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土台終了、やっと土窯制作本番かと思いきや、秋風吹き抜ける今日この頃。

こちらドイツは残暑というものをすっ飛ばして一気に秋に突入いたします。まさに乙女心と秋の空、昨日はTシャツ、今日はセーターってな事が多々あり、衣替えという文化はこちらにございません。落ち葉舞い、夕日が美しい今日この頃ですが、内心かなり焦っております。ぶどう狩りの頃には窯でパン焼いてるはず〜と悠長なことを言っていたら、超特急で秋突入、このまま行くと真冬に土窯制作ということになってしまいます。さすがにこの私でも零下で粘度をこねることはできません!

とにかく何人かのアシスタントを確保し、やっとの事で土台を完成させました。畑には誰かがその昔作った土ハウスが無残に放置されておりまして、その剥き出しになったワラを少々拝借。ワラは適当に切って、水にしばらく浸けてから練り上げた土に混ぜ込みました。どうやら土を触ると童心に戻るようで、メンバー全員ひたすら無口で作業。これぞ土のマジック、なんだか知らないけど、一生懸命になります。癒し効果も抜群だよ、どうか冬が来てもみんな手伝ってくれ…、と心の中で叫ぶ私。

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ちなみに私が土窯プロジェクトを決行している畑は、総勢60名ほどの共同畑でございまして、メンバーの理解を得て、というか喝采を受けて土窯を制作しております。メンバーは民主主義的にゆるーく団結しており、リーダーはおりません。こんな有機体のようにうまく機能する共同畑はドイツでもなかなか珍しいのではないでしょうか。60名ほどのメンバーのうち、だいたいアクティブな20名ほどで、様々な野菜を有機栽培しています。と言ってもみんな本業の傍でして、水曜日と日曜日が作業日となってます。

さてさて、土窯に話を戻します。土窯経験者によると、パン窯の場合、土台の上にまず何層かの保温層を作る必要があるとのことです。よっしゃ了解、でも保温層ってどうやって作るの?とカサカサになった手で、土窯のバイブル『Build your earth oven』を開く私…。

土仕事をすると、非常に手が乾燥します。このカサカサの手を見ていると、懐かしく思い出される日本の学生時代。昔とった杵柄、学生時代は毎日砂場で土と格闘していたのでした。てっきり肉体労働を卒業してオサレな海外生活をするものだと思っていたのに、この異国の地でまさか手拭い巻いて穴を掘るだなんて想像もしておりませんでした。40過ぎて恥じらい(?)もなくなり、日本社会の同調圧力や(ドイツの)常識もヒョイと軽く一跨ぎできますので、あの頃よりも格段に野生化している気がしますが、とにかく窯ファーストでしばらく本能の赴くまま生きていくことにします。

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