【ねこ好きの本棚】#1 動物たちがくれる人への贈り物
はじめに
自分が読んだ本のアウトプットも兼ねて
これから不定期で投稿していこうと思います。
インスタだと書ききれないことも書いていこうと思います。
私は動物大好き人間(特に犬猫)なのでそれ系が多いですが
動物分野以外の人、特に教育や親子問題、個人のメンタルに悩む人にも
参考になる部分が大きいのではと思うので
是非、紹介する本が多くの人に手に取ってもらえるといいなぁ~
って思います。
今回紹介する本は
『動物がくれる力 教育、福祉、そして人生 大塚敦子 著』
です。
どんなお話?
ざっくりいうと
動物はペットとして癒しを与えてくれるだけじゃなく
子供の教育面や、病気と闘う人、病気とともに生きる人、受刑者の更生など社会全体や個人の抱える問題など幅広い面で私たちを助けてくれますよ
という内容になっています。
「え、本当に???🙄」
と思う方、少なくないと思います。
ではこれから本書に書かれている実例をポイントを絞って紹介していきたいと思います。
自分も動物は活躍しているよと思っていましたが
思っていたよりも10倍くらい実際活躍してることがわかりました笑
また意外なことに本書を読むとビジネスの成功のヒントも見えてきたりするのでそのあたりも踏まえて紹介していこうと思います。
ではまず
①教育に与える影響~動物介在教育~
についてです。
動物介在教育とはなんぞや、というと
動物と触れ合うことで命の大切さを教えたり、学習意欲を高めるもの
になります。
教育面でどんな影響があるかというと
命の大切さを教師から教わるのを待つのではなく子供が自分から学ぼうとしてくれる
相手の気持ちを思いやる心が育つ
コミュニケーション能力の向上
読書の習慣化
大きくこの4つがあります。
子供が自分から学んでくれて、尚且つ相手を思いやれる子に育つのであれば親御さんや教育者の方々としてまさに願ったりだと思いませんか??
本書で紹介されている事例の中に
学校犬の導入とJAHA(公益社団法人日本動物病院協会)による学校や図書館の訪問
があります。
学校犬とはその名の通り、学校で飼育する犬のことで
休み時間を利用し学生が散歩したり
運動場でフリスビーなどを使い遊んだりするというものです。
動物福祉先進国である欧米でも同様の
『スクールドック』
という制度があります。
学校で動物飼育と聞くと最近の人はピンと来ないかもしれませんが
少し前の学校ではウサギなどの小動物を飼育しているところもあり
私が通っていた小学校でもウサギを飼育していて、私もえさやり登板をしていました🐇🐰
犬をはじめとする猫や馬など動物たちは私たちの心の機微をものすごく敏感に感じ取ります。
犬と楽しく遊ぶにはどうすればいいか
どうしたら犬が気持ちよくいられるかなどを学生自ら考え
相手の気持ちを思いやる
ということにつながるのです。
また犬の散歩や犬との遊びをクラスメイトと行ったりすることで
会話のきっかけにもなり不登校生徒やコミュニケーションが苦手な生徒が
次第に打ち解けていった事例もあります。
自分が「やりたい!知りたい!」と思ったことをやるのが
無理なくストレスなく楽しく学べるものだと思います。
例えばモンハンで言えばリオレウスやジンオウガの狩り方なんかを
知って友達と通信プレイしたいから、狩り方やゲームの操作方法を覚える
お菓子作りが好きなら
バレンタインの時、気になる人においしく食べてもらいたいから
作り方や好みを知ろうと努力する
それと同じではないでしょうか。
JAHAの訪問活動は子供や高齢者が動物と触れる機会を提供し、犬の触り方や犬のキモチなどを楽しく伝える活動です。
図書館での活動はJAHAのボランティアが連れてきた犬に対して子供が絵本の読み聞かせをするというもので、犬が聞きやすいように読むにはどうすればいいかなどを考えること、また読んでいる最中に犬がリラックスしてとなりで撫でたりできると本を読むことが好きになるなど、良い影響がたくさんあります!
JAHAでは様々な動物介在活動を精力的に行っています。
一般の方の参加や見学もできるので
ボランティア活動に興味がある、社会福祉を志している人や医療関係者は
一度見学してみると新しい視点や楽しさを得られるかもしれません。
次に
②社会に与える影響~動物介在活動~
についてです。
どんな影響があるかと言うと
受刑者の社会復帰の手助け
困難を抱えた子供たちが社会参加できるようにする
生涯を持つ人々を社会から孤立させない
が挙げられます。
これらの代表として
『盲導犬』
をご存じの方も多いのではないでしょうか。
彼らは障害を持つ人々が社会参加できるように、盲導犬を含む補助犬を必要とする人々の文字通り、目や耳や手足となって社会生活をくれるよう自立をサポートしています。
ここで自立について私が心に残った本書の言葉を紹介します。
「さらっと言ってしまいがちな「自立」という言葉ですが、そこにはとても深い意味があります。一人暮らしや一人での外出ができるようになるというだけではありません。その人らしさを取り戻し、さらに新たな潜在能力を引き出していく。そこまで含んだ奥深い言葉なのだ。」
昨今「多様性(またはダイバーシティ)」という言葉がよく使われますが、その中で個々人が心や生き方を含めて自立していくことがいかに大切か、またそれらを受け入れていく社会の構築がいかに大切かを教えてくれる言葉だと思います。
補助犬以外にも動物たちは実は目に見えない
まるで縁の下の力持ちのような形で社会を支えてくれているのです。
その一つが刑務所での『プリズンドッグプログラム』で活躍する動物達です。
「え、刑務所??」
と思う方も少なくないでしょう。
どんな内容かというと
受刑者が保護猫や保護犬を育てる一時預かりボランティアとなり社会化を行い譲渡できるようにする
というものです。
「受刑者たちが本当に愛情をもってお世話できるのか
傷つけるんじゃないか?」
そう思う方もいるかもしれません。
しかし実際はそんなことはありません。
というのも、受刑者の多くは幼いころの虐待などそれまでの社会的孤立の背景が精神的な部分で要因となっているケースが多く
そして保護される犬猫もまた同じように虐待、遺棄されてきた子たちなのです。
受刑者たちはそれまでの自分の過去と重ね合わせて愛情を注ぎ慈しみ接します。そして動物は注がれた愛情に対して、しっかり応えてくれます。
この活動では
民間の団体と刑務所側が一体となっていることがポイントです。
動物先進国の欧米では官民が動物を含む社会問題に協力してアプローチすることが普通です。一例としてイギリスには英国王立動物虐待防止協会(通称RSPCA)があります。国が認めた機関の証である「Royal(ロイヤル)」を冠しており動物虐待等の問題では警察と一緒に出向き、調査をすることもあります。
今回の刑務所でのプログラムでは保護団体のスタッフと実際にお世話をする受刑者たちは日誌によってやり取りを重ね、犬猫が譲渡できるようにお世話をします。
この活動のもたらす効果として
受刑者たちが自分でも社会参加できると自分を認め自己肯定できること
自分も社会の一部であると実感できること
ボランティア団体の人や犬猫の里親さんが受刑者たちの更生や人柄に関心を寄せ双方の心の成長につながるということ
があります。
また保護動物の譲渡だけでなく、盲導犬などの介助犬育成のための犬のお世話をするところもあります。
本書を読んでいてこの活動の繋がり、仕組みはビジネスの成功にも通じるところがあるのではと私は思います。
この活動の良いところは
関わる全ての人が幸せになるポジティブな循環が生まれている
ところにあります。
どんなポジティブな影響があるかというと
動物保護団体では
・シェルターなどの収容数を減らし新たに保護できるキャパシティが確保できる。
・不足しているお世話ボランティアを確保できる
・動物の譲渡が推進される
刑務所では
・受刑者の精神的な面での更生、再スタートの手助けになる
・犬のしつけやトリミングを経てトリマーなどの動物関連のスキルが身につ
くことで出所時には手に職をつけて出所することができる
なにより、里親さんや保護団体のスタッフたちが受刑者にしっかり関心を寄せ、人間的成長にも図らずも寄与するというところがあります。
関わる全ての人々にポジティブな影響を及ぼすこと
これが社会問題の解決やビジネスの成功にも通じるのではないかと思います。
③医療に与える影響~動物介在療法~
3つ目は医療に与える影響です。
意外な組み合わせかもしれませんが、もしかしたら
『アニマルセラピー』
という言葉を聞いた人は多いのではないでしょうか?
実際犬や猫を撫でることで幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌が活発なることも様々な研究で実証されています。
本書で紹介されている実例として
困難を抱える子どもたちの心の回復と職業訓練を目的とした寄宿学校や農場の創設
病院の小児病棟に犬が勤務し子供たちの精神的安定のサポートをする
というものがあります。
精神的に困難を抱えた子供や先の受刑者たちの中にも共通する部分として
「人を信用できない」
という部分があると本書にも書かれています。
しかし動物は人よりも素直で尚且つ人の心の機微を驚くほど敏感に察知します。
そのようなことから素直な動物たちに慈しみの心を持ち触れ、動物達から愛情を返してもらうことで徐々に心の回復がされていくのです。
寄宿学校や農場でのプログラムでも心の回復とともに、実際に動物のお世話をすることで、その農場で養護施設を卒業した子供が就職したり、獣医師を志して大学進学をしたりと
子供たちへ将来への光を示す役割も果たしています。
小児病棟ではある末期患者が
「犬と触れ合いたい」
と言ったことで衛生管理等が徹底されたもとで病院に常駐する犬の導入が決まりました。この犬を「ファシリティドッグ」と言います。
ファシリティドッグが果たす役割として
手術室までついていき、手術を怖がる心を落ち着かせる
同じ病室で何か月も過ごす子供たちに癒しを提供し、子供が子供らしくいられる時間を作り精神的な安定をもたらしたりする
というものがあります。
本書で取材にされた欧米の病院でも
「動物とのふれあいで得られるベネフィット(=利益・恩恵)のほうがリスクよりも大きい」
と評価されています。
縁の下の力持ちな動物達
一部抜粋してここまで紹介してきましたがどうだったでしょうか。
想像していたよりもかなり広い分野で動物たちが活躍し社会を支えていることが分かったのではないでしょうか。
動物たちは愛情をこちらが注ぐと同じように
動物達もそれに応えてくれます。
本書を読むことでその過程や効果をうまく社会に当てはめて、人も動物とともに生きていく、共生していく術が見いだせるのではないでしょうか。
私が思うにその術とは
・関わる人々にポジティブな影響を与える仕組みにすること
・官民が少なからず一体となること
だと思います。
実は顕在化していない社会問題や、人々が知らない、またはマイノリティの社会問題を解決するには動物や自然の力を借りることがその解決に結びつくのかもしれません。
動物が好きな人や、実際に学んでいる人、保護活動をされている人が本書を読み人と動物がより共生できる仕組みづくりや活動につなげてもらえたらいいなと思います。
それではまた。
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最後までご覧いただきありがとうございます。
都内で保護猫のボランティア活動をしながら
猫カフェ等で猫と楽しく触れ合えるようなコミュニケーション術
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