【史】ARPANETからインターネットへ/IT全史を読む(21)
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この記事は、Podcast「にゃおのリテラシーを考えるラジオ」の2022年9月3日配信の書き起こしです。
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にゃおのリテラシーを考えるラジオ
読書と編集の千葉直樹です。
このチャンネルでは、読書と IT 時代の読み書き、そろばんを中心に様々な話をしています。
今回のタイトルは、
ARPANETからインターネットへ/IT全史を読む(21)
ARPANETの背景
前回は核戦争への危機感を背景にアメリカで強い通信網を作る機運が生まれ、ARPA(アメリカ国防総省高等研究計画局)の旗振りで電信ネットワークを模した仕組みで、複数の経路を使って分割した情報を送受信する通信ネットワークが構想され、いくつかの大学のコンピューターを結んだARPANETというものが作られた話をしました。
このARPANETの大きな目標は、戦争などのシビアな状況でも通信ネットワークが維持できるということでした。
そのために通信経路をたくさん作ることができ、情報も分割して複数の経路で送れるように考えられたわけです。
構成要素の多様性確保
ただ、このようなネットワークを維持していくためには、ネットワークを構成する装置を製造するベンダーの多様化が不可欠であるという発想も必要になります。
この辺りがアメリカ的な考え方です。
ネットワークを構成するハードウェアやソフトウェアは相互接続可能であることが必須要件と考えるのです。
タイタニック号の悲劇の時には、無線通信システムはハードウェアから通信する内容まで丸がかりでマルコーニ社が握っていて、結果的に事故を防止できずに悲劇につながりました。
そのような仕組みではなく、通信をするためのルールを様々なレベルで決めておき、それに準拠したハードウェアやソフトウェアを各ベンダーが作って、相互接続を確保するという仕組みにすることで、あらゆるレベルで代替性を確保するのです。
すごく簡単に言うと、ネットワーク機器を製造する 1 つの会社が倒産しても、他の会社の代替製品を使えるようにするということです。
大規模で安定的なネットワークを構築するために、このような考え方はとても大切です。
ネットワーク機器をコンピュータで作る
このような機器を作るために、機能をハードウェアとソフトウェアの組み合わせで構成できるコンピューターはうってつけでした。
ARPANETはいくつかの大学のコンピュータとコンピューターをつなぐものですが、実はネットワークそのものにもコンピューターを使っているのです。
このように理想としては相互接続性を確保することが考えられていましたが、これが当たり前になるには 1990 年代の後半までかかりました。
ネットワークの機能そのものも、ハードウェアに近いところから人間に近いところまでの間にいくつかの層を想定した構造が想定され、それがTCP/IPというプロトコルとして一般化し運用されています。
ネットワークの広がり
ARPANETの時代にこのような基礎となる仕組み作りかなされ、少しずつ参加する大学や研究機関が増えていきます。
1970 年頃から構築が始まったARPANETはまだクローズドなネットワークで、一部の大学しか参加できていなかったため、 1970 年代後半にはそれ以外の大学間で同様のネットワークが作られ始めました。
そして、それらのネットワーク間が相互接続されるようになります。
1984 年には日本でもそのような大学間のローカルなネットワークが生まれ、アメリカのネットワークとも繋がり始めました。
このネットワークのネットワークがインターネットと呼ばれるようになります。
商用インターネット
1989 年には民間のネットワークの運営主体が生まれます。
現在のような商用インターネットの始まりです。
日本では 1992 年に初の商用インターネットプロバイダが誕生しました。
これがインターネットイニシアティブジャパン。
IIJ という会社ですね。
ARPANETは 1990 年に解散し、現在のインターネットに近い形になりました。
日本は他の国に先駆けてインターネットに接続され始めたのです。
それは当時、パソコンのハードウェアの開発で先端を走っていたことと無縁ではありません。
ただ、日本が走っていたのはアナログ技術の結晶としてのハードウエアの世界でした。
あらゆる情報がデジタルになる世界を認識するのに、ほんの少し遅れを取りました。
その世界がソフトウェアの世界ということができます。
そういう評価はひとまず置きましょう。
次の展開
インターネットが始まった頃、あらゆる情報をデジタル化して、インターネットで流通するインフラとして登場したものがあります。
次回はその話をしようと思います。
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今日もワクワクする日でありますように。
千葉直樹でした。
ではまた。
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