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すみだ今昔さんぽ(後編)・・・楽員名鑑

新日本フィルハーモニー交響楽団のメンバーを、趣味やライフスタイルを通して紹介するnote。 2021年4月に入団したコントラバス奏者・原田遼太郎と墨田区の街を歩く、すみだ今昔さんぽ〈後編〉です!(前編・中編はこちらから)
前回は新日本フィルとも接点のある江戸時代の鍼灸師、杉山和一(わいち)さんのお話をお聞きしました。今回は神社を巡って、そしてトリフォニーホールのあの猫のことも…!

見どころたっぷり江島杉山神社

杉山和一さんが五代将軍綱吉公から土地を授かり、その一画に弁財天を建てたのが江島杉山神社(えじますぎやま神社)の始まりです。
神奈川県藤沢市の江ノ島弁財天と、杉山和一さんが祀られています。

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東側から入る時にまず通るのがこの橋 ↓
弁財天はもともと川の神様であった事から、昔は境内をぐるっと囲むように川が流れていたようですが、今でも池があり、ほとりには銭洗弁天様がいらっしゃいます。

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そして珍しいのが、杉山和一さんの業績が認められ、大正13年に正五位が追贈されたのを記念して作製された、世界に1つの点字石碑です

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和一さんの功績を、点字で読み取れます。

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和一さんは江ノ島神社の岩屋(いわや/洞穴のような所)にこもって修行をしたそうですが、江島杉山神社にはそれを模した岩屋があり、実際中に入ることも出来ます。
入ってみると空気もひんやりとして、薄暗い中にほのかな灯りで照らされた神様達が、厳かな雰囲気で佇んでいました。

岩屋内には、頭は人、下は蛇の姿をした宇賀神像、宗像三女神像、杉山和一検校像が祀られており、弁財天のお使いといわれる白蛇の形代をお供え出来ます。

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岩屋の入口 ↑
白蛇の形代 ↓

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そしてそして、とっても素敵なのがこの神社の御朱印
月替わりで素敵な絵が添えられています。

コンサートにお越しの前に、鍼治療と神社へのお詣りで、身も心も清らかに、軽やかになってみてはいかがでしょうか。

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江島杉山神社
JR両国駅西口より徒歩7分、都営新宿線森下駅A5出口より徒歩12分。
〒130-0025 東京都墨田区千歳1-8-2
詳細:http://www.ejimasugiyama.tokyo/


さて、弁財天様は琵琶を持っている姿が描かれることが多いのですが、錦糸町で「琵琶を持っている」と言えばこの猫。・・・ご存知ですか?

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新日本フィルの本拠地・トリフォニーホールの、小ホール入口に鎮座するこの猫。実はある有名な彫刻家さんの作品なのですが・・・
ここからのライターは原田遼太郎にバトンタッチ。墨田区のもう一つの琵琶のお話、お楽しみください。

(以上、文・腰野真那)


関ネコの謎

小ホールの入り口にある猫の彫刻、錦糸町に通い始めた頃からずっと気になっていた。
よく見たら楽器を持っている。これは琵琶?音楽ホールにちなんで弁財天では?もしくは、入り口にあるから招き猫という意味もあるかもしれない。ホールの職員の方に伺ってみたら、関孝行(せき たかゆき)さんという方の作品とのこと。通称 ”関ネコ”は、ホールの方曰く「耳を触るといいことがある」らしい。なんだか都市伝説みたいで面白い。

是非その関さんにお話を伺いたいと思ったけれど、ご連絡先をどうやって入手したら良いのか分からない。唯一の手がかりは、「大学の先輩」ということだった。正しくは、「美術学部の」先輩。同窓会の管理人さんがご本人に許可を取ってくださり、電話番号をゲット。 「上野に通っていて良かった」なんて思ったのも束の間。いざご本人に電話をかけるとなると緊張する。コール中、頭の中では「とっつきにくい孤高の彫刻家」が完成していた。(なんて勝手な妄想だろう)


「もしもし」 
「僕の作品について聞きたいことって?」 
「ああ、あの猫?アハハ」
なんて柔和でフレンドリーな方!(すみませんでした・・・)

では本題の、“関ネコ” について。
すみだトリフォニーホール小ホールの入り口は、隣接するホテルから出る車両が目の前を通過する設計になっている。そこで、出来るだけ通行の妨げにならないサイズの作品が望まれた。制作依頼を受けた当時、関さんはよく猫をモチーフにした作品を製作されていた。せっかくなので音楽に関係するものを、という事で最初は三味線を持った 猫を構想されたそうだが、よくよく考えてみると猫に三味線を持たせるのは余りにも可愛そうだということに気付かれたとのこと。
結果、琵琶を持った猫が誕生したというわけである。

「やはり、音楽にちなんで弁財天?それとも招き猫ですか?」 
「いやあ、そんなに深読みしなくても。作品は、作者の手を離れると自由に解釈される。多くの人が、様々な楽しみ方をしてくれる。それでいいんじゃないかな。特に、『耳を触るといいことがある』なんて最高!そういう都市伝説、大歓迎だよ。」

お話の最後に、「コロナの影響で大変な時期だけど、頑張ってね。」と関さん。突然のインタビューに快く応じて頂いた上に、エールをくださる優しいお人柄に感動。奥様によると、SNSはおろかインターネットの類は一切されずに御自分の世界をとても大事にしていらっしゃるとのこと。

一匹の(一体の?)猫ちゃんが招いてくれたのは、彫刻家の方との心温まるご縁でした。

(文・原田遼太郎)

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原田遼太郎
(はらだりょうたろう/コントラバス奏者)
福岡県福岡市出身。12歳よりコントラバスを始める。東京藝術大学音楽学部器楽科及び同大学院音楽研究科を修了。大学院修了後さらなる研鑽を積むべく渡独、ヴュルツブルク音楽大学にて学ぶ。在学中、ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団の研修生としてドイツ各地で行われた公演及び録音に参加。これまでにソリストとして、ロベルト・HP・プラッツ指揮ヴュルツブルク音楽大学オーケストラ、井上道義指揮オーケストラ・アンサンブル・金沢及び飯森範親指揮九州交響楽団と共演。これまでにコントラバスを吉浦勝喜、永島義男及び文屋充徳の各氏に師事。また、室内楽を小林道夫及びヴォルフガング・ニュスラインの両氏に師事。2021年より新日本フィルハーモニー交響楽団コントラバス奏者。

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