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【読書記録日記】栞の代わりに 6月27日~7月3日
はじめに
こんにちは。長尾です。読書日記も気づけば1か月になっていました。毎回たくさんのリアクションが来て、わたしとしてもうれしいです。
6月27日
昨日送られてきたゲラに赤字を入れました。ゲラが届く感覚はいつもどきどきします。
6月28日
ゲラのコピーを取って郵便局で送るなど。蒸しますね。寄稿でちょっとがんばらなければという詩があり、今日は一日それを作っていました。
6月29日
今日は雨なので移動図書館は来ず……今週はわたしの本棚から読んでいこうと思います。映画『この世界の片隅に』を半分見ました。考えさせられて体力を使います。夏です。
・向田邦子『父の詫び状』文藝春秋
わたしのバイブルのような一冊です。昭和のお父さんって、その頃の政治や思想ももちろんあったかもしれないのですけど、不器用でしたね。彼らは威張っていましたが、向田さんのお父さまは優しい癖に、不器用。そんな「お父さん」がいじらしく、ほほえましいというか……平成になり令和になり、「父親」は変わっていきました。いつか、家族が父になる日。わたしが母になる日。
・沢木遥香『わたしの骨格』七月堂
沢木さんは「詩誌ハルハトラム」の「現代詩の会」でご一緒させていただいている同人メンバーです。彼女ご自身からいただいた詩集で、わたしと同じく和合亮一さんに毎日新聞で取り上げてもらっています。「二十五歳の肖像」はぐっときました。この詩集を一貫して貫いているものは「ゆとり世代のわたし、それでも前を向いて歩いていく」という点なのですが、それが凝縮されたのがこの詩なのではないかと思います。
・夏野雨『明け方の狙撃手』思潮社
夏野さんはポエケットで詩集を知って、装幀が詩友のカニエ・ナハさんということを聞き、買いました。いつかこういう詩集を作りたいと思っていたんですよね。ジャケ買いができるようなかわいい詩集。拙著『聖者の行進』もそんな詩集になっていたらいいんですが……。ひらがなの多用により、純粋さが出ていました。「くまのはなし」から始まり、くまの神性(アイヌ民族によるもの)から広がっていく感じがしてよいと思います。
6月30日
スキマ時間に少しずつ、映画『この世界の片隅に』を見終わりました。戦中のつらい中の日常、そして食卓、家族、生活、いのちを考えました。たくさんの恩師から教わったハレとケについても考え、恩師とのご縁を懐かしく思います。
・森絵都『カラフル』文藝春秋
もう何度ひとにおすすめしたことか……学校図書館司書勤務の時から変わらず、高校生や中学生のお子さんを持つお母さまから、「子どもに読ませられる本でおすすめの本ある?」と聞かれた時に第一に挙げている本です。輪廻のサイクルから外されてしまってから「天使の抽選」に当たった魂が、自殺未遂をした少年にとりつく物語。若い、生きづらい時期を生きることを存分に考えられます。
・小島日和『水際』インカレポエトリ叢書Ⅰ 七月堂
中原中也賞を受賞した一冊。仲間が賞を取るとうれしいですね。今、小島さんの作品はインカレポエトリ以外にも現代詩手帖などで読んでいますが、がんばっています。比喩と現実の合間が、拙いけれど一生懸命なことばで紡がれています。それでも緊張感を保ちつつ、が難しいのですが、この詩集はそれに成功していると思います。「おかえし」という詩がとても印象的でした。
・内堀みさき『普遍の一途』インカレポエトリ叢書Ⅲ 七月堂
内堀さんもインカレポエトリの詩の仲間です。本当に瑞々しい感性をことばで取って出した素直さも感じられ、おお、いいなあと思います。途中緊張感の抜ける「笑けてくる」ということばや、単語単語で区切っていくやり方は若手のインカレ詩人特有の感性だなと思いました。「だ」という詩が印象的でしたね。この詩から、詩人は「ひとつのことば」に執着する、という詩人の力量を試される地点についた気がします。
7月1日
・佐々木幹郎『中原中也 沈黙の音楽』岩波書店
第一詩集を出した後のタイミングで読めてよかったです。確かに、編集と印刷の間、詩集の作者である詩人には大きな存在のゆらぎがあり、そして出した後に作品群が独り歩きし、とっても忙しい。中也が中学生から持っていた思想、(石川啄木の影響もありますが)芸術を「趣味」や「おもちゃ」と考えるのは「小芸術家」に過ぎず、文藝は命がけの仕事であるというものに感動しました。
7月2日
メッセージで軽く打ち合わせの上、連絡など。大幅に近日発表する詩を改稿しました。長谷川泰子『ゆきてかへらぬ』を予約。
7月3日
連絡に徹した日。大荒れの天気、どうかみんな、無事でいてね。
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