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【読書記録日記】栞の代わりに 6月20日~6月26日

はじめに

こんにちは。長尾です。今週は低気圧続きで調子が狂いましたね。初日の日曜日は新たな刺激をインカレメンバーから受けつつの週になりました。気圧の変化に気を付けて毎日を過ごそうと思います。

6月20日

・大島静流『飛石の上』インカレポエトリ叢書Ⅳ 七月堂

わたしの恩師、吉田文憲先生が去年の『現代詩手帖年鑑』に「今年の収穫」として載せていた一冊。圧倒的な語彙と緊張感が、一冊を通して全般的に貫いていました。本当によく勉強されているなと舌を巻きました。文体は吉岡実に似ているところもあるし、本当に「現代詩」が好きなんだなと思います。「邂逅」「波をさがして」が印象的でした。一貫したテーマというより、文体の緊張感が常にある所、それでいて美しいものを探求する心が見えてきてよかったです。

・二見遼『Lolita』インカレポエトリ叢書Ⅹ 七月堂

二見さんはわたしがインカレポエトリに携わらせていただいてから、連詩などで「この方はすごい!」と思わされた人です。詩集のタイトルからわかる通り、少女性と政治、大人と子ども、発達と未発達の合間で揺れ動く感性にびっくりしました。そしてなんと、2021年現在、まだ大学生なのですね。これからどんな飛躍をしていくのか楽しみです。「コペルニクス」「花嫁」「"Me" ssiah」が印象的でした。少女と大人の女性、そして人間と神、という主題が大きく胸のうちに迫ってきました。タイトルの読み方がわからなくて申し訳ないのですが、ロシア語のタイトルの詩も考えさせられました。

6月21日

一昨日昨日とインプットしたので、今日は朝散歩から日常に戻るまで、身辺雑記的なものも、そして短編小説も含めて書いていました。

6月22日

今日は待ちに待った火曜日! 移動図書館デイです。詩作を終えて向かいました。読むのは明日の朝の散歩が終わってから。

6月23日

・さくらももこ『焼きそばうえだ』小学館

こんなにくだらない会話をできる仕事仲間っていいなあ。男子の会ってすごくしょうもないけど(小学生レベルの会話しかしてないけど)読みやすくて笑ってスカッとした一冊でした。いきなりバリで焼きそば屋を開くことになった植田さんのエピソードも面白かったし、バリのローランさんがいうように、みんな愉快だなあ。こうやって生きられたら気楽なのかな。

・小川糸『旅ごはん』白泉社

旅とごはんは密接に結びついていて、ごはんはその時の記憶とつながっている。日常でさえそうなのだけど、旅の場合はもっと、そう。わたしは日々食卓の写真を撮っているのだけど、忘れられない「ごはん」もたくさんある。小川糸さんはその中で、旅をしながら食べたものにエッセイとしてやわらかなことばを連ねていく。その情景が浮かんできて楽しかったです。

・坂上秋成『ファルセットの時間』筑摩書房

女らしさ。男らしさ。今でこそ考え方が変わってしまったものでもあり、一人一人に性があるという考え方の時代になりましたが、美しさを求めるという点で、女装する男性の過去の姿や男装している未来の姿が、二人の「男性」を通して語られていてよかったです。中年の以前女装していた男のアプローチは、ある種ロリータ・コンプレックスと考えていいのですが、そんな彼にも、美少女になりたかった「ユヅキ」にもいろいろあったんだろうなと考えさせられました。

・神田茜『七色結び』光文社

主婦って大変なんです、と共感できる小説でした。義母との関係は悩みどころになる方が多いのですね。同居している他の主婦の方たちを見ていると大変そうだなと思います。この小説の主人公の主婦は内職で水引を作っているのですが、その仕事場所も、キッチン。ストレス発散の場は憧れのミュージシャンのライブ、というステレオタイプのハウスワイフですね。ただ、そこにPTAの問題も入ってきて……なかなか他人事とは思えないリアルな小説でした。

・阿川佐和子『正義のセ』角川書店

キャラクターが魅力的な小説。検事、25歳独身の女の子・実家は豆腐屋、という魅力的な凜々子という女性の奮闘記です。彼女は仕事も愛しているし、両親の仕事に誇りを持っていて、そして自分の恋も大事にしたい。そんな中繰り広げられるストーリーがエンタメ向きで面白かったです。実家が豆腐屋だと朝大変だろうな……。

・瀬尾まいこ『ファミリーデイズ』集英社

今日は素晴らしい。明日はもっと素晴らしい。毎日って本当に面白いよね、と共感しました。瀬尾まいこさんとわたしはずぼらなところが似ていてうれしかったです。娘さんとの日々も、旦那さんとの日々も面白いのだけど、一番しっくり来たのは結婚してから、自分のことを「作家」と呼ぶのは恥ずかしくて、「主婦」と言えることがうれしかったエピソードです。昼間スーパーに行っても罪悪感ないんですよね。いつかわたしも開き直れたらいいな。

6月24日

第二詩集にむけて執筆をしています。わたしだから書けること、を追求していきたい。

6月25日

・小池昌代『かきがら』幻戯書房

パンデミックに立ち向かった世界。パンデミック後の世界。小池昌代さんの2020年に出された短編小説集です。食事と性、若さと戦慄。そういったもろもろが、ことばの多重性の中から現れてくる。ことばの紡ぎ方が本当に柔らかく、そしてでも鋭い。読み終わった後、とても体力を使いました。自分の内側の奥のほうが、つとっと一気にためらいなくそして何でもないように、簡単に太い針で突き刺された感じ。自然と何が悲しいのかわからないけれど、涙が出ました。

6月26日

お題がある詩が最近増えてきました。ばりばりと執筆、という感じでもないのだけど、構想を考えるなど。佐々木幹郎『中原中也 沈黙の音楽』を予約。夜にアニメ映画『王と鳥』を見ました。高畑勲監督のこと、アニメという媒体のこと。夏なので、いろいろ、いろいろ考えています。

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