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はずかしがりやさんの写真館~友人が女優になった瞬間~
衝撃の初対面から
約2か月が過ぎた。
八王子駅の改札口で、
りょうちゃんと待ち合わせの約束をしている。
わたしたちを引き合わせてくれた友人が
写真撮影をお願いしているのだ。
2人の好意で
わたしも同席させてもらえることになった。
駅から歩くこと20分。
撮影場所となるスタジオに到着した。
りょうちゃんに確認したところ、
駐車場の用意もあるらしい。
雨の日でも安心だと思っていたら、
「撮影は、晴れた日限定」とのこと。
自然光にこだわりたいそうだ。
はずかしがりやさんの写真館は、
一般的な記念写真スタジオではない。
りょうちゃんが考える
完全オリジナルのフォトサロンなのだ。
スタジオに到着後、
撮影の詳細を友人にたずねる。
「女優コース」に申し込んだとのこと。
少しだけ恥ずかしそうに
「今日は、女優のつもりで」と言っていた。
そうだ、
彼女も「はずかしがりやさん」だった。
![](https://assets.st-note.com/img/1682841254799-Z4ZeUs8vrJ.jpg?width=800)
スタジオは窓から明るい光が差し込んでいる。
照明器具は1つもない。
目に入るのは
白い壁と小道具のスツールのみ。
仕度する様子を見ていても
ヘアメイクをセットするための鏡のみだ。
女優コースなのに?
頭の中にクエスチョンーマークがわく。
友人は、
いつものようにメイクを直している。
りょうちゃんは、
友人の持参したワンピースを見ながら、
次々と小物を運んできた。
イヤリングや帽子、
サンダルにお花もある。
まずは、
着てきた洋服で撮影するらしい。
りょうちゃんが用意したイヤリングをつけ、
髪の毛をどうするか相談している。
雑誌をめくりながらイメージを共有して
「こんな感じいいかも」と、
まるで友達同士のやり取りだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1682841470179-pzF61CQrjZ.jpg?width=800)
リラックスした状態のまま、
撮影は始まった。
友人は、
はずかしそうにカメラの前に立つ。
「手はどうしたらいいの?」
モデルとしての戸惑いを感じる。
一方、
りょうちゃんはマイペースだ。
カメラの不調があれば、
「なんでだろ?どうした??」と、
被写体そっちのけで語りかける。
自然体すぎて、
友人も拍子抜けしたのかもしれない。
一瞬で、
こわばった空気は消えた。
![](https://assets.st-note.com/img/1682841513399-xEvNPxbhkG.jpg?width=800)
撮影の主導権は
ほぼ、りょうちゃんにある。
あくまでも、
彼女が「かわいい」と興奮するのが正解だ。
りょうちゃんが
洋服に合わせて
アクセサリーも髪型も変える。
ポーズも実演しながら指示していく。
文字にすると、
厳しく感じるかもしれないが、
全然違う。
「目線を下にしながら、肩の匂いを嗅いでみて」
「え?何?って感じで、こっち見て」
表現が独特で、
思わず吹き出してしまうのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1683010711765-kAoDnafRP2.jpg)
撮影:photosalon_couleur
しかも、
誰よりも興奮しているのが
撮影している本人というカオス。
「いい!いいよ~!!」
「かわいい!!」
「そう、それ、○!※◇#△!」
しまいには、
カメラを手にしたまま
その場でジャンプして悶えている。
少し心配になる熱量は、
間違いなく「変態」だ。
![](https://assets.st-note.com/img/1682841677281-fdZZd9Xl63.jpg?width=800)
モデルである友人は、
りょうちゃんの姿を見て
大笑いしたり、
微笑んだりしている。
やさしくて、やわらかい表情。
小さな子どもや
大切な人に向けられる眼差しだ。
撮影の間、
友人を見て
「こんな表情するんだ」と何度も思った。
友だちにも、家族にも見せない顔。
もしかしたら、
自分でも見たことない顔なのかもしれない。
いつも見ている洋服を着ているのに、
カメラの前にいる彼女は
まるで別の人のよう。
まさに、女優だ!
![](https://assets.st-note.com/img/1683011090266-XEOinArnX6.jpg)
はずかしがりやさんの写真館では、
女優にしたてあげるのではなく、
女優として指示を出す。
考えてみると、
女優という職業は、
監督のイメージに合わせて
衣装もメイクも演技も決まる。
彼女たちが垢抜けていくのは、
プロの手助けもあるけれど、
半ば強制的に
新しい自分になるからなのかもしれない。
女優コースでは、
カメラマンの指示で演じた自分を
写真という形で目にする。
素人だった女優が輝く過程を
一般人も体験できる仕組みというわけだ。
はずかしがりやの写真館は、
かつてないコンセプトの
フォトサロンなのかもしれない。
東京都八王子市
はずかしがりやさんの写真館
フォトサロン クルール
公式 Instagram
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