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ぼくの基盤 #4「混沌」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第二章

ぼくはお金持ちになるためにこの国にやってきた。20代でレストランを手に入れて、魅力的な三人の女と付き合っている。毎日、1分1秒までスケジュールは埋まっていく。ぼくは満腹感に満たされる。若くして、夢だったトロフィーライフを手に入れた。スキマのない幸せに酔いしれる。

一番手がかかる恋人は道場にいる若い恋人だ。彼女はまだ10代で、ぼくを「先生」と呼ぶ。他の二人の恋人はぼくの世話を焼く。道場の恋人はぼくが世話を焼く。毎朝ぼくは彼女を学校まで送り届ける。ぼくと付き合い始めてすぐに彼女は道場をやめた。ぼくを手に入れたとたんに武道には興味をなくしたようだ。まだ10代という若さゆえ、熱しやすく冷めやすい彼女をぼくは恐れる。ある朝、学校への送り迎えを断られたところで、ぼくの不安のボルテージはあがる。彼女が離れないように、彼女の行動を束縛する。彼女はぼくを避けるようになり、ぼくはフラれる。彼女には若いボーイフレンドがいた。ぼくはヤケになりながらも、最後のプライドを見せる。物分かりのいい兄貴を演じ、彼女に多額のお小遣いを渡して新しい恋へと送りだす。

ぼくはスマートな別れ方に満足する。ぼくらは憎みあうこともなく、ぼくらの恋は良い思い出となった。それなのにぼくはすっかりやる気を失う。あんなに充実していた毎日が一気に色褪せる。三人の恋人が二人に減っただけだというのに。

だからぼくは三人目の穴を埋めようとする。ぼくに気がありそうな女には片っ端から声をかける。代わりの女を見つけることはたやすい。ところが長く続かない。かつて2回以上会うことを拒んだぼくは、今では2回以上会うことを拒まれる。

ぼくは三人目の恋人を探しているから忙しい。久しぶりにスレンダーな恋人に会ったとたん、女はぼくを強くつねる。ぼくは痛みに声を上げる。
蛇のような目をした女が言う。

「次から次へと女を口説いているようだけど。私より魅力がある女がいるの?」

ぼくは痛みに堪えながら言う。

「君の美しさを再確認するために、他の女を知っておきたいのさ」

「わざわざそんなことをしないとわからないの?」

「やっとわかったよ。ぼくにはやっぱり君しかいない」


女の顔が和らいだ。ぼくは恋人の怒りを鎮めるために、できる限りのサービスをする。美しい恋人がいることが成功の証なのだから。

グラマラスな恋人は、髪の毛をオールバックに撫でつけた怪しげな男を連れてレストランにやってきた。彼女は男と小指をからめ合いながら食事をする。ぼくはウェイターが運ぶ料理を取りあげてテーブルに運ぶ。

「本日の料理はお二人のために特別にサービスさせていただきます」

グラマラスな女は微笑む。

「ありがとう。あとで電話するわ」

ぼくはすかさず言う。

「どうぞ気になさらず、またお二人でいらしてください。お元気で、さようなら」

ぼくはぼくを裏切る女を許さない。女は星の数ほどいるのだから。三人いた恋人はスレンダーな美女だけになった。一人残ったのだから、まだいいとしよう。これから人生を巻き返す。

→ …続きを読む(ぼくの基盤 5「母親との電話」)


前回の話はこちら。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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