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【佐竹健のカルトーク】第四夜 戒名の値段が高いことと謎の居士・大姉号の人物

 人が死んだとき、仏教では戒名がつけられる。

 戒名とは本来出家者につけられる名前だ。例を挙げると、空海や最澄、道元などがそれにあたる。だが、一般的には死後つけられる名前とされることが多い。

 なお、神道では戒名の代わりに「~之命」とか「~比売」のような名前が俗名の下に付けられる。死後神になるとされているからだ。

 下につく称号によって戒名の値段が変わる。一番安いので信士や信女、そこそこ高いのが居士・大姉、一番高いのが院号だ。ちなみに子供の場合は、童子や童女、孩児、孩女となる。

 知れば知るほど、戒名の話は奥が深い。中学生のときから考えていたが、何が嘘で、何が本当なのか、今でもわからない。ただ、それについて調べていて、わかったことがあったので書いていこうと思う。

 戒名の値段に差があることについて、友達と話したことがあった。テレ朝で昔深夜帯にやっていた『怒り新党』という番組で、そのことが取り上げられていたからだ。

 その内容は、投稿者の義母の葬儀でお坊さんが、

「義父と同じ戒名にしないと義母は同じところへ行けない」

 と言ったそうだ。

 これについて投稿者は、死後の地位も金で買うのか、と不快に感じて投稿したのだとか。

 この話題について友達と話したとき、

「結局、天国行くかも地獄行くかも金次第なんよ」

 と友達は言って大笑いしていた。

 単なる友達の皮肉のように聞こえるが、これは本当の話だ。

 追善供養や回忌法要をやるにしても金がかかる。葬式なんて、言わずもがなだ。それに三途の川の渡し船に乗る時も六文銭が必要になるから、まさに友達の言う通りなのだ。

 ちなみにこの話について、実際にお坊さんに聞いたことがある。お坊さんは、

「いくらいい戒名をつけてもらっても、地獄に落ちるときは落ちる。結局は生前の行いなんですよ」

 と答えてくれた。

 やっぱり、金を積んでする保身ではなく、生きている間に積み重ねた日々の良い行いなのだ。

 戒名で思い出したが、こんなこともあった。

 中学生のとき、屋敷で過去帳を見せてもらったことがあった。

 過去帳は経本とじで、元禄(江戸時代中期)から昭和に亡くなった祖父の戒名が載っている。家自体はそれ以前からあるのだが、火災で菩提寺が焼けて記録が失われたので、元禄からなのだそう。そのため、赤穂浪士の討ち入りとかがあった時点で、私の先祖は確実にいたことになる。それに今の代で20数代なので、初代は戦国時代か室町中期ぐらいの人になるのだろう。関東八屋形の宇都宮氏が絡んでいる話があることや、菩提寺の宗派が武家に多いものなので、その可能性は濃厚だ。

 過去帳を見ていて、少し不思議に思ったことがあった。

 一つ目は、私のご先祖のほとんどの戒名は信士や信女なのに、なぜか時々居士や大姉の方がいたこと。二つ目は元禄だったか享保辺りに、戒名が信女や大姉ではなく「比丘尼」の人物がいたことだ。

 一つ目の戒名が「居士や大姉のご先祖」については、菩提寺の方に多大な寄進でもしたのだろうか。あるいは当主か何かだったのだろうか。考えてみたけれど、この二つしか思い浮かばなかった。

 二つ目の「比丘尼を戒名にした人物」は、出家していたのだろう。人魚の肉を食べて800年間生きた八百比丘尼のように。

 戒名についてネットで調べたり、少ない歴史の知識で私なりに考察したりして、この答えに行き着いた。今となっては知る由もないが、大方そんなところだろう。真相は闇の中だ。

 つけるのに莫大な金がかかること。どんなにいい戒名をもらっても、生前の行いが悪いと地獄へ行く。うちの先祖に居士や大姉、比丘尼という戒名をつけられた人間がいたこと。結局わかったことはそれだけだった。

 凡夫の一人としては、これだけわかっただけでも十分なのかもしれない。これ以上深入りするのはよそう。

前の話↓

最終話

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