のら庭っこ便り#005 2023 5/17 弐 濃密な時間
※基本、「弐」は、虫の画像を含みます。
その日は、雨上がりの午後でした。
このシーズンの、雨上がりの午後といえば…、そう。
アリの結婚飛行です!
(おそらく)オスアリが、のら庭のとある雑草に静かにじっとしているのを発見。
これが、彼らの一生のハイライトの前なのか、後なのかまではわかりませんが、5匹ほどが適度なディスタンスで集まっていました。
この日の夜、自宅前で巣と定める場所を探しているのか、自転車置き場でうろうろしている、羽を落とした後の女王蟻を見つけたので、この日がその日だった可能性は高そう。
数年前、同じ場所で女王アリを捕まえて、巣作りを観察していたことがありますが、なんとも神秘的なものを感じます。
アリは、不思議なことに地域のオスと女王アリが、同じ日に一斉に結婚飛行に飛び立つんだとか。
どうやって待ち合わせているのかは、謎に包まれているのだそうで、アリの世界には、運命の赤い糸があるのかも?
なんて言ったら、ちょっとロマンチックすぎでしょうか。
虫たちの命のバトンが受け渡される、春。
植物たちも、花を咲かせて次の世代に受け渡すステージに進んでいます。
ミズナやダイコンなど、アブラナ科の野菜の開花は、人間には「トウ立ち」と呼ばれて、「老化」扱いですが、当事者的には命の旬。
春の強い風と、風に乗る虫たちが、あたらしい縁をつないでいます。
イチゴは、実だけではなく、ランナーもぐんぐん伸びる。
整理しないと、ランナーでどんどん広がりますが、
人間が摘まなければ、種から増えることもあるのでしょうか…?
去年に続き、同じような場所に零れ種で咲く花、
そもそも多年草で、去年より広い範囲で咲く花、
去年はいたのに、消えた花も。
パーマカルチャーセンターの、ガーデンボランティアに行ったときにいただいたゴボウの種は、去年2株ほど種をつけました。
その零れ種が、庭のあちこちで芽吹くゴボウの丸い葉が顔を出し、
冬を越した株は、花をつけそうなほど大きく伸びています。
絶対全部掘り取ったと思ったジャガイモは、なぜこんなところに?という場所から芽を出し、
(畑あるある)
夏野菜の苗は、最初の実をつけはじめました。
出会う虫たちの種類も増えてきて、庭に腰を下ろして風景に溶けると、
たくさんの虫たちが忙しく動き回っていたり、じっと身を潜めていたり、
各々の世界を生きている様子が見えてきて、
ついついずっと追いかけてしまい、気がつけばもう西日。
子どものころから、大好きだった時間。
子どもを通して思い出し、今、子どもに邪魔されずに子どもに返り、気が済んだら家に帰ります。
今週も春、来週も多分、まだ春。つづきはまた来週、ね。
自分の書く文章をきっかけに、あらゆる物や事と交換できる道具が動くのって、なんでこんなに感動するのだろう。その数字より、そのこと自体に、心が震えます。