行き、最近再会したヒロイン」を指す言葉)の文脈が挙げられる。 義妹の方は実妹だと思って別れ、再会してすぐに義妹バレという流れ。両親がヨリを戻すのはそれなりに珍しいが、こうすることで妹に昔馴染み属性を入れるができ
【note連載版】ライトノベル回顧2023|レビュー:『好きな子の親友に密かに迫られている』 土車甫 著(角川スニーカー文庫)
※このレビューはネタバレを含みます。 端的に言うならば「二番目彼女」から綺麗にエグみだけを取り除いた作品。恋に落ち沈み壊れていく女の子の描写がとにかく上手い。不安定な停留点でのラブコメが上手すぎる。個人的には今年一番のラブコメと言っても過言ではない。恋する乙女が最強可愛いラブコメ。 まず、全体の構成について。最近のシチュコメはメインとなるシチュを導入として持ってくることが多いが、この作品では一巻の引きまで綺麗に引き伸ばす。如何にして好きになったか、如何にしてその子に親
【note連載版】ライトノベル回顧2023|レビュー:『依存したがる彼女は僕の部屋に入り浸る』 萬屋久兵衛 著(角川スニーカー文庫)
端的にこの作品を評するなら「宗教」であろう。意図的に個人を消された、聖人とは言えないまでも超人間的な主人公が、三人のメフィストフェレスによって堕落し、最後には人間的な悩みを解決して終わる。なんなら最後には挿絵まで出てくる。堕落を知り、退廃的な生活を送り続ける中で、だんだんと個性を帯びていくのである。きっと次巻の最後では主人公のセリフが用意されているに違いない。 とまあそんな微妙にピントを外した堅苦しいレビューは置いておいて、一応主人公について補足しておくと、この作品の主