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環境投資がお金になる時代に。

「"お金"を稼ぐ。」

お金という概念がこの世に誕生してから、どれくらい経つのだろう。その物体に内包される不思議な魔力に、人類はとりつかれてきた。

人類は、その叡智をより効率的なお金の返還手段としてフル活用し、結果として、迅速かつ確実に地球環境を破壊した。

転換点は、1960年代頃だろうか。日本で四大公害病が表面化し、海の向こうでレイチェル・カーソンが警鐘を鳴らす頃、お金の"前後"に少しずつスポットライトがあたるようになった。

お金は我々の心を捉えて離さない。物質的欲求の充足感がピークを迎えつつある今日、お金自体の重要性は逓減しているが、むしろその前後の文脈は重要性を増しているように思う。つまり、権利行使や価値貯蔵の手段のみならず、その"稼ぎ方"、"使い方"が持つ意義が重視されるようになってきている。

これは、何も法人に限った話ではない。貴方の生み出す旧来的な価値ではなく、「どのように価値を創出し、その価値を何に振り向けるか」を問われる時代」に突入しつつあるのだ。

なぜそのような時代が到来したか。お金を稼ぐ敷居が下がり、誰でもお金を稼げるようになったからだ。人類は、生きる欲求を満たされ、物的豊かさ以上に、精神的充足感(効用)を求めるようになった。

小難しい分析は不要だ。GDPの産業構成比だとか、時価総額TOP100の企業を見れば一目瞭然である。我々は、心を求める時代を生きている。

モノを通してお金を稼ぐのは大変だ。リスクも高い。貴方が毎日手にする何の変哲もない透明なゴミ袋を作るために、ポリエチレンや塩化ビニルといった化学物質が必要だ。これらの原料を得るには、数十億円という資金、広大な土地、ウン百人という人手、原料を輸入する輸送手段等が必要だ。お金を稼ぐには、"資本の集約"が必要であり、資本無き個人は、労働者であるしかない。

心を求める時代には、これら一切が不要なのだ。既に構築されたITインフラと、数千円の月額固定費、人の心を打つ貴方なりのアイデアでお金稼ぎの準備は万端。貴方も明日から、あなた一人でお金を稼ぐことができる。

一人でお金を稼げるなら、労働者であることは、もはや選択肢の1つに過ぎない。メタップスのタイムバンクをやってみたり、ブログやnoteで記事を書いてみたり。そんな生活を放棄し、多くの制度や定時概念に縛られて働くのであれば、そこに相当する理由を問われる。心の時代は、理由の時代でもある。私たちは、私たちの有様そのものを問われている。

企業も同じだ。歴史上、その有様を今日ほど問われることは無い。品質・サービスにはじまり、法令、男女の性差やLGBTに対する意識、社会的責任。あらゆる目、あらゆる角度から、企業は評価され続ける。6/29の日本経済新聞には、火力発電への投資と、投資家・環境団体の批判の狭間で揺れるメガバンクの苦悩が鮮明に描かれていた。今や"環境"は、お金に直結する最重要テーマに担ぎ上げられている。

日本の苦悩を他所に、世界は先へ進む。EV化、蓄電池・太陽光発電コストの劇的な低減。2015年を契機として、世界はもう一段強くアクセルを踏んだ。そして、その先端を突き進むのは、紛れもない中国だ。中国は、太陽光・風力発電の規模で世界一位を直走る。もちろん、確かな経済的動機付けを内包する、強かな戦略だ。我々の頭や価値観は、日本の経済成長と同じように、90年代から止まっていやしないだろうか。どこか胡散臭いと見なされがちな隣国で起こる変化を、我々は自分事として捉えられてはいまい。

環境投資がお金になる時代に、一国、一企業、一個人としてどうありたいか。夏本番を間近に控え、エアコンの手入れをしながら、そんなことをふと思った。

何かのお役に立ちましたなら幸いです。気が向きましたら、一杯の缶コーヒー代を。(let's nemutai 覚まし…!)