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ラスボス

 カイントはとうとう創造主ユセフがいるユーリズムにたどり着いた。世界をユセフの手から取り戻す。カイントはこの決意を胸にどれだけの苦難を乗り越えて来ただろうか。大国同士の絶え間ない争い。その争いの全てを仕組んでいたのは世界の管理人とも神とも呼ばれるユセフであった。カイントは仲間達の犠牲を乗り越えてここまでたどり着いた。ユセフよ。お前を倒せば世界は解放されるのだ。もはや神などいらぬ。世界は我々人間の手で新たに創造されるのだ。今世界の夜が明ける!カイントは徘徊するミノタウロス達をすり抜けてユセフに飛びかかった。

「あんれ〜。オメエなぬすてるだ。にげだすたと思ったらオラの元に飛び込んできて。全く聞き分けのねえ奴だべな。でもな、オラ聞き分けのねえわがまんまな人間が好みだべよ。さぁ、中に入ってみんなにあやまれぇ!」

 何という事だ。カイントはやっとの事でユセフの元に辿り着いたのに、一瞬で振り出しに戻されてしまったのだ。カイントは皆の冷たい視線に目を伏せて家へと帰った。家へと帰る途中でカイントは天から雷の音を聞いた。彼は雷が誰かを責めているように聞こえた。おそらく天がユセフ討伐に失敗した自分を責めているのだろうと思った。

 ユセフは先程から上司に自分のおもちゃである人間ゲームを捨てるように説教されていた。

「全くお前はなんでいつまでもこんなくだらんおもちゃやっとるんだ!さっさとこんなもの捨てちまえ!」

 

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