『ブラック・ハンター』ジャン=クリストフ・グランジェ 著(早川書房)
毎月更新 / BLACK HOLE:新作小説レビュー 2020年10月
はっきりいってグランジェはあまり人に薦められるタイプの作家ではない。クセが強すぎるし、グロテスクだし、物語のテンションが激しく上下するし。代表作『クリムゾン・リバー』が映画の興行でかなりの知名度を得た一方で、その原作がいまいち評価されてこなかったのもそのせいだろう。だが、グランジェという作家を好きになれるかはともかくとして、かれの小説が無二の読書体験をもたらしてくれることは保証する。
グランジェはフ