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病理基本用語集#1

【本日の内容】
(1)細胞・組織の適応反応
(2)-plasia = to form:形成すること
(3)腫瘍などを表す用語

注:上記写真はロビンス病理学であるが、この記事はロビンス病理学の内容をまとめたものではなく、ロビンスを含めて筆者が今まで読んだ病理学の本から得た知識、経験や先輩方から学んだ知識をまとめたものである。

(1)細胞・組織の適応反応

過形成・増生(hyperplasia):細胞の数の増加
低形成(hypoplasia):細胞の数の減少

肥大・肥厚(hypertrophy):細胞自体が大きくなること
 👉その結果として組織自体が大きくなること
萎縮(atrophy):細胞自体が小さくなること
 👉その結果として組織自体が小さくなること

異栄養(dystrophy):栄養異常・形成異常
 👉およびその結果としての組織変化
(例:異栄養性石灰化 dystrophic calcification)

(2)-plasia = to form:形成すること

正形成(euplasia):細胞の数が正常
過形成(hyperplasia):細胞の数が増加
低形成(hypoplasia):細胞の数が減少

無形成(aplasia):細胞がない、細胞ができない
 👉その結果として組織ができない

化生(metaplasia):異なる組織に変化すること

異形成(dysplasia):異常な形成
 👉細胞の分化・形態・構造が異常になること
 👉”異型を伴う化生”という意味合いもある
 👉上皮性病変では【前癌病変】として用いることが多い
  (軽い異形成は可逆的という考え方が臓器により多少異なる)

新生物・腫瘍(neoplasia):新たに生まれた細胞たち
 👉勝手に自律的に増殖する細胞の集合体が新生物
 👉腫瘍は本来「腫瘤=tumor」の意味からきている

退形成(anaplasia):反対方向に形成すること
 👉一度形成されたもの(分化したもの)が、分化を失うこと
 👉 脱分化 dedifferentiation とほぼ同義

線維形成(desmoplasia):線維が形成されること
 👉線維化(fibrosis)、つまり膠原線維が増加すること

(3)腫瘍などを表す用語

腫瘤(mass)
腫瘤・腫瘍(tumor)
新生物・腫瘍(neoplasia):良悪性を含めた新生物全般
がん(cancer):悪性新生物全般
癌・癌腫(carcinoma):上皮性悪性新生物
肉腫(sarcoma):間葉系を主体とした悪性新生物
~腫(-oma)

過誤腫(hamartoma)
 本来そこにある正常にみえる組織が異常な構築を示して増殖する

分離腫(choristoma)
 本来そこにないが正常にみえる組織が増殖する

『過誤腫は組織構成の量的配合異常で、構成する個々の要素は正常組織を構成する成分と全く同一であるが、各成分の割合が正常とは異なり腫瘍を形成するもの。分離腫は胎生期に細胞・組織の一部が正常組織から離断して異常な部位に出現して腫瘍状を形成するもので、胎生期の組織の遊走異常。』
と、考えられてきたが、遺伝子異常の発見などで最近は真の腫瘍であると考えられる向きがある。

その他、白血病(leukemia)など慣習的な名称もある
※ leuko=白、-emia=血症(血液)

【参考】
anemia:貧血
polycythemia:多血症(poly=多い、cyto=細胞)
hyperglycemia / hypoglycemia:高血糖 / 低血糖
hyperlipidemia / dyslipidemia:高脂血症 / 脂質異常症
acidemia / alkalemia:酸血症 / アルカリ血症
 ※ acidosis / alkalosis と区別しよう
leukemia:白血病
melanemia:メラニン血症(悪性黒色腫の末期に血液が黒くなる)


【次の記事:病理基本用語集#2 分化について】

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