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詠唱ありの魔法がダサいと思うあなたへ、UX的にマジレス

詠唱ありの魔法はダサいダサイ言われるけれど、ちゃんと必要なんだよという話。

詠唱ありの魔法はダサいという風潮

RPGで魔法を発動する前にキャラクターがしゃべる言葉を詠唱というが、最近の風潮では、詠唱ありの魔法はダサいということになっている。

(リンク変わってたらごめん)
「え?初歩的な魔法なのに詠唱しちゃうの?」と、この漫画ではツッコミを受けている。

「敵の前で詠唱していたら何の術を発動するかバレバレだから、戦術的にありえない」「ただただ、恥ずかしい」といったツッコミもよくある。

しかし、テイルズで育ってきたわたしは、あえて詠唱の大切さを語りたい。

詠唱が必要な理由

「好きなキャラクターや声優さんが喋っている声を聞きたい」「なんかかっこいい」「気持ちが乗ってくる」という理由を挙げる人もいると思うが、今回は別の切り口で説明したい。

それは、ゲームに参加するもう一人の大事な人のために、詠唱は存在する。

つまり、ゲームを操作している私たちのために、詠唱は必要なのだ。

いくつもの情報を同時に処理しながらゲームを操作している

リアルタイムのRPGゲームを操作しているとき、私たちはいくつもの情報を同時に処理している。

HP(体力)、自分と仲間のキャラクターの位置、敵の動き、必殺技のゲージ、コントローラーの指の動き、、いろいろなことに同時に気を配らないといけない。

人が短期的に記憶できる数値は、4ー7個くらいだとされている。

ゲームの画面に表示される様々な要素を把握して操作するのは、記憶のキャパシティとの戦いである。

詠唱なしの場合を仮定する

もし魔法を唱えるときに詠唱がないとすると、わたしたちは、術を文字・視覚情報だけで記憶しないといけなくなる。

術発動時に、エフェクトともに術名が画面の上の方に表示されるが、何秒もテロップは表示されない。

他の多くの情報がある中で短い時間の視覚情報であるため、あの術ってどんなものだったかのが記憶に残りにくい。

詠唱という名の聴覚情報

しかし、詠唱があれば、視覚情報だけでなく、聴覚情報がどんな術だったかの記憶の定着に役立ってくれる。

また、詠唱文句の長さから、術発動までのタイムラグもなんとなく予想がつきやすい。

※この視覚+聴覚を同時に受容することで、記憶しやすいという話は、以下の論文に詳しい。
『スクロール文字と音声が短期記憶に及ぼす影響』
https://www.jstage.jst.go.jp/article/aije/74/637/74_637_255/_pdf

詠唱はさくさくプレイのためのしかけ

詠唱のおかげで、私たちは術や技を覚えやすく、あるいは忘れても思い出しやすくなっている。

この記憶の補助がある結果、たくさんの情報を同時に処理しないといけないゲーム中も、つまづくことなくプレイしやすい。

詠唱は、私たちプレイヤーに気持ち良くプレイしてもらうための設計=デザインなのだ。

補足 なぜ詠唱はダサいと言われるのか?

逆を返すと、リアルタイムプレイでもなければ同時に処理しないといけない情報は少ないということになる。

例えば、ドラクエなどのターン制バトルや漫画などは、じっくり考えて手を止めていても、私たちが負けたり、タイミングを逃すことはない。

こういうときは、詠唱の真のメリットである「記憶の定着の促進」の要素が薄れてしまって、別の意味が目立ってしまうのだろう。

補足 詠唱なし魔法の漫画を紹介

詠唱ありでも無しでも、魔法が使えるだけでとってもすごいと思うので、無詠唱派の方も詠唱好きの人に優しくしてあげてください。

詠唱をむしろ効果的に使っている漫画ってないのかな。もしご存知でしたらコメントお待ちしております。

補足 記事の着想

フォートナイトのUXディレクターが、UIをどう工夫しているかを語ってくれている動画。
人はそんな簡単に記憶できなくて、忘れっぽいのだと教えてくれる。


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