誰もいないポートレート 4
4 誰もいないポートレート
最後にもう一枚。
雪原の写真だ。地平線まで広がる雪原で、あるものと言えば、葉をすべて落とし、立ち枯れた、細い木々が点々と写っているだけだ。雪は枝に積もり、朽ちたその木が遠目になんの木であるのか、誰にもわかりはしないだろう。日はなく、画面は薄い膜を通して見るような闇に覆われている。時は薄明のようにも見えるけれど、空は濁った薄灰色で、暁の微かな残光も見えはしない。だからきっと、そこはただたんに暗いだけなのだ。
あるいは、この風景の空気の中には、