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可愛くもない女が着物を来た話

最後に旅をしたのは、京都だ。

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詳細はぼかすが当時は欲しいものが手に入らなくて、もう自分の人生はダメなんだと勝手に諦めて自暴自棄になってた時に行くこととなった。友達もいない、たった1人で。

最初はただ単に嫌なことから逃げたくて京都で有名な縁切り神社目当てだった。けれど、旅行に行く数日前にふと思った。

「”自分”と結婚がしたい。結婚式を挙げてみたい。人生に絶望している今だからこそ。」

数年前、私の周りでは「自分結婚式」が密かに流行っていた。自分を幸せにするのは彼氏でも旦那でもなく、自分自身なのだという考えの元に女性を応援する結婚式プロジェクトをやる会社があったのだ。私の友達も抽選に見事に当たり、ウエディングドレスを着て式を挙げていた。

1人結婚式といえど、ドレスも教会も全て本物。いい値段した為に当時の私は、ただ遠くで見てることしか出来なかった。

それをやりたい、しかも京都で! 自分の欲にびっくりしながらどうにかして実現出来ないかと模索した。ウエディングドレスじゃなくても着飾っていつもの自分ではない姿にやりたい。そこで出てきたのが「花魁撮影」だった。

派手な着物と派手な化粧、プロの撮影。諸々込でも京都のプランは観光客向けとあって物凄く安い。検索すればすぐに気に入りそうなプランを掲示しているサイトが見つかった。

けれど、こういうのって修学旅行で来た女子高生とか若い子がわいわいやるものじゃないの?アラサーが1人で行くところ?変な目で見られない?

予約ページを開いてぐるぐると「出来ない」理由を探し出した。やったことない事ってどんなに些細な事でも怖い。けれど、自身に湧いて出た「やりたい!」に逆らうことは残念ながら出来ない。それが「自分と結婚する」ということ。震えながら予約ボタンを押した。


当日は行きたかった場所を余すところなく歩いた。せっかくの一人旅だからと予定外のバスにも乗って、とにかく色々な神社に赴いた。花魁撮影は2日目の朝だった。

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予想通り、他に撮影を受ける子達は皆若かった。友達同士で来店して終始キャッキャウフフ。その横で一人着物に着替えた。これを結婚式だと誰が思うだろう!

「お姉さんなら赤が似合いますよ。」そんな店員さんに素直に従って帯を決め、テキパキと化粧が始まった。正直に言って私は普段から地味な姿である。オタク女子と一目で分かるような人間で、つけ爪もつけまつげも生まれてこの方初めてだった。綺麗というより厳つい女がそこにいた。

綺麗なかわいい女性でなくてもいい。自分が「着飾ってみたい」という願望を叶えたのだから、それだけで100点満点だ。

写真撮影も出来上がりの図が頭の中でうまく想像出来なくてカメラマンさんに言われるがままだったけれど、しっかりとした撮影セットにテンションが上がった。

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というわけで出来た写真がこちらである。自分なりの安上がり一人結婚式。

それが私の今のところ最後の旅行。

1回で満足するかと思ったが、これまた困ったことに「また別の雰囲気で着飾ってみたい」という欲がある。今度は西洋ドレスとかかな。またこういう旅がしたい。何度でも自分と結婚できたら、それはまた楽しいのかもしれない。

(旅記事コンテスト用にでも書いたのに!国内旅行対象外だって!!!!!うける!!!!!)

今後の活動に使わせて頂きます。