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出産後、生まれて初めてホームシックになった話〈前半〉

長男を無事出産し、尿意に耐えた(耐えられなかった)カンガルーケアを終えて病室に移動することになった。
私は産科の事などよくわからず、何かあった時のことを考えて、総合病院を選んでいた。
そこは24時間母子同室・完全母乳推奨の(推奨という名のゴリ押し)産科だった。

通常が6人部屋、次に個室、そして特別室があり、個室からは値段が高くなるので、私は6人部屋。
産んだのが22:35だったので、その後裂けたお股を縫ったりカンガルーケアをしたりして、部屋に移動したのは深夜だった。

6人部屋には私の他にもうひとり居た。
ベッドの横に、赤ちゃんを寝かせるケースがあるのだけど、心拍を測る装置かなんかが入ってるらしく、抱き上げる前には必ずスイッチをオフにして下さいと説明を受けた。
ここから私にとって辛い辛い入院生活が始まった。

①置くと泣いた
抱っこすらぎこちなく、うまく授乳できない私と、うまく吸えない長男の不器用コンビ。母乳が足りないのでしょう。置くとすぐに泣いた。
同室の方に迷惑を掛けてしまうのが申し訳なくて、泣くと焦って抱き上げる→スイッチを切るのを忘れる→アラームが鳴る→もっとうるさくて迷惑をかける。というのを何度かやってしまった。
私はそれに耐えられなくて、ベッドの縁に腰を掛けた状態で一晩中抱っこしていた。

②縫ったお股が痛すぎた
私は本来我慢強い、痛みに強い人間なのに、縫ったお股の痛みだけは耐えられなかった。普通なら、母乳に悪い影響があったらどうしよう…と躊躇してもおかしくないと思うのだけど、私はそれを悩む余裕が無いくらい、薬が切れるたびに「痛み止めを下さい。」とお願いしていた。
動くと痛いので、ベッドに横になるという動作すらできなかった。

③出産時「いきむ」がわからなくて全身筋肉痛
要領を得るのに時間がかかる鈍臭い私。簡単に言うとうんこをするのと同じなんだけど、「ここに力を入れて」と言われてもどうすればそこに力が入るのかがわからなかったのと、腹筋がなさすぎてお腹に力が入らず、腹筋以外の全てが筋肉痛に。
それに加えて一晩中ぎこちない抱っこをする日々で、身体はガチガチ。さらに横になれず、ずっと座っているので、脚はゾウのように浮腫んでいた。

④寝る時間がない
夜は一晩中抱っこしているけれど、昼間は置いても寝る。しかし昼間は家族や親戚が来てくれるので、私がグースカ寝ている暇はない。だからと言って、誰も来ないで欲しいとは思わなかった。生まれたばかりの赤ちゃんとふたりきりの時間は緊張しっぱなしなので、誰か来てくれてるとホッとした。
特に夫が来てくれた時に感じた安堵は、「私はこの人と家族なんだ。」と改めて実感した瞬間だった。
しかし睡眠不足は、体力も気力も消耗していった。

⑤乳首が切れて出血
基本、3時間おきに母乳をあげるのだけど、頻繁に泣くので3時間保たない事がほとんどだった。
出産前から乳頭マッサージなどをして準備をしていたけれど、もともと皮膚が薄くて弱いので、2日も経つと乳首が切れて出血。
それでも、傷が治るまで搾乳にしようとか、1日に何度かはミルクにしようとかは言ってもらえない。繰り返し出血しようがなんだろうが、乳首に塗る保湿クリームをくれただけだった。
激痛に耐えながら、とにかく母乳をあげ続けなければならなかった。
3日目の朝には貧血になり、鉄剤を処方された。

⑥シャワーが共同
シャワーはABCと並んで3つ、カーテンで仕切られただけで足元は見えている。事前に時間と場所(ABCのどれか)を予約表に記入。
産後は悪露といって3週間から1ヶ月ほど出血がある。お股から血を流しながら、誰かと時間が被るかもしれないなんて、嫌で嫌で仕方がなかった。でも、出血しているので清潔にした方が良いし、シャワーだけでも体が温まった方が体の回復が早いとされている。毎日、誰かと被らない事を祈りつつ、全然心が休まらないシャワータイムだった。

母子ともに限界
同室の方は、カーテンの向こうで姿が見えないにも関わらず、終始落ち着いていて余裕があるのがわかった。赤ちゃんも、理由がわからないようなタイミングで泣いたりしない。なんでこんなに違うんだろう。
3日目の朝、旦那さんと上の子が迎えに来て、その方は退院して行った。2人目だったのかぁ。
私は長男とふたりきりになって、気を遣わずに済むのでホッとした。

その日の夜、長男が泣き止まず、看護師さんが様子を見に来た。熱を測ると長男は発熱していた。
先生に診せて来ます。と言って看護師さんが急いだ様子で長男を連れ去っていった。

私は突然ひとりになり、
次の瞬間には泣き出していた。

私は母親なのに、熱を出させてしまった。
お腹がいっぱいにならないからだ。
血の混じった母乳のせいだ。
上手に寝かしつけられないからだ。
熱が下がらなかったらどうしよう。
大変なことになってしまったらどうしよう。
全部私のせいだ。

少し経つと、看護師さんと長男が戻ってきた。
特に何か問題があったわけではなく、私がずっと抱いているので体温が上がってしまったのかもしれない、今はもう大丈夫。と言われた。
そして私の様子に気づき、大丈夫?と聞かれたので、私は「大丈夫です。」と答えた。

母親なんだから、大丈夫と答えるしかないと思ったのだ。

この時私は、
辛くて辛くて仕方なく、
早く家に帰りたい。
早くこんなところから出ていきたい。
と思っていた。

生まれて初めてのホームシックだった。


🐈‍⬛ …   👶🏻


長くなったので続きは次の記事に書きます。
今回は辛かった事だけを書きました。
そんなに大変なら、怖くて子供は産めないと思ってしまうかもしれませんが、これから妊娠・出産をするかもしれない方たちに、私と同じ失敗をして欲しくない無いので書きました。
実際、2人目の入院中は天国のようでした。

後半は退院するまでと、どうすればこんな辛い目に合わずに済むかを書いていきます。

次の記事も読んでください。
(明日更新予定)

最後まで読んでくださり
ありがとうございました🍀

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  いつかの夕焼け

長男の陣痛から出産まではこちら

心から感謝します。 Thank you from the bottom of my heart.