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自作小説

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ホラー以外の自作小説
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記事一覧

いつか、晴れ間を待つ (ヒューマンドラマ掌編:2,031文字)

あらすじ……
 俺さ、宇宙人なんだ――。
 
 突然、友はそう言った。
 ふざけているのか、それとも……。

 ©Fortuna 2021
 ※noteのコンテスト(#2000字のドラマ)用に書き下ろしました。

いつか、晴れ間を待つ
 俺さ、宇宙人なんだ――。

 と言う、大輔の告白に俺は絶句した。
 渡と一緒に、コンビニでバイト中の大輔をからかうのが、毎週のことだったが、今日に限ってノリが悪い

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雪解けキッス (ヒューマンドラマ短編: )

あらすじ……
 雪女の末裔である秀一には、コントロールできないことがあった。
 それは、自身の唇の温度を調節できない。

「どうしてキスをしてくれないの?」
 秀一には、咲希という中学の頃から付き合う彼女がいる。
 だが、最近二人の仲が悪くなってきていた。
 唇が触れて自身の素性が知られたらと、キスを秀一から拒絶してきたのだ。

「正直に言ったらどうだ。俺は雪女の一族だって」
 親友で口裂け女の末

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寂しい悲鳴 (ヒューマンドラマ短編:6000字程度)

あらすじ……
 ウイルスに打ち勝った世界。日常生活は、AI技術に依存したオンラインが付き物になっていた。だが、世の中は、便利さをうたっておきながら、いい加減な社会へと移行する。
 高校二年生の航(わたる)。
 オンラインの授業にも慣れて、画面越しの生活を享受していた。
 そんなある日、病院から祖母の危篤を知らせる電話が入る。画面越しから見る祖母の死をきっかけに、オンラインを推し進める社会に怒りが湧

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闘う二人の救いの手 (ヒューマンドラマ掌編:3000字程度)

あらすじ……
『不採用のお知らせ……』
 この機械的な文言を何度見ただろうか。
 まるで、パラシュートなしでスカイダイビングしているようだった。誰も救いの手を差し伸べることなく、冷たい地面に落下する。
 修の年齢は三十歳を過ぎていた。転職活動がうまくいかず、無意識に涙がこぼれ落ちるほど、自身は追い詰められていた。
 そこへ、友人の亮から電話が入る。
 亮との会話から、修の心が次第に落ち着いてきた。

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