ぼくの栄光 #2「人生最高の感動」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第三章
ぼくはベッドサイドで赤い本に読みふける。赤い本を受け取った時は本には一文字も書かれていなかった。ところがある日、まっさらなページに突然文字が立ち現れた。文字は日に日に増え続け、まるで織物のように摩訶不思議な物語を紡ぎあげていく。それは一人の男の物語。男は山高帽を被り、黒いマントを羽織っている。その男がどこから来たのか、何をしているのか、正体は明かされない。それなのに、ぼくはこの男にどこかで会ったことがあるような気がする。黒いマントに山高帽。やがてぼくは気づく。彼に会ったのは夢