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【エッセイ】できた動画を見てみた(『佐竹健のYoutube奮闘記(18)』)

 この前動画ができあがったと後輩から報告が来た。どんな感じに仕上がったのか気になった私は、後輩の動画を見てみることにした。

 内容は、隣町にある博物館に友達と行くというもの。

 その博物館は、元々会社が社員教育で収集していたものを展示している。博物館に展示されているものは、名の知れた古い型の車やバイク、昔実際に使われていた農具や民具、ポスター、甲冑や日本刀といった武具など。簡単に言えば、名の知れた古い型の車やバイク以外は、地方自治体に必ず一つはある郷土資料館にある展示物だと思ってもらえればわかりやすい。

 動画の前編は、高級車に乗ったり、バイクを見たりといったものだった。

 私は車のことに関しては、全くの素人だけれども、見ていて車への愛を感じられた。

 特にスポーツカーに乗るときに、

「めっちゃ乗りてぇ!」

 というセリフを放ったり、また、クラウンを見ているときの会話で、

「めっちゃわかる!」

 と反応していた。このときの声が、とても楽しそうな声をしていた。

 一緒にいた友達の知識量にも驚かされた。

 コンデッサ300デラックスの展示を見た際、エンジンが後ろにあると話したり、ホンダの創業者である本田宗一郎のエピソードを話したり。

 視聴者である私の目から見ていて、後輩と友人のある種の即興対話劇ができているなと感じた。

 主役は感覚優位の語り手とIQ高めの相方。感覚優位の語り手が疑問に思ったことについて、IQ高めの相方が答えていくというもの。時に詳しい解説が入ったり、時に鋭い突っ込みが入ったり。そのアクセントが、一つの物語を作っているような感じがして、おもしろいと思った。

 後半は民俗品や武具の展示を二人で見ていた。

 民俗品の展示には、農具をはじめ、琵琶や琴といった楽器や兜や日本刀などの武具が展示されていた。

 後半の民俗品の展示物を見ているときの反応は、少年そのものだった。

「女と下着の60年史」やえっちなポスターに逐一反応したり、忍者の兜を見て興奮したり。また、展示品を見て、それに関連した自分の経験をおもしろおかしく語っていた。

 等身大の少年がここにいて、一緒に巡っているような楽しい感覚。いち視聴者である私は、そう感じた。少し大げさだけれど、ワクワクにあふれているのだ。そうでなければ、えっちなポスターにいちいち反応したりしないし、展示品と自分にまつわる出来事をこうやって上手く語るということは、まずできない。

 また、刀を見ているシーンを見たときには、後輩の性格が純粋なんだな、と改めて感じた。

 私のように変に知識がついている人間だと、刀を見るにしても、溝の有無、いつの時代に作られたか、誰が作ったのかを確認してしまう。素人なので、長さからしてこれは太刀かな、とか、形からしてこれは元々薙刀で、後に脇差として摺り上げたものかな、ぐらいしか推測できないが。

 東博とか刀剣博物館、大宮にある歴史博物館へ行くといつも、私はこんな感じで美術品を眺めている。この前の川越市立博物館で大鎧の展覧会へ行ったときもこんな感じだった。

 反対に彼の場合は、自分の感性で、かっこいい、と思ったものを、かっこいい、と言っている。私のように様式や形式にとらわれないで。その実直なスタイルにとても感銘をうけた。

 きっと、少年と一緒に富岡八幡宮の骨董市とか江戸博、深川江戸資料館を巡ると、こんな感じで楽しいのだろう。


 トーク力、間の使い方、ノリの良さ。やはり彼は、私には無いものを持っている。そうでなければ、その場のノリだけで、ここまで面白い動画は、まずできない。とりあえず話が面白いから、是非とも私のチャンネルに出てもらいたい。そして、いつも静かな私の動画に花を咲かせてもらいたい。


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