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リレー小説「繭を継ぐもの」

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2024年3月、怪獣二体が東京に現れた—— 合宿(2024年春)にて執筆されたリレー小説です。 3/28より8日間での連載を予定しています。(完結済)
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記事一覧

リレー小説「繭を継ぐもの」第一話

 怪獣というのはあまりにも巨大なものだから、ごく小さい人間どもの都合など知ったことではな…

リレー小説「繭を継ぐもの」第二話

 とは言っても、途中までは特に変わりのない日だったのだ。少なくともその時は、そう思ってい…

リレー小説「繭を継ぐもの」第三話

「ハ……??」  僕の体内から伸びる白く長い繊維は糸のように撚られており、艶めいた光沢を…

リレー小説「繭を継ぐもの」第四話

ひどい夢を見た。僕は虫が大嫌いである。自分の口から糸が……、思い出しただけで吐き気がした…

リレー小説「繭を継ぐもの」第五話

 蚕というのは蛾の一種であり、人々の生活に密着した存在だった。その繭から取れる生糸の生産…

リレー小説「繭を継ぐもの」第六話

「……え?」  僕はしばし言葉を失った。  扉の先には誰もいなかった。廊下に出て、双方向を…

リレー小説「繭を継ぐもの」第七話

 白々しく反射していた——その陽光が、魁偉な異形に遮られる。 「——————」  無数の瓦礫の破片と共に、一直線に落下してくる双頭の巨竜。全長一二〇メートル。推定体重七万八千トン。その速度が不自然なほど緩慢に見えるのは、あまりの大きさに遠近感が狂わせられるからだ。  だが、しかし、このときは。このときばかりは。  走馬灯よろしくこの一ヶ月を回顧する彼の脳髄の回転数が、世界の全てを置き去りにしたが故であった。  ピンポン。ピンポン。敷きっぱなしの布団。ドア越しの視線の耕作。先輩

リレー小説「繭を継ぐもの」第八話

 顕現した三柱目の荒神——  ギョロリとむき出した眼球と、細くとがった髭。鍾乳石のような…