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BLACK HOLE:NOVEL

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新作小説レビュー企画。姉妹企画「BLACK HOLE:VIDEO」「EXTRA」「MICRO BLACK HOLE」とともに、毎月末更新予定。
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記事一覧

『地雷グリコ』青崎有吾 著(KADOKAWA)

BLACK HOLE:NOVEL 2023年11月 一見ごく普通の高校生、射守矢真兎。彼女は勝負ごとにめっぽ…

『きこえる』道尾秀介 著(講談社)

BLACK HOLE:NOVEL 2023年11月 本作は五つの独立した物語からなる短編集だが、いずれも話の…

『未踏の蒼穹』ジェイムズ・P・ホーガン 著(東京創元社)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2022年02月  高度に発達した科学技術を擁する金星…

『サバイバー〔新版〕』チャック・パラニューク 著(早川書房)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2022年02月  主人公は集団自殺により壊滅したカル…

『異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 嗜虐の拷問官』久住四季 著(メディアワークス文庫…

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2021年12月  人気シリーズの3作目。どんなことに…

『地べたを旅立つ 掃除機探偵の推理と冒険』そえだ信 著(早川書房)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2021年1月  交通事故に遭った刑事が目を覚ますと……

『ブラック・ハンター』ジャン=クリストフ・グランジェ 著(早川書房)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年10月  はっきりいってグランジェはあまり人に薦められるタイプの作家ではない。クセが強すぎるし、グロテスクだし、物語のテンションが激しく上下するし。代表作『クリムゾン・リバー』が映画の興行でかなりの知名度を得た一方で、その原作がいまいち評価されてこなかったのもそのせいだろう。だが、グランジェという作家を好きになれるかはともかくとして、かれの小説が無二の読書体験をもたらしてくれることは保証する。  グランジェはフ

『たとえ天が堕ちようとも』アレン・エスケンス 著(東京創元社)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年9月  真実と事実は必ずしも同じものとは限…

『超世界転生エグゾドライブ01-激闘! 異世界全日本大会編-〈上〉』珪素 著(KADOKAWA…

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年9月  西暦20XX年。異世界の実在が証明され…

『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』青柳碧人 著(双葉社)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年8月  2019年本格ミステリベスト10、第9位に…

『プロジェクト・インソムニア』結城真一郎 著(新潮社)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年8月  最近ブームの特殊設定ミステリの中で…

『オクトローグ 酉島伝法作品集成』酉島伝法 著(早川書房)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年7月  究極の独創的作家・酉島伝法、デビュ…

『ダンガンロンパ霧切』北山猛邦 著(星海社)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年6月  一冊の本が人生を変えてくれる。  …

『オルガ』ベルンハルト・シュリンク 著(新潮社)

毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年5月  ひとりの、地位も名誉もないひとりの人間が、たしかにそこに生きたという証。その人間の切実な思い。誰にも記憶されないその彷徨の生涯。そういったものが不意に、かたちを伴って現代を生きる読者の眼の前にまざまざと浮かび上がる。伝記形式の小説ならではの、そうした比類なき力強さを感じさせる一冊だ。  物語は終始、静謐で落ち着いた文体によって綴られる。まだ発展途上だったころのドイツに生まれ、「オルガ」というスラヴ系の名