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なずな の おうた

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noteに載せた詩をまとめたものです。 ピヨピヨな言葉たちですが、一文字一文字丁寧に書きました。
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【詩】『家畜』

【詩】『家畜』

あたしは家畜だ 今気がついた

ごはんを食べて うんちもおしっこもして
食べた後は寝て 中途半端に散歩して
頭を働かせないで ぼんやりうすのろ息をして

公園のベンチに腰掛けながら
ようやく自分の身分に気がついた

あたしは家畜だ
自分の体を持て余しているのは 誰かに消費される為なのだ

だってそうでしょ
豚や牛があんなに貴いのは 命を削って 消費されていくからでしょう

あたしもそうなんだ
誰か

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【詩】『アナタはきっとエキゾチカ』

【詩】『アナタはきっとエキゾチカ』

ボクの手足がとても細い頃

ボクの体が伸びきっていない頃

手足が太くて 背も高い アナタと出会った

アナタはきっとエキゾチカ

港にいたアナタは
ボクにパンをくれたよね

アナタはきっとエキゾチカ

友達のいないボクへ
アナタは見てきた世界を話してくれた

アナタはきっとエキゾチカ

いつかこの海 共に渡ろうと
アナタは笑みを浮かべてた

あれから時間は過ぎていき

世界はどこでも危険が多い

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【詩】『やせっぽちシィトゥルイユ』

【詩】『やせっぽちシィトゥルイユ』

やせっぽちシィトゥルイユ
畑で浮いてた

他のシィトゥルイユと違って
やせっぽちシィトゥルイユは
なんでか横に細長く
きたなく
みすぼらしかった

やせっぽちシィトゥルイユ
畑で浮いてた

浮いた存在になりすぎて
やせっぽちシィトゥルイユ

本当にお空へ飛んでった

お空へ飛んだ
やせっぽちシィトゥルイユ

最期は弾けて死んじゃった

畑で浮いてた やせっぽちシィトゥルイユ
お空へ飛んだ やせっぽ

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【詩】『はなれない、ごめんね』

【詩】『はなれない、ごめんね』

あたしは救われてない

あなたは救えてない

さかさまにしても同じ

あたしも救えてない

あなたも救われてない

それなのに ごめんね

はなれない、ごめんね

【詩】『飛び降りたかった誕生日、出来なかったの、16歳』

【詩】『飛び降りたかった誕生日、出来なかったの、16歳』

帰る場所が家しかないなんて、恐怖だ。

おとうさんはもうずっと居ないし
おかあさんは怒りながら帰ってくるんだろう
おにいちゃんは勝手に独り立ち
おねえちゃんは部屋の中で妄想だけを謳ってる

帰る場所が家しかないなんて、恐怖だ。

スクールカウンセラーに何が出来るの
わたしの今日を、どう救うの
わたしの今を、どう癒すの

親戚も遠くに住んでいるし
友達だって手一杯で生きてるし
先輩の正論はそれだけで

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【詩】『ずるい狐くん、すねてる虎くん』

【詩】『ずるい狐くん、すねてる虎くん』

虎の威を借る狐

なんて申しますが

そもそも
虎のお友達がいないんで

僕ァ 一生 威張れないんだろうな

***

虎の威を借る狐

なんて言うけれど

そもそも
狐の友人すらいないのだから

俺は 一生 ひとりなのかなあ

***

ずるい狐くんと
すねてる虎くん

これから このふたり

曲がった角で 出会うんですよ

これから このふたり

どんな一年をすごすんでしょうね?

失恋

失恋

手放せる程度の感情を

「恋」だなんて

呼んでんなよ

【詩】反抗期

【詩】反抗期

人の人生に横入り

幅を利かせて 笑ってる

十代だから可愛いが

年食った後は

覚えてろ

【詩】フラストレーションがモチベーション

【詩】フラストレーションがモチベーション

朝、怒りながら目が覚め

昼、怒りながら働き

夜、怒りながら寝ている

違う。違うのだ。

“そういう意味”ではないのだ。

――感謝している

学校に行けたこと
色んな人に出会えたこと
傷ついたこと 傷つけたこと
だからこそ学べたこと
反省したこと
恥じたこと
喜んだこと
愛されたこと
愛したこと
……生まれてきたこと

――感謝している

だからこそ、俺は

怒るのだ

自分に腹が立つのだ

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【詩】出産

【詩】出産

すべてを否定された

その後に

子供が産まれる

わたしにとっての「子供」とは

「作品」を指す

【詩】のっぺらぼう

【詩】のっぺらぼう

きっと

生まれたときからひとりだったから

表情の作り方が

分からなかったんだろうね

信じてくださいそこにいるんです

信じてくださいそこにいるんです

たすけてください
たすけてください
たすけてください

たすけてください
たすけてください
たすけてください
たすけてください

たすけてください
たすけてください
たすけてください
たすけてください
たすけてください

たすけてください
たすけてください
たすけてください
たすけてください
たすけてください
たすけてください

……

助けられません

あなたの周りには、誰もいませんから

【詩】ここが墓場なのに涙も出ない

【詩】ここが墓場なのに涙も出ない

どうすればよいのでしょうか

生きるのも
死ぬのも

苦しいのです

【詩】神様たすけてください

【詩】神様たすけてください

神様ね

からだがないから

すくい上げることが

できないんだって