大木野なずな

すごくマイペースな更新とはなりますが、細くゆるく繋がれたら幸いです🍀🍀🍀

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マガジン

  • なずな の おうた

    noteに載せた詩をまとめたものです。 ピヨピヨな言葉たちですが、一文字一文字丁寧に書きました。

  • なずな の おはなし

    noteに投稿した短編小説たちが、ぎゅうぎゅう、詰められています。 この作品たちは、小説投稿サイト・エブリスタにも投稿されている子たちです。

  • なずな の おはなし(少し長め)

    少し長めのお話を詰めました。 小説投稿サイト・エブリスタにも投稿されている子たちです。

最近の記事

  • 固定された記事

【短編】『花たばこを吸う、わたし。』

 わたしがたばこを吸い始めたのは、小学校六年生の頃だった。  全てのきっかけは、――おばあちゃんが儚くなったこと。  儚くなったおばあちゃんは、わたしたちの住むアパートからいなくなってしまった。  その寂しさを紛らわす為に、わたしはたばこを吸うようになった。  いつも吸っているたばこの銘柄は、これ。  「花たばこ」。  淡いピンクの星型の花弁の筒状花。  吸い方は簡単。  茎の長い所をこう……煙管みたいに持つ。で、茎にそっと唇をつける。  そっと吸って、ふって吐く。

    • 【詩】『家畜』

      あたしは家畜だ 今気がついた ごはんを食べて うんちもおしっこもして 食べた後は寝て 中途半端に散歩して 頭を働かせないで ぼんやりうすのろ息をして 公園のベンチに腰掛けながら ようやく自分の身分に気がついた あたしは家畜だ 自分の体を持て余しているのは 誰かに消費される為なのだ だってそうでしょ 豚や牛があんなに貴いのは 命を削って 消費されていくからでしょう あたしもそうなんだ 誰かに消費されて ようやく その命に意味があるはずなのよ そうに違いない だって

      • 【短編】あにいもうと

         “武藤の兄妹は何か変だ。”  ――それが、うちの学年にひっそり染み込んでいる暗黙の了解。 ***  昔から、女性の声が苦手だ。怒りの色が含まれたものは、特に。 「武藤妹! どうにかしなさいよ、あんたの兄貴!」  ――お昼休み。  親友の久美と机をぴったりくっつけてお弁当を食べていたら、……荒々しい足音と共に顔も名前も知らない女子が教室に飛び込んできた。  鮮やかな茶髪が、蛍光灯に当たってテラリと輝く。  ワイシャツは第二ボタンまであけられていて、チラリと覗く鎖

        • 【短編】生まれてこなくちゃいけなかったんですか?

           この世には様々な「縁」が溢れている。  その中でも異様な強さを秘めている縁は、……おそらく、「血縁」だろう。  「血は水よりも濃し」という言葉もあるように、血縁関係は、様々なものを濃く強くする。  顔かたちが似てくることもあるだろうし、共有できる思い出や感情が増える。  だからこそ、人はそう簡単には孤独になれないのだろう。  そして濃く強いからこそ、――負の面に転じた際には、もう手に負えない。  2016年に法務省が発表しているデータによると、摘発された殺人事件(未

        • 固定された記事

        【短編】『花たばこを吸う、わたし。』

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        • なずな の おうた
          54本
        • なずな の おはなし
          5本
        • なずな の おはなし(少し長め)
          4本

        記事

          【エッセイ】変てこに歪んだ人に声かけられる系女子。

           近所に、本当に素敵な森林公園がある。  緑も多いし、そこそこ広いのでたくさんの人が利用している。  ある人はジョギングやウォーキングをし、ある人は犬と仲良く散歩をし、ある人たちは家族でやってきて木陰でお弁当を食べたりしている。  かくいうわたしも、小学生の頃から何度もその森林公園を利用しており、気分が落ち込んだときや自然に癒されたい時など、公園のベンチに座って何時間もぼんやりする事があった。  どんなにセピア色な精神状態の時でも、その公園のベンチに座れば、ゆっくりと心に色

          【エッセイ】変てこに歪んだ人に声かけられる系女子。

          【エッセイ】はじめて過呼吸になった夜。

           小学生の頃から、「息苦しい」と感じることがあった。  喉の中が急に締まって、息を吸うのが苦しくなるような……そんな感覚だった。  緊張している時やすこし心が辛い時、この息苦しさは喉元に現れた。  だから、頭の悪いわたしは「そういう体質なのかな」なんて、漠然と捉えていたのだけれど。 (――“コレ”が体質って、死んじゃうって)  四月十五日。夜。お風呂上りの、洗面所にて。  下着姿で地面に倒れ込みながらわたしは、がたがた震えた。   腕が震える。指の末端は感覚が薄く、痺

          【エッセイ】はじめて過呼吸になった夜。

          【詩】『アナタはきっとエキゾチカ』

          ボクの手足がとても細い頃 ボクの体が伸びきっていない頃 手足が太くて 背も高い アナタと出会った アナタはきっとエキゾチカ 港にいたアナタは ボクにパンをくれたよね アナタはきっとエキゾチカ 友達のいないボクへ アナタは見てきた世界を話してくれた アナタはきっとエキゾチカ いつかこの海 共に渡ろうと アナタは笑みを浮かべてた あれから時間は過ぎていき 世界はどこでも危険が多い 国だか 村だか 隣人だかが 今日も今日とて喧嘩して 誰かが死ぬのに生まれて

          【詩】『アナタはきっとエキゾチカ』

          【詩】『やせっぽちシィトゥルイユ』

          やせっぽちシィトゥルイユ 畑で浮いてた 他のシィトゥルイユと違って やせっぽちシィトゥルイユは なんでか横に細長く きたなく みすぼらしかった やせっぽちシィトゥルイユ 畑で浮いてた 浮いた存在になりすぎて やせっぽちシィトゥルイユ 本当にお空へ飛んでった お空へ飛んだ やせっぽちシィトゥルイユ 最期は弾けて死んじゃった 畑で浮いてた やせっぽちシィトゥルイユ お空へ飛んだ やせっぽちシィトゥルイユ そんなやせっぽちシィトゥルイユ 最期がいちばん笑ってた!

          【詩】『やせっぽちシィトゥルイユ』

          【詩】『はなれない、ごめんね』

          あたしは救われてない あなたは救えてない さかさまにしても同じ あたしも救えてない あなたも救われてない それなのに ごめんね はなれない、ごめんね

          【詩】『はなれない、ごめんね』

          【詩】『飛び降りたかった誕生日、出来なかったの、16歳』

          帰る場所が家しかないなんて、恐怖だ。 おとうさんはもうずっと居ないし おかあさんは怒りながら帰ってくるんだろう おにいちゃんは勝手に独り立ち おねえちゃんは部屋の中で妄想だけを謳ってる 帰る場所が家しかないなんて、恐怖だ。 スクールカウンセラーに何が出来るの わたしの今日を、どう救うの わたしの今を、どう癒すの 親戚も遠くに住んでいるし 友達だって手一杯で生きてるし 先輩の正論はそれだけで痛いし 先生はお仕事大変そうだし バイト先では他の悪口が盛り上がっているし そ

          【詩】『飛び降りたかった誕生日、出来なかったの、16歳』

          【詩】『ずるい狐くん、すねてる虎くん』

          虎の威を借る狐 なんて申しますが そもそも 虎のお友達がいないんで 僕ァ 一生 威張れないんだろうな *** 虎の威を借る狐 なんて言うけれど そもそも 狐の友人すらいないのだから 俺は 一生 ひとりなのかなあ *** ずるい狐くんと すねてる虎くん これから このふたり 曲がった角で 出会うんですよ これから このふたり どんな一年をすごすんでしょうね?

          【詩】『ずるい狐くん、すねてる虎くん』

          失恋

          手放せる程度の感情を 「恋」だなんて 呼んでんなよ

          【詩】反抗期

          人の人生に横入り 幅を利かせて 笑ってる 十代だから可愛いが 年食った後は 覚えてろ

          【詩】反抗期

          【詩】フラストレーションがモチベーション

          朝、怒りながら目が覚め 昼、怒りながら働き 夜、怒りながら寝ている 違う。違うのだ。 “そういう意味”ではないのだ。 ――感謝している 学校に行けたこと 色んな人に出会えたこと 傷ついたこと 傷つけたこと だからこそ学べたこと 反省したこと 恥じたこと 喜んだこと 愛されたこと 愛したこと ……生まれてきたこと ――感謝している だからこそ、俺は 怒るのだ 自分に腹が立つのだ 感謝するあまりに怒りが湧いてくるのだ もっと もっと もっと もっと もっと

          【詩】フラストレーションがモチベーション

          創作童話『頭の悪かった蛇の話』(第五話・最終話)

          第五話  バチ、パチパチ……パチ、バチバチ……。  視線のはるか遠くで、真っ赤な火の粉が踊っています。  ――あの大きな家は、丸ごと、真っ赤に燃え上がっていました。  女の子は庭の畑に座り込むと、燃えている家の炎を頼りに、包みの中のものを数えだしました。  その包みは、蛇を助け出した時から背負っていたもので……中身は、重そうな木箱でした。  実際、本当に重かったのでしょう。  ……その木箱の中には、たくさんの小判が入っていました。  女の子は、つまらなそうな顔で、一

          創作童話『頭の悪かった蛇の話』(第五話・最終話)

          創作童話『頭の悪かった蛇の話』(第四話)

          第四話 その夜は、分厚い真っ黒な雲が、蜂蜜色のお月様を隠していました。  山の方は、葉っぱがガサガサと揺れたり、動物たちの鳴き声がしたりと少し忙しなかったのですが……山の麓の家の中は、静寂に包まれていました。  子どもたちの寝起きしている大部屋の障子へ耳をすませると、……すうすう、とゆったりとした寝息が聞こえてきました。  家の中の子どもたちは、どうやら、もう夢の中にいるようです。  大部屋の障子を薄く開き、一人の男性が子どもたちの様子をざっと見まわしました。 「昼間、

          創作童話『頭の悪かった蛇の話』(第四話)