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夏休みの自由研究

 小学生の頃、夏休みの自由研究で、こんなことをやってみたことがある。
 夏は暑い。エアコンをつけると涼しい。ということは、エアコンで人間の体温は下がっているのだろうか。家族、両親と兄、にも協力してもらって、エアコンの稼働時間と、室内の気温、それぞれの体温を記録してみた。
 動いたら体温が上がってしまうのは、さすがに子どもでもわかったので、じっとしていていることにした。しかし、何もしないで、何時間も過ごすのは、とても、退屈である。
 それで、みんなでボードゲームをやりながら、エアコンの稼働時間、室温、体温を記録していった。
 ところが、ゲームをやり始めたら、エアコンを稼働させ続けているにも関わらず、全員の体温が、どんどん上がり始めて、母にいたっては、37℃代になった。ゲームの影響は絶大だったが、エアコンが与える体温への影響は、なんだか、数字の上では、あまり、よくわからなかった。
 「『エアコンと体温の関係』というタイトルなのに、こんなんでいいのだろうか」と、思った。
 夏休みが明けて、その経過を書いて出したら、先生に呼び出されて、模造紙に、その内容を書くようにと言われた。と言っても、私が書いたものを、先生が、そのまま模造紙に鉛筆で下書きしてくれていて、私は、それをマーカーでなぞっただけだったが。
 私は、なんで、先生が、鉛筆で下書きまでしてくれたんだろうと、不思議だった。
 付近の学校の自由研究で面白いものを、毎年、デパートに展示するのだそうだ。先生が言うのを「へー」と聞いていたが、私の自由研究を、それに出すと先生が言い出したので、鈍感な私は、ようやく、びっくりした。

#夏の自由研究

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