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【詩人の読書記録日記】栞の代わりに 2月6日~2月12日
はじめに
こんにちは。長尾早苗です。最近読みたい本がたくさんありすぎて贅沢な悩みを持っている今日この頃です。しめきりの原稿は今週中に仕上げたい……! 今週もお付き合いよろしくお願いします。
2月6日
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原稿があとは出すだけになり。やっぱり締め切りは消耗するのかなあ。
しばらく眠っていました。時々一日中眠っている日もあるので、家族に
「眠り姫」と呼ばれます(前向きに姫と呼んでくれるだけありがたい……)
ラジオは聴けてラッキー!
2月7日
一昨日から一時的に腰痛になったり、悲しい気分になることが朝と夕方だけに起こります。
まあ、それも毎月あって、一過性の症状なので、仕方ないです。。
お風呂に入るのもしんどいし、家族と夕ご飯を食べられないほどつらいこともありますが……この痛みもいつか止むんだ。信じて進みます。
好きなラジオ番組やアニメがあって、それがあるからがんばれる、痛みと闘える、と思うのはみなさんにもきっとあると思っていて。
現実ってつらいけれど、誰か一人でもわたしの発信を見て少し前を向けるひとがいればいいななんて思ってしまいます。
わたしは、明日があるということを希望だと思っています。
今という時代でなくても、それはきっと変わらないものなんだと思います。
明日は定期検診その2。一過性の症状なんかも話して来ようと思います。
・高原英理『ゴシックハート』講談社
夜に読まないことをおすすめします……!!
ゴシックが好きな方、サブカルチャーやホラーが好きな方におすすめしたいです。
この本の文庫版はご縁のある宮崎智之さんが紹介されていた本です。ゴシックについての映画や伝承、そして今に至るまでの文学の系譜をたどった強度のある論考になっています。
「こわさ」というものがある種すごく好き、という人と、「こわさ」というものがすごく嫌な方、どちらもいると思うんですけど、その「こわさ」は実は人が生きる上で密着していて生まれた文化なのかもしれません。
わたしは明るい朝が好きなので……。わりと怖い話が苦手なのですが、本当に勉強になりました。
これから江戸川乱歩の怪奇小説などに向き合いたい方にもおすすめしたいです。
・綿矢りさ『オーラの発表会』集英社
とても刺激に敏感な海松子(みるこ)。
彼女は生きていくうえでたくさんの刺激と戦いながら生きてきたので、恋をするのも命がけ。
そんな彼女は大人になろうとするときに、妖しいカルトにハマってしまいます。そんな海松子が自分の再出発点として選んだ場所とは……。
明日がなんとなく怖い、とか、無気力になってしまうのがこわい、とか。
わたしたちの周りに恐怖はいつだってあるし、そのせいで消耗してしまうことも多々ありますよね。
海松子はその方向が結構危なかったのですが、「こわさ」を本当の意味で違う原動力に変えられたら、きっとわたしたちも違う環境になれると思います。
・宮下奈都『つぼみ』光文社
花にまつわる短編集です。
それは華道であったり、新学期であったり、いろいろなもの。
わたしたちは季節と共に生きていますから、日々色々な花に出会って癒されることもあるでしょう。
結婚や入学など、何かと「新しいこと」を始める時に、花は重要な役割を果たすと思っています。
例えば、自分の人生を変えてしまう一瞬だったり。
そういう一瞬が色々な人の生き方に影響を与えていく、心休まる本でした。
2月8日
定期検診その2。
また明日急用ができてしまいました。
それでも仕事はあるし、生活もあるし、がんばっていかなきゃなあ。
竹田信弥/著『めんどくさい本屋 100年先まで続ける道』本の種出版予約。
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こうやって冷凍します。
・佐野洋子『ほんとのこと言えば? 佐野洋子対談集』河出書房新社
ヨーコさん、良いキャラしてます!
わたしは絵本作家としての「佐野洋子さん」も好きですが、谷川俊太郎さんと結婚していたこと、そして彼女の毒舌ぶりにハマってしまいました。
「あなた真面目ねえ」「生きるの大変そうなのによくやってるわね」
など、本音のことばをずばずばと。
みなさま、言っておきますが『100万回生きたねこ』の作者ですからね!
彼女の生き方や潔さが大好きです。
おすぎさんやピーコさんをはじめ、阿川佐和子さんなど魅力的な対談となっています。
・群ようこ『それなりに生きている』筑摩書房
カメとか猫とかおんなのからだとか。
身近に起こる日常を作家としてのエッセイで綴っていきます。
別に事件は起こらないのですが、なんだかくすりと笑えて、たぶん作者にとっては大事件だったんでしょうね。
群さんの作品はかなり追っているように思いますが、
ここ数年の彼女の作品は穏やかで穏やかで本当にうれしいです。
作家として彼女を見習いたいなと思います。
・田辺聖子『ほっこりぽくぽく上方さんぽ』文藝春秋
田辺さんがご存命の時に、彼女のドキュメンタリーを見ていたりしました。
名残惜しい別れですね……。
関西弁を使う方で、おっとりとした優しいお顔を思い出します。
この本では「ぽくぽく」と歩いた「上方(京都・大阪など)」の散歩記録です。
文化圏が少し関東とは違う「ノリ」なのかなと思いました。
よくわたしは関西に住んでいらっしゃったこともある瀬尾まいこさんのエッセイも好きで読むのですが、「ぽくぽく」歩いているうちに色んな女性から声をかけられるんですね。
こちらでも「ぽくぽく」旅したい気持ちになりました。
・ジュンパ・ラヒリ 小川高義訳『その名にちなんで』新潮社
時々なんですが、読み返したくなる長編です。
インド系なのになぜか「ゴーゴリ」と名付けられた主人公。
しかし、この作品には「名づけ」に関する不思議がたくさん詰まっています。
名づけることにより生まれるご縁やいのち、自分であったり他人であったりのアイデンティティ。そういったものを思います。
2月9日
今日はとても忙しい日でした……。
昨日少しストレスが定期検診やらもろもろでやわらぎ、痛みもやわらぎました。ストレスって怖いねえ……。
最近予約本の受け取りが多いので、家と図書館を行ったり来たりです。
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・新川和江『続・新川和江詩集 現代詩文庫132』思潮社
新川和江さんの詩、好きなんですよね。
彼女は日常や自然をきれいに昇華し、自分の心情ですら当てはめていく。
そのことばの選び方が繊細で好きですし、
大先輩でもあります。一読したところ「花」のうたが多いな、とも。
きっと、自分が見ている世界を「花」や「空」に兼ねたものが多いのかなと思います。
・佐藤雅彦『超・短編集 クリック』講談社
面白い試みでしたね。
これは電車の中で読むことをおすすめします。
本当に1ページで一つの物語が終わってしまうので、サクッと読めますし、
読者に面白い工夫もたくさんされています。
そうか、だんご三兄弟もこの短編から生まれたのですね。
ショートショートよりもっと短い短編集です。
2月10日
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雪予報だったのでずーっと原稿をがんばっていました。
今日は楽しみにしているラジオがあって、夜更かしをすることに決定!
また新たに読みたい本が増えました!
それにしても雪だからかよく眠ったなあ。痛みなんか吹っ飛んでしまった。
久々のカップ麺をリクエストで食べました。めんたいこごはんつき。
2月11日
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雪が思ったより積もらなくて予約本を受け取りに行きました。
なんだろう、一日外に出ていないと新鮮な気がします。
もうひとつ、締め切り。がんばるぞー! 新作2編。
・遠藤周作『侍』新潮文庫
大学在学中に何度も読んで何度も涙しました。
もともとミッション系の中学高校に通っていたのと、近所に教会があって、幼稚園の時くらいから『聖書』が身近だったり、クリスチャンの友達が多かったんです。
だから、やっぱりどこか「キリスト教」というものがわたしの中で大きく位置を占めました。何を問うているのか、だれの存在を問うているのか。
それが大きく揺り動かされた一つの小説として、遠藤周作作品は大きいんですよね。
舞台は江戸より前の日本。ローマ法王に会うために侍は海を渡って切支丹になり、また江戸にもどってくるのですが、その頃は禁教令一色。
わたしは最後の「ここからは……あの方がついておられます」という一言がはっきりと忘れられません。
どこか孤独の地、そして生死の境にも「ついておられ」る方がいるということ。信じる、信じぬくということ。
それを大きく問われました。
・ニューヨーク・タイムズ・マガジン/編 マーガレット・アトウッド/ほか著 藤井光/ほか訳『デカメロン・プロジェクト パンデミックから生まれた29の物語』河出書房新社
すごーい!!
そうでしたそうでした、『デカメロン』もペストのパンデミック小説でしたね。
現代のこの流行り病の時代を生きる作家29人が「パンデミック」「ロックダウン」の中で書ける小説。
面白かったです!
ある種、この状態を希望に変えないと! という義務はないのですが、どの短編もその作家独自が持つ「フィクションとノンフィクションのほんの間」を縫って描かれているように思いました。
わたしが一番好きなのは犬を貸すビジネスの話。うまいなあと思いましたし、みんな何につけ本当はどうしようにもない理由で外に出たいんですよ。こわさはあるにしろ、それでも「閉鎖的空間」から逃れたいという思い。体と心がバラバラになってしまっているんですね。
わたしたちはインターネットもあるし、オンラインでいつでもどこでも人と会えるから、仕事もある程度はできるからあえて自宅を選択します。自分も、そして大切な人を守るために。
しかし、それだけではないんだと改めて思い知りました。
体と心がバラバラになってしまう前に、読んでほしい本です。
2月12日
昨日来た締め切りを終わらせる。新作3編。
忙しいのはありがたいこと!
昨日は夕食づくりお休みの日だったのでファーストフードをモバイルオーダーしに行ったのだけど、帰りの車の助手席でぱちんとスイッチが入ったように眠ってしまいました。それから夜までずっと寝ていて、夜から朝までもずっと寝ていました。
締め切りが終わった解放感でいっぱいです。
石原八束/著『川端茅舎』桜楓社、キムチョヨプほか/著 斎藤真理子ほか/訳『最後のライオニ 韓国パンデミックSF小説集』河出書房新社、予約。
詩人の高嶋樹壱さんにうれしい詩集のコメントをいただいていました!
気がつくのが遅くなり大変申し訳ありません。みなさまよかったらぜひ!
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