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特別展「海 ―生命のみなもと―」で、好奇心いっぱいの夏休みを!!

7月15日(土)より始まった、国立科学博物館の特別展「海 ―生命のみなもと―」。この夏大注目の本展では、海の知られざる広~く、深~い魅力をどっぷりと味わうことができます。

カッコいい海の生き物はもちろん、これまでの歴史や宇宙とのつながり、そして未来まで。監修者の先生方にお聞きした、「展示の見どころポイント」を写真とともにご紹介します!

左から、監修者の田島木綿子さん、谷健一郎さん、藤田祐樹さん、藤倉克則さん、野牧秀隆さん、川口慎介さん、公式ナビゲーターの桝太一さん。

第1章 海と生命のはじまり

第1章では、地球における水の起源や、海の誕生と進化について迫っていきます。「生きた化石」でお馴染みのシーラカンスをはじめ、ジオラマや模型、化石などから生命のはじまりに思いを馳せ、楽しめるエリアです!

インドネシアシーラカンス(所蔵:アクアマリンふくしま)

谷 健一郎さん
(国立科学博物館 地学研究部 鉱物科学研究グループ 研究主幹):

第1章のはじめでは、「海がなぜ地球にあるんだろう?」「なぜ地球に水があるんだろう?」というテーマから掘り下げています。JAXAから展示できる中でも一番大きな「小惑星リュウグウ」の粒子をお借りしてきました! この黒い小さい粒子に含まれている水や二酸化炭素が元になって今の海が生まれて、我々が始まっていることを感じてもらえるかと思います。

小惑星リュウグウのサンプル(所蔵:宇宙航空研究開発機構)

川口 慎介さん
(海洋研究開発機構 地球環境部門海洋生物環境影響研究センター):

「炭酸塩チムニー」という真っ白なチムニー(海底から温泉が湧き出てきたところに、物が析出して煙突状になったもの)を用意しました。1970年代以来、熱くて、酸性で、「黒い」チムニーが1000個ほど見つかってきましたが、これは今のところ唯一見つかった「真っ白」なチムニーです。2001年に発見され、40億年前に生命が生まれた場なのかもしれないと、様々な研究者のインスピレーションを刺激してきた珍しいチムニーの実物を細かい構造まで見られます!!

炭酸塩チムニー(所蔵:ETH Zurich)

第2章 海と生き物のつながり

第2章は、広い海に住むたくさんの生き物たちに注目。地学現象や海流の影響も受けながら、海には多様ないのちのつながりが生まれています。展示の目玉であるナガスクジラの模型もドドーンと大迫力!!

マンボウ(所蔵:東京海洋大学)など黒潮の生態系

田島 木綿子さん
(国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹):

「ホエールポンプ」について皆さんに知っていただくため、この展示のために作った「ナガスクジラ」の模型が一押しポイントです! 「ホエールポンプ」は、クジラをはじめ海の中にいる大型の生き物が縦方向に移動することで、海洋のいろいろな物質の循環に貢献しているという新しい概念。大きなクジラとともに、生き物同士のつながりに注目していただきたいと思っています。

ナガスクジラ上半身標本(所蔵:国立科学博物館)

第3章 海からのめぐみ

海の中の生き物だけでなく、人間も古くから海や海からのめぐみを利用してきました。旧石器時代の航海から、最新の無人探査機まで、海と人類の長い関わりを紐解きます。

3万年前の航海徹底再現プロジェクトで使用された丸木舟(所蔵:東京都立大学)

藤田 祐樹さん
(国立科学博物館 人類研究部 人類史研究グループ 研究主幹):

先史時代の人と海の関わりについて展示を作りました。その中でも注目ポイントは「沖縄県で見つかった世界最古の釣り針」です!! 釣り針を作っているということは、2万3000年前の旧石器人は魚を釣っていたということなんですよね。槍を持っているような旧石器人のイメージがだいぶ変わりますし、人と海の付き合い方の深さがイメージできると思うのでぜひじっくり見てほしいです。

サキタリ洞出土遺物(所蔵:沖縄県立博物館・美術館)

野牧 秀隆さん
(海洋研究開発機構 超先鋭研究開発部門超先鋭研究開発プログラム):

現代の人と海とのつながり、人類は深海にまで行くようになったということで「ハイパードルフィン」という最新の深海の調査機器を初展示しています。ここ20年間ずっと海に潜っている本物の最新機器なので、いろいろなところに傷やちょっとした錆が見られるんですね。深海の調査をしている実機として、リアル感を楽しんでもらいたいです!

無人探査機 ハイパードルフィン(所蔵:海洋研究開発機構)

第4章 海との共存、そして未来へ

水産資源の枯渇やプラスチックでの汚染など、私たちの生活はあらゆる場面で海洋の環境変化に影響を及ぼしています。これから海とどのように関わり、どのように守っていけばよいのか、展示から身近な目線で考えていきます。

左から、ウミガメ胃内容物(所蔵:エバーラスティング・ネイチャー)、クジラの胃内容物(所蔵:国立科学博物館)

藤倉 克則さん
(海洋研究開発機構 地球環境部門海洋生物環境影響研究センター):

「ヨコヅナイワシ」という巨大な深海魚に注目してもらいたいです。海の多様性においては、いかに海の生き物を利用しつつ、保全とのバランスを取るかという点が世界的な課題になっています。日本でも海の保護区を作ったのですが、生態系のモニタリングをどう行うか……。そこで指標となったのが食物連鎖のトップである「ヨコヅナイワシ」です。「ヨコヅナイワシ」をモニタリングすることで生態系が保たれているか評価できる、とても意味のある存在であることを伝えたいです。

ヨコヅナイワシ(所蔵:海洋研究開発機構)

音声ガイドやグッズもオススメ!!

音声ガイドを担当されているのは、海展の公式ナビゲーター・桝太一さん。これを聴けば、展示の解説からさらに一歩踏み込んで、海の秘密に詳しくなれるアイテムです。途中にはクイズコーナーもあり、ワクワク楽しめること間違いなし!!

桝 太一さん
(同志社大学ハリス理化学研究所専任研究所員):

「海」というひとことでは済ませられない、宇宙好きから、深海好き、歴史好き、ロボット好き、社会課題・環境問題に興味のある方まで、いろいろな方がいろいろな視点で見られる展示になっているかと思います。「展示の出口が海への入り口」というように、海ってまだまだ分からないことがいっぱいあるんだなと、今まさに研究者の皆さんがその謎を解き明かす真っ最中なんだなと伝わるのではないでしょうか。夏休みの宿題のヒントを探しに、多くのお子さんたちにも来てほしいですね。

音声ガイド内のクイズ画面

海展オリジナルのぬいぐるみや、ハンギョドンコラボグッズもとっても可愛いんです!! おうちに帰っても海のなかまたちと一緒に楽しく過ごせそう。

オリジナルグッズの特大スネイルフィッシュ、センジュナマコのぬいぐるみなど
ハンギョドンコラボグッズ

生き物の進化や地球での暮らしに、欠かせない存在である海。海展を通して様々な海の顔を学ぶことで、身近な部分だけでない、まだ知らない神秘的な海の一面に出会い、きっと魅せられてしまうはずです。海展で未知なる冒険の扉を開いて、好奇心いっぱいの夏休みを過ごしませんか!?

文:清水美里(おちらしさんスタッフ)

特別展「海 ―生命のみなもと―」
Special Exhibition The OCEAN -The Origin of Life

会期:
2023年7月15日(土)〜10月9日(月・祝)
会場:国立科学博物館(東京・上野公園) 地球館地下1階 特別展示室
主催:国立科学博物館、海洋研究開発機構、NHK、NHKプロモーション、読売新聞社

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