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140字小説【実話:生きていれば】

『生きていればいいことあるよ』

 それは偉人でも何でもない、亡き父と偶然同じ病室に入院していた、とあるご老人が言ってくれた言葉。

 そのご老人と会話できたのは一度きりで、まもなく姿を見かけなくなった。他の病室に移っただけか、それとも……

 ただ彼の言葉だけは、今も自分の中で生きている。