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ぼくの基盤 #6「魔女がつどう家」 |小説 ユニバーサル・カバラの物語 第二章

黒い蒸気機関車が煤けた煙をあげながらターミナル駅へと滑りこむ。古めかしい駅舎の構内を人々がせわしなく行きかう。ホームの真ん中に山高帽をかぶり、黒いマントを羽織った背の高い男の姿が見える。男は身じろぎもせずに突っ立っている。

そこへ、赤や緑、金色が混じったクリスマスツリーのような派手な洋服姿の案山子のような女が近づいてくる。男は振り返る。案山子の女は男の前で立ち止まる。そして抑揚のない声で言う。

「若者よ、ついて来なさい」

男はうなづくと女について駅を出る。女は石畳の細い道をくねくねと歩く。ずいぶん歩いていくと赤レンガの一軒家の前にたどり着く。女は扉を開けるとさっさと中へ入っていく。男は女の後から中へと入る。


家の中はだだっ広く、天井が見えないほどの大量のハーブがぎゅうぎゅうに詰まって吊るされている。床にはアルケミーラグが折り重なり、暖炉には鉄製の鍋がつり下がっている。女は無造作に帽子を放り投げると、男に言う。

「隣の部屋を使いなさい」

男はリビングの隣にある小部屋に入る。ベッドと棚があるシンプルな部屋。男は荷物を置くと、女に聞く。

「わたしは師匠に言われてここに来た。どうすればいい?」

「そのうちわかるさ」

男はうなづき、その家で暮らし始める。案山子の女が三度の食事を運ぶ。何の変哲もない毎日がつづく。金曜日になり、どこからともなく女が一人、二人とやってくる。女たちは重いトランクを抱えている。遠くからやって来たという。やがて広かった家が人でいっぱいになる。女たちは旅装を解くと生き生きとしてくる。男は彼女たちが運んできた分厚い本を読み、不思議な話を聞きながら時を過ごす。


土曜日になると彼女たちは白い装束に着替え始める。案山子のような女が釘をさす。

「私たちはこれから森へ向かう。あなたはここに残りなさい。決してついて来てはいけない」

男はうなづいた。

「わたしは付いていったりしない。おとなしく留守番をしているよ」

日が落ちてあたりが薄暗くなり始める。女たちは一人、また一人と出ていく。取り残された男はそわそわ落ち着かない。腕をくみ、逡巡しながら歩き回る男の足がピタリと止まる。男は急に早足になり家中の戸締りをして、裏口から飛び出す。紐のようにぞろぞろと連なって森の中へ入っていく女たちの後ろ姿が見える。男は黒いマントを頭からすっぽりかぶり、薄暗闇に姿を隠すようにしながら女たちの後を追う。


→ …続きを読む(ぼくの基盤 7「真夜中の饗宴」)

前回の話はこちら。

​誰も読んだことのない、誰も書いたことのない、本当の成功の物語。
「ユニバーサル・カバラの物語」
秘密はここに。

制作
グッドニー ・グドナソン
中込英人
谷村典子

グッドニー ・グドナソン

モダンミステリースクールファウンダー
リネージホルダー メインイプシスマス

アイスランドの貴族の家系に生まれ、生まれてすぐに双子の兄を亡くす。以来兄の存在を通し、目に見えない世界とこちらの世界を同時に生きるようになる。 10代で英国のミステリースクールに招聘され、カバラ、ヘルメス学、古代エジプトやケルト、ドルイドマジックなどあらゆる魔術と形而上学を学び、最高位の魔術師となる。1997年にモダンミステリースクールを継承(当時はロッキーマウンテンミステリースクールの名称)。「No More Secret」の下、それまで秘密にされてきた真の形而上学の教えをオープンにする。現在は世界60カ国に広がるミステリースクールで教える一方で、DJとしてフジロックのステージに立ったり、ハリウッドの映画祭でプロデューサーとして活動するなど、多方面で活躍。まるでファンタジー映画や物語のようなその生き様を通し、あらゆる可能性と喜びを表現し続けている。オーロラエンタテイメント・エグゼクティブプロデューサー。
中込英人

モダンミステリースクール校長
リネージホルダー サードオーダーイプシスマス

世界中で形而上学を教え伝えるメタフィジックス・ティーチャー。幼少期より空手の天才少年と称され、大山倍達氏のもとで内弟子として研鑽を積んだ武道家でもあり、15歳で渡米した後、飲食店経営などで成功を収める。また、武道の実力を買われ、ダライ・ラマ14世のボディガードを担当。ダライ・ラマ14世から「スピリチュアルな道を人に説くもの」と称されたことをきっかけに、密教の学びを始める。密教行者として厳しい修行を積んだのち、30代で一時帰国。ミステリースクールおよび形而上学の学びと出会い、以降、スクールの拡大に全精力を傾け、2017年に最高峰の魔術師である「イプシスマス」の称号を得る。形而上学をわかりやすく、ユーモアを交え伝えるクラスは、国や文化を問わず常に笑いと活気に満ちている。著書『支配者(エリート)が独占してきた成功の秘笈』『MAX瞑想システム™️ー脳を鍛え可能性を引き出す究極の成功メソッドー』

谷村典子

作家・脚本家
日本シナリオ作家協会会員

成蹊大学卒業後、会社勤めの傍らで松竹シナリオ研究所卒業。2002年テレビアニメシリーズで脚本家デビュー。テレビ、映画、舞台で、幅広いジャンルの脚本や構成台本を担当する。
L.A.Fear&Fantasy映画祭他では、作品賞などを受賞。タロットをきっかけにモダンミステリースクールと出会い、形而上学の学びを深めている。Atelier ADITI主宰。http://atelier-aditi.jp/

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